新たな出会い

毎日毎日、私は集中をしては他の魂生命体達を探った。

その度に私の内側から何か反応がある。



和信は私が毎日集中をする間、

何もすることがないため、

狩りの手伝いなどに出かけるようになった。




鈴さん達は、

何もない、精神統一のための部屋まで用意してくれた。




私はひとり、ひたすらに感覚を探り続けていた。

しかし、一向に他の魂生命体が現れる気配すらない。

何が足りないんだろう。

何かが足りてないんだ。





私は宮殿内の図書室へと足を運んだ。

ここに、何かヒントがあるかもしれないと思った。



部屋いっぱいに並べられた本棚。

その中から、白獣のカテゴリーを探す。


「あった!」


私は白獣のカテゴリーに目を通していった。


【白獣の歴史】

【白獣の種類】

【白獣との意思疏通】


どれも気になる題名だ。



私は気になるものを全て持ち出し、

部屋で読むことにした。

もちろんこれらはあくまでも、

「今のところわかっていること」だ。


参考にはならない可能性もある。




そしていろいろと読み進めていく内に、

私はある内容に目を奪われた。





【白獣は、メッセージに反応する】





私ははっとしたのだ。

私は感覚を研ぎ澄まし集中していたが、

何もメッセージを送っていなかった。


向こうはこちらに気づいていたかもしれないが、

メッセージがないがために

反応していなかったのだ。



見知らぬ人には話しかけない。

人間も同じじゃないか。



ネイのように自分から近づいてくるのは

どうやらかなりまれなようだ。

警戒心が強いってことなのかな、、、?







私は本を片付けたあと、

再び何もない部屋で集中を始めた。

目を閉じ、五感をひとつにしてゆく。




そしてメッセージを送るー。



ーー黒獣と戦いたい。誰か、力を貸して。



しばらく集中し続ける。

もっと深くまで。もっと深く。



ー。

ーー。

ーーー。

ーーーー。



自分の心臓の音が鳴り響く。






ーーお願い。父に会いたいの。






気がつけば主旨と全く関係ないことを言っていた。





ーすると、身体が浮き上がるような感覚になった。

ぽつん、ぽつん、と水が滴したたるような音がする。



何かが、目の前にいるー。



私はそっと目を開けた。




目の前には、小さな猫がちょこんといる。

真っ白だ。目はネイと同じ色。

ー魂生命体だ!



ちょっと、かわいい、、、!

私は思わずキュンっとなった。



ーーあの、初めまして。私、和愛っていうの。


すると、すぐに反応が返ってきた。



ーーリーナっていうのね。よろしくね。



多分猫に擬態しているだけで、

見た目は小さいけど、それなりのエネルギーは持っているようだ。



ーーえ!ネイの居場所を知ってるの!



リーナはこくりと頷いた。



私はすぐに支度した。

私には気配がないため、

外に出るには必ず付き添いがいる。

私は鈴さんの部屋へ行き、事情を話した。

診察中だった鈴さんは

突然部屋に入ってきた私に目を丸くして驚いていた。



「今日は美羅(みら)があいてるよ。」


「ありがとうございます!!」



美羅さんは鈴さんの娘だ。

父親はロバートさんの国を襲った黒獣との戦いで命を落としている。



鈴さんにはそっくりだ。



「急に、すみません、、、。」


「何言ってんの。

言っとくけど私、けっこうワクワクしてるから♪」


美羅さんは楽しそうに身支度をしている。


「そこにリーナってのがいるのか?」

「はい!私の肩に乗ってます。」

「なんか、ほんとワクワクしてきたわ!」


美羅さんはスキップをしながら外へと出た。



私はリーナと美羅さんと共に

ネイの居場所へ向かって歩き始めた。

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Second 2番目の生命 PoliteFlower @PoliteFlower

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