第11話 堕天使の話
帰りの会が終わって下校時間になったので昇降口に来た。後ろには堕天使がいる。
「……」
授業中と掃除中を除いて昼休みから私の事をジッと見ている。
「ちょっと!」
「何だよ?」
我慢できなくなり私は聞いた。
「昼休みから私の事ずっと見てさぁ、何か話したい事でもあるの?」
「あぁ。気になっていてな」
気になる事?
「……ここじゃなくて家に帰ってから話させてくれないか?」
「いいけど」
ここじゃ話せない事って何だろう?
私と堕天使は一言も話さずに下校し、家に着くと真っ直ぐ私の部屋に向かった。
「で、気になる事って?」
「お前昨日倒れた事覚えているか?」
「ああ、覚えて……そうだあの後!」
目が覚めたら部屋のベットにいて朝になっていた。その前の出来事はわからない。
「あの後どうやって私を運んできたの?」
「お前を横抱きして近所を飛び回った。俺がお前の弟として存在する記憶を人間達に入れ込んだ後、家の前で誰かを探している女を見つけた」
「横抱き?」
「こうやるやつ」
堕天使は胸のあたりで右腕と左腕を離して自分の前で裏返して掲げた。
……そのポーズって。
「お姫様抱っこしたの!?」
「仕方ないだろ。飛んで抱えるにはそれしか方法がなかったんだ」
「うぅ……」
キスといい、この堕天使には私の『初めて』が奪われている。これ以上奪われたくない!
「その女に近づいたら俺とお前の名前を呼んでいたから家の近くで降りて近づいたら入れてもらえた」
「お母さんだったんだ。もしお母さんを見つける事ができなかったらどうしてたの?」
「叩き起こして聞き出してた」
お母さん外に出てくれてありがとう。
「本題に入るか。お前、朝から体に変な感じとかないか?」
「ないけど。具合も悪くないし」
「よく聞けよ。お前の体に何も異変が無い、という事は……」
事は?
「悪魔化への準備が順調に進んでいる、という事だ」
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