題名が思いつかない

白樺セツ

第1話これは何の話なのか

はーい突然だけどボクは今死にかけている☆

何故死にかけているかって、それはボクがいわゆる悪役というやつだからさ!

うっかり好きになっちゃった魔法少女を追いかけて早数年。彼女は立派な女性へと変貌したよ! 最悪だね! ゆえに何とか彼女をもとの魔法少女へと戻すべく努力して努力して努力して努力したら警察に相談されたし通報されたよ! だからついついむかついちゃってボクに触れてきたお巡りさんの手を削ぎ落としちゃったし、ついつい彼女を嬲ったよね! 必死になって抵抗する姿がなんだか愛おしく思えちゃって、ついつい犯しかけちゃったよ☆

ボク確か魔法少女である彼女のことが好きだったはずなんだけどこれはおかしいよねって思って知り合いの医者に頭を診てもらいに行ったんだ。そしたらあいつ何て言ったと思う? 「お前がおかしいのは今に始まったことじゃないだろ」だってさ。もうボク悲しくなっちゃって機関銃でそいつ殺そうとしたんだけど逆に殺されかけたから逃げてきたよ!

そんなこんなで仕方ないからボクはボクなりに考えてみたんだ。何故今更魔法少女でもない彼女に興奮したのかなって。そしたら一分くらいで全て解決さ! ボクは魔法少女だから彼女を好きになったんじゃない。戦いの中苦悶の表情で運命とか痛みとかに耐える彼女の魂に、そして逆境をささっとぶち壊す彼女の強さに惚れたんだ! さらにそこに魔法少女という基本夢と希望のつまった土台!! これで惚れるなって言う方がどうかしてる!

つまりボクは彼女の彼女たる、彼女を作っていたその要素にぶちあたったからこそ興奮してぶち犯してやろうと思ったわけだ。きれーで美しくて強いものほどぶっ壊したくなる。うん! これはもう真理だから仕方がないね!

じゃあ何故ボクがこうして死にかけているかってことについてやっと説明するんだけど、ボクはボクに襲われたんだ☆ 今日もいつも通り彼女を調教して改心させようと思って色々準備してたら突然目の前に現れたボクにサクッ☆と刺されちゃったんだ。痛いじゃんかーってボクはボクに怒ったよ! そりゃあもうぷんぷんだよね! このままじゃ死んじゃうじゃないか! 酷いじゃないか! って文句を言ったら



「ああ、そうさ。ボクはだって悪役だから。みんなを助けるための魔法少女たる彼女を復活させるための悪役だから、酷くないとだめなんだ。ボクは酷い奴なんだ。完全なる悪役さ。さあ死んでよ平行世界のボク」

だって彼女は約束をしてくれた。僕に約束をしてくれた。僕に犯される直前に約束をしてくれた。「悪役であるあなたが死ねば私は魔法少女に戻ってみせる。約束するわ」って。だってだって彼女はウソをつかない。魔法少女はウソをつかない。つまり彼女は僕にウソをつかない。ならば僕はやってみせよう。やり通してみせよう。僕はボクを殺しつくして君を迎えに行く。君の未来を手に入れて、君の未来を過去にする。そして僕はボクを過去にする。


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題名が思いつかない 白樺セツ @sirakabasetu

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