第24話 生えた

 私の体は時間が止まったみたいに宙に浮いていた。


 いや、羽が少しバサバサしているからそうでもないか。


 でもこのままの状態でいる訳にはいかないので、なんとかして堕天使とAIBUさんの所へ戻ろう。


 ……どうやって戻るんだろう?


 とりあえず歩く時と同じように両足を動かしてみた。


 ……ただ両足を歩いているみたいに動かしているだけになってしまった。


 今度は両腕を使って水泳の平泳ぎみたいな動きでやってみた。


 ……あっ、ちょっとずつ進んでる!


 少しずつだけどちゃんと上に上がっている。


 体勢を変えていないので横になって上に向かっている、というおかしなことになっている。


 だって体勢変えるの怖いじゃん!


 ただでさえ空中に浮いているのに。


 私はなんとか二人の元に戻ることができた。


「……落下したと思っていたけど、奇跡が起きたんだね」


「不幸中の幸いってやつです」


 私が着地するとAIBUさんが近づいてきた。


「でも貴方が悪魔として一歩近づいた以上ゆっくりしていられないわ。悪いけど貴方の力、貰うわよ!」


 AIBUさんは歩くスピードを早めたと思ったら走ってきた。


 逃げないと!


「よくやったミント」


「なっ!?」


 私はもちろんAIBUさんも驚いて振り向いた。


 堕天使が起き上がったのだ。

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