第17話 【微笑み】 エピソード16

138. 結婚式場 後日 バレンタインウエディング 2月 高3

   仏前結婚式の会場、愁、家族、親戚、友達が整列している。

   愁、袴風のスーツ。

   駆け込むスタッフ。

スタッフ「(あっせって)新婦・・はな、花嫁がいません」


139. 回想 ののみ家リビング 前夜

ののみ「パパママ、今まで育ててくれてありがとう」

ののみママ 「実はね、話しておかなきゃいけないことがあるの」

ののみパパ 「ママ(困惑)・・」

ののみママ「愁君のお母さんと、私は親友で、彼女が病気

   になったとき、小さかった愁君と妹ちゃんを、

   入院するたびに預かってたの・・・」


140. 回想 病院の病室 12~3年前

   ベットに起き上がっている愁母。ののみパパ、ママと愁父。

ののみママ「心配しないで治療に専念して、子供たちのことは

   私に任せて・・」

愁父 「家の事は、おばあちゃんも元気だから・・・、子供たち

   も大きくなったら手伝ってくれるだろうし・・」

ののみパパ 「そう、ののみ!、ののみを嫁がせます。将来は

   愁君のお嫁さんとして、ねぇママ」

ののみママ 「そうね、うん、・・・約束しましょ(うなずく)」

    XXX

   ベッドで、書き物をする愁母。


141. お寺の参道前 結婚式の時間

   ののみ、純白の白無垢風ドレス、ヘッドドレスは小石で

   作られたラリエットの角隠し。

   うつろな目で歩くののみ、参道の途中でしゃがみこむ、

   取り囲む観光客たち。

   着込んでいるのでふっくらした姿、化粧が落ちてまるで

   パンダのような顔。

ののみ「やっぱり信じられない・・・」


142. お寺の裏山 その後の時間 

   雪舞い風が吹いて、粉雪、ぼやけてる街。

   ベンチに座っているののみ。

   スマホの画面を見ながら来る愁、ののみのコートを

   持っている。

   ののみの背中にハグする愁。

愁  「見つけた!」

ののみ「怒ってる?・・・、私は怒ってるよ」

愁  「俺もさっき聞いた、母さんの事をののみに話したって」

ののみ「約束知ってんだ・・、だから私と結婚したの?もう秘密

   は無しって・・」

愁  「結婚はハプニング、俺も予想してなかった、お前を

   家政婦代わりにするだけって」

ののみ「ひどい・・・」

愁  「でも気づいたんだ、お前の笑顔見ていたら、大事な人

   がいた事を・・」

   ののみの正面に回る愁、ののみを立たせる

愁  「親が決めたとかじゃなくて・・・」

ののみ「愁君・・・」

   ののみに手紙を渡す愁。


143. 点描 披露宴会場 同時刻

   バラの花で彩られた披露宴会場、ひな壇は空席。

   大勢の客が、いくつものデーブルに座って歓談している。

   二人の成長のビデオが流される。

   チョコレート(LOVEの文字)のウエディングケーキを

   切り分けるみみんと筒居。


144. 回想 フラッシュバック 愁の部屋

   押入れから、宝箱を出す愁。

   箱の中に入っている絵や通知表などを取り出す。

   一番下に錠前のついた箱。

   その箱の錠前を外すし、ふたを開けると、中に手紙。



145. 回想戻り お寺の裏山 

   手紙 宛名 「ののみちゃんへ」

ののみの声「ののみちゃん、ご結婚おめでとう、この手紙を

   見てるあなたは、何歳でしょうか?」

愁母の声「本当に好きな人と結ばれることでしょう、もし、その

   相手が愁君だったら、この先を読んでください・・」

   夜空、雪雲がなくなり、オリオンやおうし座の点光が

   見えてくる。


146. 披露宴会場 数時間後

   ガランと何もなく暗い会場。

   会場の真ん中に二人。そこだけライト。

   ののみ、バラのドレス、胸に愁がミハエルの城から持って

   きた石をネックレスにしている。

