クリスマスの奇跡が起きることを願って……
聖夜を彩るイルミネーションがうっとうしい
なぜなら彼と別れたばかりだから
今年のクリスマスも一緒に過ごすはずだったのに
彼は遠くへ行ってしまった
もう一生会えないかもしれない
そんな想いがこみ上げたとき、つまらないことで喧嘩した自分を恨んだ
街は幸せそうな恋人たちであふれている
なぜクリスマスに別れてしまったのだろう
あんなに大好きだったのに……
後悔しても元には戻れない
そんなことはわかっているけれど、今は自分が大嫌いだ
このまま消えてしまいたい
この世から自分が生きた証しを消し去りたい
こんなに苦しいのなら、恋なんかするんじゃなかった
そんなことを考えても、どうにもならないことはわかっているのに苦しい
一緒に見ようと約束したイルミネーションは、わたしに罰を与えるかのように美しくきらめいている
もう家に帰ろう
部屋の明かりを消して、一人で静かに眠ろう
明日になればクリスマスは終わっている
そうすればもう街はお正月のムードになる
こんなに苦しいのはクリスマスだから
クリスマスが終われば、この苦しみからも解放されるだろう
重い足取りで家路に着くと、エントランスに人影があるのが見えた
それは彼だった
「どうして?」
「出発を延ばしてもらったんだ」
「どうして?」
「やっぱりお前がいないとダメだから」
「どうして?」
「お前が好きだからだよ」
「どうして?」
「どうして以外の言葉、言えないのかよ」
クリスマスの奇跡が起きた
もう二度とこの幸せを手放さないと誓った
人目も気にせず抱きしめ合い、そしてキスをした
その時、私たちを包み込むように雪がちらつき始めた
ホワイトクリスマス
クリスマスは2つの奇跡を運んできてくれた
聖なる夜に……
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