第16話 狙われている?
「すぐに見つかったな。飛んで探すのは効率がいい」
「そうだね。でも私は」
公園の中にある小さな丘の上に降りると私は地面に足がついた安心感で思わずしゃがみこんだ。
「そうだな。お前を運んで移動するのは一苦労だ」
「……重かったの?」
本当はこんな事聞きたくない。
そんなに体重あるわけじゃないけど。
「いや、今回みたいに近くだといいが長距離の移動になると限度がある。お前もあんな状態で長時間飛んでいたくないだろ」
当たり前だよ!
長時間あんな状態なんて命がいくつあっても足りない。
「だからこそ、これからお前の悪魔化を今より進行させて、背中から羽を生えさせる」
「嫌。悪魔になんてならないから」
もう空も飛びたくない。
飛べない人間のままでいい。
これ以上堕天使と悪魔化について話したくないので先に私は丘から降りた。
遅い時間でこの辺りは誰もいなかったので私達が空から降りて来たのを見た人はいなさそう。
「で、私に深く関わる事って?」
「今朝、悪魔の気配がかすかに感じたんだ」
悪魔の気配!?
「近所に悪魔がいるって言うの!?」
「この辺りではないみたいだが街のどこかにいる」
「ウソでしょ……」
認めたくないけど私以外に悪魔がいるって事だよね。
もう一人の悪魔。一体どんな悪魔なんだろう。
「その悪魔は間違いなくお前を探している。お前が持つ『人の悪意が見える能力』を求めてな」
「私を……」
狙われている。
怖いけど、その悪魔を見た訳でもないのであまり実感がわかない。
「ここはお前が悪魔になった場所だ。その時のかすかな気配を追ってここに来たかもしれないと思って来てみたが来た痕跡は無いな。だが今もお前を狙って飛び回っているハズだ」
なるほどね、だからここに案内させたのか。
ちょっと待ってよ。
「『飛び回っている』ってさっき私達思いっきり飛んでいたんだけど!」
見つかるんじゃないの!?
「安心しろ。俺がそんな事も考えないで飛んでいたと思っているのか? ちゃんと確認してここまで飛んできたんだ。見つかる心配は無い」
「良かった」
堕天使の言葉を聞いて初めて安心感がわいた。
「……ここに長居するのは危険だ。ここから飛んで帰ると悪魔の気配が濃くなって目立つ。少し歩いてから飛んで帰るぞ」
「うん」
私と堕天使は急ぎ足で公園を出た。
また掴まれて飛んで帰るのは嫌だけど悪魔に見つかって狙われたくないので、また堕天使に体を掴まれて帰った。
家のベランダに着くまで『早く帰らないと悪魔が狙いに来る』という恐怖に私は怯えていた。
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