第3話 恋?

「ねぇ今日何かあったの?」


「え?」


 始業式が終わって教室に戻り、休み時間になると冬ちゃんが私の席に来て聞いてきた。


「なんだか今日のミントちゃんボーっとしている時があるっていうか……」


「そ、そうかな?」


 朝からあの人の事ばかり考えていたからなぁ。


「何かあったの?」


「うん。実はね……」


 冬ちゃんに今朝見かけた男子のことを話した。


「へぇ~……それで今でも気になるんだ」


「うん」


「その子、カッコよかった?」


「そうだね。普通より上だった」


「……もしかしてさ」


「?」


 冬ちゃんが私の耳元に近づいた。


「それって『恋の始まり』じゃない?」


「え、ええっ!」


 いきなり言われてビックリした。


「なんでそんな……」


「だってさ普通、横断歩道ですれ違う人なんて気にもしないじゃん」


「まぁね」


 一年生の時から使っている横断歩道だし。


「そんな場所ですれ違った人を忘れられないなんて……それはもう」


「冬ちゃん、もしかして最近そんなドラマでも見たの?」


「うっ!」


 図星か。


「やっぱりね。でも意外だなぁ、今まで冬ちゃん恋愛関係の話なんてしなかったのに」


「去年やっていた恋愛ドラマにはまっちゃって」


 恋、か。


 いつかするだろう、って感じで思っていた。


 それが今日? 恋って本当に突然くるんだな・・・・・・って。


「まだそうと決まった訳じゃなないから!」


「でも見てみたいなぁ」


「え?」


「ミントちゃんが『気になった』っていう人に」


「冬ちゃんもその人に会えるといいね」


 ……会えるといいなぁ。

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