21 おかえりを言う前に




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 ――七日目の夜が訪れる。


 やたらと疲れている体に鞭打つようにしながら、小影こかげ真射まいが買い込んだ食材の残りを使って久々に料理を作った。


 それから余った時間で部屋をきれいにして、まるでパーティーでも始めるように飾り付け、実際そんな気分で小影は夜を過ごした。

 ゆっくりお風呂に入ったり本を読んだりしながら、その帰りを待っていた。


「遅いなぁ……」


 一週間前に消えた友人が今夜帰ってくると、小影は信じて疑わなかった。

 未だ部屋に残された真射の痕跡だけが気がかりだったものの、当の本人がいないのだからもう安心だろうと。


 結局彼女の正体も目的も分からずじまいだが、最後のあの時、確かに彼女と心が通じ合ったような気がしたのだ。だからきっと、彼女は約束を守ってくれるはずだ。


「あ」


 玄関の方からがちゃがちゃと音がする。ノックも聞こえた。小影は足早に玄関へ向かい――なんの疑いもなく、部屋の扉を開いた。


「…………」


 そして何度か瞬きを繰り返す。


 目の前に真射が立っていた。


 ただ、一人じゃない。

 真射は少し前屈みになるような格好で――背中に、誰かを背負っている。


 その少女は眠っているようだった。

 あるいは気を失っているのかもしれない。


 どちらでもいい。


 小影は笑顔で訊ねた。


「――その子、誰?」



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