今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを  人づてならで 言ふよしもがな 7

                ◇◆◇◆◇◆

【解説】

※プロではないため、学校の知識、書籍、ネットでの情報をあわせたなんちゃって解説です。大雑把に裏設定として受け止めてください。


(歌)

今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな(藤原 道雅)


(大体の現代語訳)

今はただ、あなたへの思いをあきらめてしまおうということだけを、人づてではなく会って話しをする方法があってほしい。


(藤原道雅の大体の経歴)

・内大臣であった父(道雅の父の叔父は藤原道長)が花山法皇に対し弓を射掛ける不敬事件を起こして大宰権帥に左遷され、実家の中関白家が没落。

グレースのモデルである藤原 道雅はそのような環境で育った。

従三位の彼は、伊勢斎宮を退下し帰京した当子内親王と密通し、これを知った内親王の父三条院の怒りに触れて恋愛を禁じられ監視を受けることとなった。

そんな中で、読んだのが上記の歌である。

・花山法皇の皇女を殺させた、博打での乱行等、悪事が耐えない人物であったため、世上荒三位、悪三位等と呼ばれていた。


(名前の設定)

・グレース

→ 道「雅」から。


・シュライン

→ 当子内親王が斎宮であったことから。寺の英名。


・ウィステリアファミリー

→ 「藤」原一族の「藤」の英名。wisteria flowers。


・ホーク

→ 法師「隆」範のタカ(鷹)の英名。


(その他)

・グレースの瞳

→ 藤原一族のため、藤の色をイメージ。


・グレースとシュラインが藤を通じて出会ったこと

→ 藤原一族のため、藤をテーマに。


・賭場でグレースが客を殴ったこと

→賭場での乱行が多かったことや、高階順業と賭博をしていた時に激しい口論を始め、最後には順業の乳父・惟宗兼任と路上で取っ組み合いの喧嘩を始めてしまうエピソードから。往来だったため、人々の注目を集めたとか。


・ナンバー6の男の娘について

→ 花山法皇の皇女である上東門院女房が夜中の路上で殺された。彼女の遺体は、翌朝に死体が野犬に食われた姿で発見された。

検非違使が調べたところ容疑者として浮上したのが、法師隆範。彼を捕縛し、尋問するも隆範は口が堅かった。

しばらくして隆範は道雅の命で皇女を殺害したと自白する。

しかし、彼が自白してすぐに、盗賊の首領という者が自首を申し出たのだ。

盗賊に対し、検非違使は拷問を含めた尋問をするか否か、右大臣に相談するも、自首した人物にそのような例をしたことはないし、盗賊の罪状は検非違使が決めることでもないと告げられる。


結局、誰がこの首領を殺人事件の主犯とされたのか、刑罰はどうなったのか、そもそも真犯人が誰なのか、史実には残っていない。


→皇女が殺されたのは、時系列的には恋愛が禁じられた後。


・父親がボスを撃ったこと

→長徳の変。

藤原道雅の父である伊周は、太政大臣藤原為光の四女に通う花山法皇を、自分の愛する為光三女が目当てなのだと勘違いをした。

隆家と謀って道すがら待ち伏せ、彼らの従者が放った矢が法皇の袖を突き通した。

退位したとは言え天皇に向けて矢を射掛けたという事件は政治的に問題視をされ、これをきっかけに没落していった。

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百人一首 第六十三首 恋の歌 相田 渚 @orange0202

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