   愁、シルバーのスーツ、ののみのお守りをブローチにして

   いる。

   ろうそくを持った一人が入ってくる。そして、また一人、

   また一人と次々と。

   皆に囲まれ、祝福される二人。


147. ライトアップされた寺院 その後

   コートを羽織り、参道の光の道を歩く二人。

148. 蔵造の店 店内 その後

   テーブルに座るののみと愁。

   ののみ、愁母の手紙の続きを読む。

愁母の声 「その相手が愁君だったら、この先を読んでくだ

   さい・・、愁君はとてもシャイな男の子です、愛して

   るって言いましたか?幸せにする約束しましたか?

   お勉強もお仕事も真剣に取り組んでますか?いつも微笑

   んでますか?やさしく抱き締めてくれますか?

   (質問が続く)・・・最後に心から幸せですか?」

ののみ「愁君のお母さん、愁君を生んでくれたありがとう。質問

   いっぱい(のどを詰まらせながら)いっぱいですね、

   お答えします、心から幸せです」

   胸がいっぱいのののみ、愁の目を見つめる。

ののみ「でも、ほんというと、幸せって何かよくわからない

   かも?」

愁  「俺もよく分からない・・・でも隣にいるだけでいいって

   思えるから・・」

ののみ「・・・(うなずき)」

愁  「幸せにできる確証はないけど・・・幸せになれる確証は

   あるかも・・・」

   ののみに別の手紙を見せる愁。

   手紙 宛先「愁君へ」

ののみの声「(手紙を読みながら)まだまだ未熟で愁君に迷惑

   かける駄目な奥さんですけど、愁君に幸せにして

   もらいます」


149. ミニ公園 屋外 その後

   イルミネーションの光のシャワー・フラッシュの下に二人。

   ののみ、愁の胸に、顔をうずめようとする。

   愁、ののみの両肩を掴んで。

愁  「鼻水・・・」

   鼻水を手袋で拭くののみ。

   愁、ののみをハグして、頬を両手で挟んで、キスをする。

愁  「冷たくて、感覚無い・・・」

   ののみ、手袋を脱ぎ、愁のほほを素手で挟む。

    XXX

   逆光線の光の中の影。

   タキシードにダウンジャケットを着たミハエルが立っている。

   手の平を上にして、差し出し、二人に手招き。

ミハエル 「ダイヤ・・原石・・・返して」

二人 「・・・ダイヤ~~(叫ぶ)!」


150. 河原 後日 ののみバースディー 2月 卒業

   陽光、水面がきらめく。

   学生制服の、ののみと愁。

   ののみは頭にティアラとブーケ、薔薇のブーケを持つ。

   愁の左胸に薔薇のブートニア

   (二人だけの結婚式)

   逆光、手を取り合い、やがて重なる二人の影。

   XXX

愁  「誕生日おめでとう、卒業おめでとう」

   ののみの首元と耳に光るアメジスト。

ののみ「卒業おめでとう、今日までの軌跡、

   アメイジング(奇跡)だね」

    XXX

   山の上、夕日が傾く。

   手の望遠鏡で川面を覗くののみ。

愁  「何が見えるの?」

ののみ「ダーリンの笑顔」

   キラキラ波が光ってる。

   愁も望遠鏡を覗く。

ののみ「何が見える」

愁  「ののみの・・・変顔!」

ののみ「変顔してないけど(半泣き)・・・」

   愁、ののみの頬を両手で挟んで・・・キスをする。

   ののみの涙が、頬をつたって、愁の手に流れてくる。

愁  「ののみの・・・笑顔」

ののみ「(微笑む)・・・」

    XXX

   やがて大学生活が始まって、ののみも忙しい日々を送ってる。

   (いろいろなシーン)


151. THE END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『キラキラ望遠鏡』 @thukikage

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