影と日常

ドクペスキー

第1話 退社と影

プロットも案もなく練習と割り切り気軽にかいてみました。

( ・ω・)ノ



歯茎が痛む。

先日起こった自身の大きな環境変化を思い出しながら役所に保険証の申請に向かっている。


事の起こりは20×6年末の勤め先にてサクサクと上司に言われるがまま退職願いを書いたことだった。

柄峰つかみね君、これは必要書類だから解るよね?ちゃんと書いてね。」

柄峰千博つかみね ちひろ。先月に店舗スタッフから転職し技術者派遣会社の正社員になった神奈川県出身の29歳の一般男性。

「まぁ呼び出された理由は分かりましたが、やめる日付は契約書通り一月後で良いんですよね?」

約束とは違い、書類上全国派遣可能に成った挙げ句、先日研修で栃木県に跳ばされ、戻ってきたら愛知県に跳ばされそうになった。

断ったら、転籍を伴う仕事を提案され、断ったらこの様である。

「いや、今日の日付で書いてくれ。」

未経験社歓迎と言われ、希望地を言って入社したが、君の希望は叶わない、転籍を断るなら即日消えてくれと告げられた。


結局全てが面倒になり言われるがままに退職願いを書き、帰路につくと違和感を感じ自販機の陰に目を向けた。

そこには街灯があるにもかかわらず奇妙な影が。

「■▲※●~…」

何とも言いがたい少し高い鳴き声をあげる。顔だと思う部分には紅黒い3つの穴が、体はぼやけていく煙のようだった。

未知の物との遭遇ではあるが、気分はもうどうにでもなれといった状態だったので立ち止まりはしたのだか、直ぐに興味を失ったかのように帰宅した。


それから二日たち、歯の定期検診のお知らせが届き保険証を求めて役所を訪れている。沈んだ気分も持ち直し、今になって先日の影の何かが気になった。

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