水が滴るような不安。雨の夜、ひとり静かに読んでほしい怪異。

「僕」が引っ越した、海沿いの崖の上の白いマンション。
事故物件ではないはずなのに、そこでは謎の現象が続いていた。

クロイゼルング、ドイツ語で「漣」という意味の名前のマンション。
紹介するのに乗り気でなさそうな不動産屋は、実害はない、と言う。
同じマンション上階には、会社の先輩が住んでいた。
慣れてしまえばどうということはない、と先輩は言う。
水音。なぜか開く鍵。廊下の気配。
しかし、真下の部屋に住む小学生の男の子に、異変が生じ始めて――。

鈴木光司『仄暗い水の底から』とか。
小野不由美『残穢』とか。
そういうのお好きな方、ぜひ読んでみてください。
できれば、雨の降る夜に、ひとり静かに。