21 おかえりを言う前に
×
――七日目の夜が訪れる。
やたらと疲れている体に鞭打つようにしながら、
それから余った時間で部屋をきれいにして、まるでパーティーでも始めるように飾り付け、実際そんな気分で小影は夜を過ごした。
ゆっくりお風呂に入ったり本を読んだりしながら、その帰りを待っていた。
「遅いなぁ……」
一週間前に消えた友人が今夜帰ってくると、小影は信じて疑わなかった。
未だ部屋に残された真射の痕跡だけが気がかりだったものの、当の本人がいないのだからもう安心だろうと。
結局彼女の正体も目的も分からずじまいだが、最後のあの時、確かに彼女と心が通じ合ったような気がしたのだ。だからきっと、彼女は約束を守ってくれるはずだ。
「あ」
玄関の方からがちゃがちゃと音がする。ノックも聞こえた。小影は足早に玄関へ向かい――なんの疑いもなく、部屋の扉を開いた。
「…………」
そして何度か瞬きを繰り返す。
目の前に真射が立っていた。
ただ、一人じゃない。
真射は少し前屈みになるような格好で――背中に、誰かを背負っている。
その少女は眠っているようだった。
あるいは気を失っているのかもしれない。
どちらでもいい。
小影は笑顔で訊ねた。
「――その子、誰?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます