23話【クリスマスパーティー・2】

「おねーちゃーん」

「なあにー?」

クリスマスパーティーで梨華たちがくるので部屋の掃除をしていると瑠璃子が来た。

「今日友達の家に泊まりに行ってもいい?」

「いつもの子?」

「そそ、次の日に帰ってくるけどその日またちょっと出かけるね」

「誰と?」

「ん?しょうへい」

「え」

あまりにも意外すぎる相手に驚いた。

「どうしたの急に」

「誘われた」

「へえー」

ちらっと瑠架の方をみるとドヤ顔で親指をたて拳を突き出してきた。

「ふふ、行ってらっしゃい」

「はーい」

もう荷物を持って行く用意をしていたので玄関からそのまま送り出した。

「るかは?誰か女の子から誘われてないの?」

「はぁ?」

少しキレ気味に返された。なにかいけないことを言ってしまっただろうか。

「ご、ごめん」

「あ、いや…えと…別に、誰とも予定はないけど…」

「そっか」

「るみあの面倒見てるよ、今日は」

「ありがと」

お菓子棚に置いてあったポテチなどを取ろうとする。

ぎりぎり自分の身長で届くくらいなので台はめんどくさいので使わない。

「んっ…」

マシュマロがいまいち届かない。

とりあえずチョコフォンデュにしようと思ったのでかなり具は多めだ。

「俺よりチビなんだから、諦めなよ。姉さん」

後ろから軽々とマシュマロを取ってくれた。

「あ、ありがとう」

チョコレートを刻む。

「…るか…なに?」

「ん?」

後ろから見てる瑠架を振り返る。

「姉さん」

そのまま抱きついてきた。

頭1つ以上大きいから胸に埋まるので苦しい。胸を叩いて離してもらうようにした。

「苦しい」

「ごめん」

ある程度の距離はおいてくれたが腰を持つように置かれた手は離してくれない。

「離してよ」

「やだ」

上からおでこを私の頭にあてるようにして来た。そのまま逃げるように顔を逸らす。

「ねえ、離してって」

「やだ」

「ねえるか」

「やだ」

「るいーりか達もう着いたってー」

望々がドアを開けて入ってきた。

見られた。

「…なにやってんの」

「ちがっ」

「姉さん抱きしめてたの、だめ?」

あっさりと離してくれたのですぐに距離をとる。

「じゃあ俺部屋に戻ってるみあ見ながらゲームしてるから」

瑠架が部屋から出て行こうとする。

「ふっ」

望々が瑠架を睨んでいた。

「の、の…?」

無言で抱きついてきた。

首の方に腕を回される。

「キスしていい?」

「でも…りか達来てるんでしょ?」

「ちょっとだけ…だめ?」

好きな人に上目遣いでおねだりされて勝てる人っているのかな

「いいよ」

「ん…」

触れるぐらいだけのキス。

「行こっか」

手を取られ引っ張られる。


「あははは」

ふと時計を見るともう夜の9時ぐらいだった。

「あ、時間」

「わっやばっ」

「え、どうしよう」

「うわぁ、やっぱりめっちゃ真っ暗や」

由香がカーテンを開けて外を覗く。

「じゃあ泊まってく?」

「「「え?」」」

「いいじゃん、泊まってけば?」

「布団もあるし、パジャマもあるから。三人がいいならだけど」

「私は親今日デートで帰ってこないとか言ってたから別に大丈夫だけど…」

梨華がスマホを取り出して覗き込んで言った。

「うちもおっけっていわれる」

由香もスマホを取り出した

「私はみんながするって言えば許してもらえると思うー」

わりと親が厳しい杏奈も了承がでた。

「じゃあ連絡しておいで」

「うむー」

杏奈が部屋を出て電話をしにいった。

しばらくするとドアを勢いよく開けて

「おっけぇい!」

と言って戻ってきた。


「お風呂でたよーののはいってきてー」

「んー」

最初に3人をお風呂にいかせ次に私が入って最後に望々が入ることになった。

望々が部屋からでる。

「なんの話してたの?」

「ん?理想のプロポーズ的な」

「なんでそうなったの」

笑いながら聞く

「いやぁ、まあクリスマスだし?」

梨華が杏奈と由香に同意を求める

「関係ある?」

笑って言った。

「ちなみにるいさんはー?」

杏奈が横によってきて下から覗き込んで聞いてくる。

「え…恥ずかしい…」

「はい、言えよ?」

謎の梨華からの威圧。答えるしかないのか…

「えっと…クリスマスってのが条件?」

「あとついでに指輪を持って渡すってのも条件やで」

「うーん」

プロポーズ、かぁ…じゃあ望々に当てはめて考えてもいいかな…

「もちろん好きな人に当てはめてくれていいよ?」

「へっあっ、はいっ」

「ふふっ」

梨華に突然言われたことにドキッとして思わず変な返事をしてしまった。

「えっと…場所は外がいいな。綺麗なイルミネーションとかツリーの下とかで、周りに人がいてもいい。それで跪いて指輪出して、結婚してくれませんか?って言われたい…です…はい…」

