真同盟国
今日はなんだかみんなが慌ただしい。
どうやら大きな会議があるようだ。
和信と一緒に朝ごはんを食べに行くと、
すでに誰もいなかった。
テーブルに私達の分であろう料理が置かれている。
その横には置き手紙があった。
内容を見ると、
【9:00から会議がありまーす。
和信と和愛も参加すること。
拒否権なし。よろしく♪
鈴より】
その下に宮殿内の地図が書かれていた。
ん?9:00ーーー?
慌てて時計を見ると、すでに9:10だ。
私達は急いで指定された部屋へと急ぐ。
指定された部屋の扉は両開きでものすごく大きい。
一体縦何メートルなのだろうか、、、。
私達はノックをしたあと、静かに
扉を押して開けた。
たくさんの視線が身体中に突き刺さるかのようだった。
あまりにも緊張して、足がすくんだ。
20人くらいだろうか。
思ったよりは人数は少ない。
部屋の広さに釣り合わない人数だ。
なぜか窓もなく、閉鎖感がかなりある。
女王がにこりとして空いている席に目をやる。
「2人の席は空けてるわよ。」
私達はドキドキしながら
空いた席に座った。
ここに来て1ヶ月は経ったけど、
目の前には見知らぬ顔がたくさんいた。
「こんにちは。初めまして。」
知らない女性が話しかけてきた。
肩にはギリギリ届かない髪の長さで、つやつやの黒髪。
耳には黒なのに反射した光が青く光る美しいイヤリングがつけられている。
女王と同じような、隙のない威厳のある雰囲気だった。
「この人は春さん。
真同盟国のリースの女王よ。」
女王が説明してくれた。
他国の人に合うのは初めてではなかったが、
真同盟国というのは初めて聞いた。
「よろしくね。普通に春さんって呼んでくれたらいいわ。」
春さんが手を差し出してきた。
私達もそれぞれの名前を名乗り、
握手をかわした。
「リースは火山地帯にある国よ。
ていってもほとんど死活山なんだけどね。
そこで取れるダイヤモンドで刀やアクセサリーをつくってるの。
漆黒のダイヤモンドって呼ばれてて、硬度がかなり高いから、いろんな国がほしがるの。
だけど共有してるのは日本やお隣の国くらいね。」
春さんが自国のことを少し紹介してくれた。
10000kmって、、、。
飛行機でも何時間もかかる距離だけど、、、
どうやって来たんだろう、、
それにしても、春さんのあの耳につけてるイヤリングは、
ダイヤモンドだったんだ。
本当にきれいだ。
刀やアクセサリーはリースから輸入していたんだ。
ダイヤモンドでできた刀って、、、強そう。
「あの、、、真同盟国とは、何ですか?」
私は、おそるおそる聞いた。
「同盟国はお互い争いたくないから
表面上結んでるだけのもの。
真同盟国はお互いに信頼しあっていて、
様々な情報交換も行ってるのよ。」
春さんが答えてくれた。
「まぁ世界の公ではただの同盟国ってことにしてるんだけどね。」
女王がつけ足した。
「今は黒獣の目撃情報などを主に共有してるのよ。
だからあなた達にも一度お会いしておきたかったの。」
春さんが続ける。
「ここで話すのは申し訳ないんだけど、
ロバート君やノア君の国が滅んだのも
黒獣が原因なの。
でもあの時は、国同士力を合わせて戦って黒獣を討ち滅ぼしたわ。」
そんなことがあったんだ、、、。
胸がすごく痛くなった。
だけど黒獣はどうにもならないほど強大な敵だと思っていたけど、
そうでもないようだ。
「白獣は個々で能力も違うし、
エネルギー量も違う。
今回の黒獣はどうやら私達では太刀打ちできる相手ではなさそうなの。」
春さんが真剣な顔で私をまっすぐ見た。
「白獣達は、黒獣の恐ろしさを知っているはずよ。
だから、あなたが他の白獣達に働きかければ、
みんなで力を合わせることはできるはず。
あなたはそのパイプ役になるの。
とっても重要な立ち位置よ。」
実感はまだなかったけど、
それが私の使命。
それがお父さん発見につながるかどうかはわからないけど、、、。
もっと能力を磨いて、一刻も早く白獣達を集めなきゃ。
私は拳をつよく握りしめた。
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