第15話 危険飛行

「離して。一人で行ってきてよ」


「ダメだ。お前も来るんだ」


 堕天使は私を引っ張りだした。

 

「明亜ちゃんの活躍を読むから嫌ー!」


 しかもこんな夜中に出かけるなんて寒くて嫌だ。


「そうか。なら選べ」


 選ぶ?



「俺と一緒に寝るか出かけるか、どちらか選べ」



「出かけます」


「準備しろ」


 私はジャケットを着始めて準備をした。


 一緒に寝ると答えたらさらに変な女扱いされそうなので『出かける』と答えたけど本当はどっちも嫌だ。


「最初に会った公園まで案内してくれ」


「道知らないの?」


「あれから行ってない上にこんなに暗いと道がわからないからな」


「わかった」


 そういえばあの時はまだそんなに暗くなかった。


 慣れてない道が真っ暗だとわからないか。


 まだ一週間も経ってないもんね。


「ところで何であの公園に行くの?」


「調べたいことがあってな。お前に深く関わる事だ」


「それならはやく言ってよ」


 そういう理由なら行く。


 ところで、どうやって私を連れて行くんだろう?


 羽は無いから飛べないし。


「羽が生えていないお前を連れて行くのにいい方法がある」


 堕天使が私の心を読んだかのように発言した。




「きゃあああああああああああああああ!」


 堕天使と一緒に私の部屋のベランダへ出た途端、堕天使は私の体をすばやく掴んだと思ったら背中から黒い翼を出していっきに飛んだ。


「暴れるんじゃないぞ」


「だ、だって!」


 空を飛んでいるんだよ!? 


 家がや近所のお店が小さくなっている。


 家とお店の屋根の上なんて始めて見た。


『空を飛んだきっと楽しんだろうな』って小さい頃に思った事がある。


 でも私が想像していたのはこんなのじゃない。

 

 楽しい、っていうかすっごく怖い!


「暴れたら俺の腕から落ちるぞ」


「ヒッ……」


 落ちたら死ぬ。


 空を飛んでいる恐怖と落ちたら死ぬという恐怖で、私は石のように黙った。


「行くぞ。落ちないようにしてろよ」


 はぁ……。近くだから早く着いて。

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