第2話

もともと、あまり自分の強いほうではなかった。小学校の頃には、班長やら委員長やら人をまとめる役職を多く勤めていたがやはり自分よりも適任である人に任せるほうがよいということを学んだに過ぎなかった。

通知表に並ぶ評価は「真面目である」だとか「努力家である」だとか「誰にも優しい」だとか、そんな月並みなものばかりだった。

中学も高校も遠出するのは嫌で地元で偏差値が近いところを選んだ。少しの友達とそれなりに楽しい生活を送ったつもりだった。

しかし、大学に進学する時に彼女はその頭を強く悩ませた。もちろん今までと同様に自分の実力に近い場所を選ぶだけだった。しかし、実力でえらぶだけでは選びきらなかった。「何を学びたいのか」で決めなさいという教師の言葉の意味がわからなかった。

私は、学びたいことと言われても何も頭に浮かばなかった。

流行りの歌もそれなりに好きだ、教科なら国語がそれなりに好きだ、携帯アプリなら……。好きなものがないわけではない。でも、本当にそれに情熱を傾けるのが良いのかと言われると首を縦には動かさなかった。

空っぽだった。今までの自分の人生で、誇れることも夢中になれることも見つけてこれなかった。その事実だけが私の答えだった。



結果として、私は地元ではなく一つとなりの県の大学に行くことにした。文系であった私にはそもそもの選択肢が少なく、また職業につきやすいのではないか という安易な考えからだった。知り合いのいない大学生活、不安は大きかったけれども私の胸にはわずかに希望が燃えていた。ここで空っぽの自分に何かを見つけられるかもしれない、という思いだった。

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友人を求めた少女の末路 @megurinealice

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