ヴァンと共闘しよう

 クリスタルゴリラを倒し、次の試練はシルフィとホノリが一緒だ。

 今度は宙に浮く紫のでっかい魚だ。


「ライジングナックル!!」


「爆熱バンカー!!」


 ホノリの火力はありがたい。

 群れで出てくるから、まとめて狩り尽くそう。


「ライジングワイヤー!」


 雷の網で漁をする。びちびち跳ねているところが実に魚だ。


「いくよー!」


「少しでも減らす!」


 シルフィとホノリが攻撃してくれている間に、天井へと電撃を溜め込む。


「よし、離れろ! ライジング……吊り天井!!」


 とっさに技名が思いつきませんでした。

 トゲ付き吊り天井そのまんまだし、別に横文字縛りもないんだけれど。


「しいていえばニードルスタンプだな」


「名前思いつかなかったんだね」


「まあな」


 そんなこんなで無事終了。人数減っても個々が強いと楽だな。


「アジュもシルフィも強くなったねえ」


「意外だろ?」


「元からそんなに弱いと思っちゃいないよ」


「そうそう」


 そして魔法陣へ。なんかもう慣れた。


「さて今度は何かね」


 古代の神殿のような場所だ。

 室内のはずだが天井が見える。


「最上階ってことか?」


「おっ、もうゴールか。案外はええな」


 今度はヴァンだ。ひとまず俺の安全が確保されたっぽいぞ。


「よし、知っているやつが来た」


「ん? アジュか。オレにばっか戦わせようとすんなよ?」


「前向きに善処するよ」


『こっからは敵が増えるぜ。ぎりぎり極限状態を二人で乗り切れ!』


 どうやらタッグ戦らしいな。

 フィールドは結構広いし、まあなんとかなる範疇か。


「うっげ人間相手か」


 大量に武器持った人間が出てきた。

 一部人間か怪しいやつもいる。魔族か神族か知らんが面倒な。


『この音声は個別に流れている。そこにいるやつらを徹底的に倒せ。死なない程度にな』


「だとさ」


「あらやだ貴重な体験。ヴァンに任せようかしら」


「さっき言ったこともう忘れてんじゃねえか」


 カトラスを抜いた時にはもう敵が来ている。


「はっ!」


「よいしょおお!!」


 一応魔力コーティングして死なないように斬ってみよう。


「なんのまだまだ!!」


 一撃では沈まないか。急所をずらされた気がする。

 まともに打ち合う気はない。急速離脱でヴァンの近くへ。


「リベリオントリガー!」


 ちょっとまずそうなんで本気モードだ。


「ライジング床下ニードル!」


 追ってくる連中に向けて、下から雷の棘を複数伸ばす。

 まあジャンプして避けられるわけだが。


「お前たちは見誤った。俺がどれだけヴァンに頼り切りかってことをな!」


「結局やるのオレじゃねえか!? 爆裂乱撃!!」


 両拳から触れると爆発する炎が舞い踊る。


「がはあっ!?」


「ヌオオオォォ!!」


 俺に迫っていた危機は去った。

 軽く上に飛び、ヴァンの背中を狙う連中の足止めをしよう。


「ライトニングフラッシュ!」


「くっ……これしきで我々を……」


 上から面で攻撃するってのがポイント。

 避けらんないから防御するしかないやつが出てくる。


「ゥオラア!!」


 あとはヴァンが大剣を振り回せば吹っ飛んでくれる。


「うおおおぉぉぉ!?」


「バカなあああぁ!」


 ヴァンの横に着地。さらに追加で魔法発動。


「サンダースプラッシュ!」


 雷の霧で敵を感知。近づいたやつから斬る。


「ふっ!」


 袈裟斬りに斬りかかるが、敵の剣で受け止められる。


「もらった!」


「そうでもないぜ。パイル!!」


 腹を雷化させてパイルバンカーのように伸ばす。


「ふぐうっ!?」


 まさかの攻撃手段でガードもできず直撃。

 腕だけ横に360度回転させて裏拳を放ち、追撃で腹に蹴りを入れて倒す。


「一体倒すだけで一苦労だな」


 言っている間にまた来る。今度は複数だ。


「今度はオレからいくぜ!」


 ヴァンが飛ぶ。何か高威力の技でも出すのだろう。

 ここは援護するか。


「ライジングハンド!」


 地面から無数の電撃を帯びた手が敵を絡め取る。


「ナーイス! 全力ぶった切りスマッシュ!!」


 巨大な斬撃が地面に落とされ、激しい衝撃が荒れ狂う。


「うわああぁぁ!?」


「パワーが違いすぎる!!」


「空中では無防備だ。先にやつを狙え!」


「ライジングロード!」


 空中に雷で道を作ってやる。足場さえ形成できれば問題ない。


「アンコールいってみようか」


「それではアジュ・サカガミからのリクエストで、全力全開スラアアッシュ!!」