「いぇーい、ひゅーひゅー」

「乙女やな」

杏奈と由香に茶化される

自分で言って恥ずかしくなった

「ねえ、るい」

「な、なに?」

次はすごく真剣に呼ぶ梨華に戸惑った。

「…好きな人誰ですか」

飲んでいたコーヒーを危うくこぼしかけた

「は、はあ?」

「別に私たち引いたりとかないよ」

「え、あ、いや、あの、」

「ほら早く」

「ゆったら楽になるで」

「いやいや、でもその、」

「「「早く」」」

「うぅ…」

3人から詰め寄られる。さすがに望々とか言えるわけがない。でも、

この3人なら言ってもいいかもしれない

「いや、引くから…やめた方がいい…」

「…じゃあ予想言うからもし当たってたら絶対そうですっていってね」

「ねえそれなんかおかしいよね」

「じゃあるいの口からでも」

「うぅ…」

目の前に迫ってくる、逃げられない。

「早くしないとのの帰ってくるよ」

ねえ、待って。なんかバレてる…?

3人それぞれの顔を見る。

しばらくの無言

「えっと―」

「「「はい」」」

「うぅ…」

またしばらくの無言

ちらっと顔を見るとみんなガン見である。

「えっと…私…」

「「「はい」」」

「えと…その…」

またしばらく黙り込む。

たぶん言わないと逃がしてもらえないだろう。

覚悟を決めよう。

「の…ののが好きです…」

最後の方かなり声が小さくなった。

三人が一拍おいて

「「「ですよねー」」」

「えっ…そ、そんなわかりやすいかな…」

「うん、むちゃくちゃ」

そんなに態度に出てたのか

「ひ、引かないの?女の子同士なんだよ?」

「るいは同性愛者なん?」

「え、いや違うけど」

「ののだけでしょー?」

「う、うん…」

「べつに引きなんてしないよ、むしろ応援する」

それぞれ言葉をくれる。

「…そっか」

嬉しくて思わず口角が上がる。

言葉に出して誰かに吐き出すとこんなにも楽になるとわかった。

「で?」

「え?」

「いつ好きになったの?どこが好きなの?」

「えっ」

いきなりの質問責め。

「えっと好きになったのは今年の花火大会のとき…」

「あのときかぁ」

「好きな所は…いやもう全部好きすぎて決められない」

「「「うっわぁ…」」」

3人一斉に呆れたような声を出す

「な、なに?」

「いや、なんか…のの愛されてるなぁ」

「あえて言うならどこ?」

「…多分笑顔に惚れたんじゃないかなぁ」

「ベタやん」

「惚れちゃったんだから仕方ないじゃん…」

それからいろいろと望々に関してたくさん聞かれた。

「じゃ、これから頑張りましょーうか」

「あはは…」

「でもだいぶイチャラブしてるよね」

「もうつきあってんの?」

「いや…付き合っては…」

「まあそれもそうか」

だいぶやっちゃってるけどね…。

「ののって嫉妬するっけ」

「花火大会のときすごかったやん」

「おっ、もしかして…ヤキモチ作戦ですか…!」

「えっ」

「いいじゃん、やろ」

「ええっ」

かなり動揺した。そんなあからさまな作戦通じるのか…?

「じゃあ作戦的には…」

望々のお風呂が帰ってくるまで作戦会議が始まった。

「なにやってんの?」

しばらく話していると望々がお風呂から帰ってきた。

「ん?あぁ、恋バナー」

「へえー誰の?」

「るいの好きな人について」

「…るい?」

こっちを見られたので恥ずかしがるように頷く。

「誰?」

「い、言わない」

「…あそ」

声が少し低くなる。怒ってる…?

望々がこっちに歩いてきて私の座っていた後ろに座って抱き抱えてきた。

「ぅぅ」

顔が真っ赤になる。2人でもまだ少し恥ずかしいのにみんなの前とかもう本当に恥ずかしい、けど嬉しい。

「ねえねえ!ゲームしよ!」

「え?」

「愛してるゲームやろーよ、クリスマスだし」

「関係ある?」

笑って返した。…この作戦聞いてないぞ

「じゃあグーチョキパーで別れよ」

「1人余るんじゃ?」

「1人は審判」

「ああなるほど」

これで望々が三人の誰かとなって他の人に愛してるって言うのを見たくないな…

「ほら、ののも手出してや」

「ん」

「じゃあ、いくよー」

結果は

杏奈、梨華がペア

由香が審判

私と望々がペア

「はい、じゃあどっちからやる?」

チラッと梨華の方を見ると笑って返された。

「じゃあ俺らからやるよ」

「え?」

「るいから言って」

「え…ええ?」

「早く」

助けを求めるように梨華たちをみるがニヤニヤと見てくるだけ

「言っとくけどののが照れるまでやで」

「ええ!?」

大きく深呼吸をする。そのまま望々を見上げる。あぐらで座り足を両手で持って首を傾げて待っていた。

可愛い

「…あ、愛してる」

「もう一回」

「愛…してる」

「もう一回」

「愛して…る」

「ののはまだ照れてないで?」

「あう…」

十回、いや二十回超えたあたりでもなかなか望々は照れない

「もうやだぁ…」

「じゃあ次望々が照れなかったらるい罰ゲームね」

「え…」

多分だめだ、罰ゲームだ

私じゃ照れないのかな…

「えっと…」

望々から一旦視線を外す。深呼吸してから望々を見上げる。望々の手を両手で取って自分の頬に持って行って

「のの…愛してるよ」

頬をすり寄せた。

「――っっ!!!」

「はいっののアウトやでー」

「のの100のダメージ!!」

「あざとい」

私が手を持ってない方の手で望々が顔を覆い隠していた。

「だめだ、ののダメージ回復できてない!」

「そりゃあ、女の子座りで上目遣いでそのあざとさでプラスその美人顔あったらだいたいは撃沈するわな…」

「の、のの?」

下から覗き込む。

「ののー?」

しばらく続くと望々が顔を起こした

「手とか使っていいの?」

「ええで」

「…よし」

望々が目を見つめてくる

これだけで照れてきた。

「ねえ、るい多分もう照れてるよ」

「これじゃ罰ゲームだー」

「んーじゃあるいが照れた、って言うまでにしよう」

「え?」

「罰ゲームしたくなかったら耐えるんだね?」

罰ゲームはいやだけどずっと愛してるなんて言われ続けたら耐えられなくなりそう

「はいっじゃ、ののどぞ」

チラッと望々を見上げる。

「のの?」


「るい…愛してるよ」

瑠李の頬に手を添える。もう顔が真っ赤だ。

瑠李を膝立ちにさせ体を引き寄せて向かい合うようにして腰に手を回す。 

自分の肩に手を置かれる。

「愛してるよ、るい」

キスをしようと頬を引き寄せても逃げようと必死だ。

なかなか続きにいけないので瑠李を押し倒した。

「愛してるよ」

耳元で囁く。体がびくってしたのがわかった。相変わらず耳が弱い。

体を起こして瑠李の顔を見る。

涙がたまった目。少し荒い甘ったるい息。赤くなった顔。

「るい、愛してるよ」

さらに赤くなる、林檎みたいだ。可愛い。

「愛してる」

短パンだから生足だったのでそっとなぞる。体が反応したのが分かる。

「愛してる」

また耳元に戻る

「愛して―」

「照れました!もう恥ずかしいから止めて!」

お腹に手を入れようとしたときに阻止された。

そのままの体制で待機してたらお腹を殴られた。

「いった!」

「変態!ばか!あほ!」

起き上がると同時に瑠李を起こす。

「と、とりあえずのの勝ち?でーす…」

「ちょっとさぁ…そういういちゃこらはさぁ…人が見てないとこでやろ…?」

「うおおおお…」

それぞれと感想を言う3人。

座り込んで顔を手で覆っている瑠李。

「よ、よし!こんな時間だし寝よっか!」

地味に気まずい空気の中、提案を出したのは梨華だった。

「る、るい布団は?」

「そのクローゼットの中…」

まだ恥ずかしいらしくさっきの体制から変化していない。

「ほらみんな立って、早く寝る準備するよ」

それぞれ立ち上がって五枚ある布団を横一列に並べた。

「はい、じゃあ布団にはいりましょう」

並べ終わってそれぞれ布団に入ろうとする。自然と俺から離れようとしていた瑠李を捕まえて端っこにいれその横に俺が寝た。

「はい、おやすみー」

梨華が電気を消す。

しばらく時間がたってから瑠李の布団の中に入る。

「るい」

すごく小さい小声で呼ぶ。

「なに」

目を閉じていたのを開けてくれて目を合わせてくれる。

「キスしたい」

「うるさい、寝ろ」

手で口をふさがれる。それを無理やり剥がす。

「ゲームの…可愛かった。」

耳元でそう言う。そのまま瑠李にキスをする。

「ふふ、かわい」

「うるさいなぁ…」

毒づきながらも照れていた。

「おやすみ」

最後にキスをして目を閉じる

「おやすみ」

次は瑠李からしてくれた


「ねえ、なにこの写真」

「朝起きたらいちゃらぶしてたから撮っといた」

「3人とも死にたい?」

「「「遠慮しますー」」」

朝LINEに送られていたのは望々の服を掴んでいる私の姿と私を片手で抱きかかえて眠っている望々の姿だった。

「なんの写真?」

「見なくていい!」

電源をすぐに落としてご飯を作ることにした。

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私の愛という幸せなおとぎ話 奏音宮 @mirai0715

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