 さらに高く飛び、強烈な一撃が敵を襲う。

 俺にも被害が来る前に、さっさと上空へと避難した。


「いいアンコールだった」


「一回じゃ足りねえらしいぜ」


 下の人々が揃って魔法をこちらに向けている。


「どうすりゃいいかね? この道もっと伸ばせばいけるか? 運命の分かれ道だぜ」


「人生の道までは案内しかねる」


「んじゃこいつにシードかけろ」


 ヴァンの頭上にでっかい火の玉が出現。

 シードって……他人の魔法に埋め込めってのか。


「できるかわからんぜ?」


「できたら面白そうだろ?」


「違いない。サンダーシード!」


 敵の魔法にぶつけるように、火球が無数に分裂して落ちていく。


「合体魔法! 爆雷火激!!」


 爆発を起こした玉が、さらに雷球になって破裂するという二段構えだ。


「さてこれから進む道を示してあげよう、ヴァン・マイウェイの道に幸あれ」


 怯んでいる敵の足元に、電撃のレールを敷いてやる。


「あばばばば!?」


「げべええ!? し、痺れる!?」


「はいオレが通りまーすっと!!」


 レールの横を走りながら、すれ違いざまに殴り飛ばしていく。


「うむ、それが進むべき道じゃ。見失うでないぞ」


「サンキュー老師」


「ええい囲んで魔法を浴びせろ!!」


「あらやだどうしましょ」


 遠距離攻撃主体にされると避けきれないな。


「ここは必殺ヴァンガードを」


「裏奥義アジュガードを使うしかねえか」


「いや俺は無理だろ。盾にならんぞ」


「オレならできるという風潮」


「できるだろ?」


「いやあ厳しいんじゃねえかな?」


 会話しつつも地下から魔力を染み込ませている。

 もうすぐ敵の足元だ。


「魔力供給よろしく」


「こうかい?」


 ヴァンが俺の肩に触れ、さらに魔力増大。

 今更だがこいつ尋常じゃない魔力量だな。


「何かされる前に撃てええぇー!!」


 敵の魔法が発動する。その瞬間を待っていたよ。


「足元注意だ。ライジングボード!!」


 敵が魔法を撃ち出す瞬間、足元から雷と魔力で作った硬めのボードを出してやる。

 それも敵の目に前に。凄く近い場所に。手が触れちゃうくらいに。


「しまっ!? 撃ち方やめぶぼっがああああぁぁ!?」


 当然目の前の壁に当たった魔法は大爆発。

 これで残っていた半数くらいが戦闘不能。


「まあこんなもんかね」


「味な真似をしやがるぜ」


「それが取り柄だからな」


 氷魔法を撃ち出したやつは壁を超えて飛んでくる。

 異常に威力が高いビームも同じ。

 壁が一切耐えられない威力だと無理ね。

 さっさと避けよう。


「来るぜ」


「来ないでくれんものかねえ」


 今度の連中はかなり速い。速度重視はご勘弁。


「ならこいつをこうだ!」


 ヴァンが黄金剣を二つに割って、二刀流で手数とスピードを増やしている。

 そういやあれ分離できるんだっけ。


「オレにはこいつがある」


「自分の心配より俺の心配をしてくれ。サンダースラッシュ!」


 斬撃はするっとかわされる。追撃で巨大な両拳を飛ばす。


「ダブルライジングナックル!」


 避けられそうになった瞬間破裂させる。少しでもダメージ稼ごう。


「爆拳!」


 ヴァンの拳が当たるたびに爆発を起こす。

 なっかなか吹っ飛ばないな敵。タフなのが残ったか。


「一気にやっちまおうぜ!」


「どうやって?」


「斬られる前に斬る。全部な」


 二刀流で魔力の刃を乗せる。どんどん大きくなる炎の刃。


「んじゃ今度は俺に乗ってこい」


『ソード』


 両の剣に電撃を乗せてさらに大きく激しく魔力を流す。

 お互い合図もないのに同時に放っていた。


「合体奥義! 雷炎四葬刃!!」


 四本の巨大な刃が混ざり合い、速度を増しながら敵へと突っ込む。


「うおお! 防ぎきれん!!」


「こ、こんなの無理だ!!」


「手も足も出ないとはあああぁぁ!!」


 大きな炎と雷の混ざった柱が天へと昇り、なんとか全滅させることに成功した。


「はー…………もう無理。おつかれ」


「おつかれさん。流石にオレもへとへとだぜ」


 二人して座り込む。ここまで素で真剣に戦ったのは久しぶりだ。


「相変わらず頼りになるやつ」


「むしろアジュが強くなりすぎだ。もっと素人くさかっただろ」


「今でも素人だよ。もう動けん。水いるか?」


「是が非でも」


 水筒を一本分けてやる。スロットに何本かストックしているのだ。


「あー……きっつ……ガチバトル大嫌いだ」


 倒した敵は転移魔法で消えた。おそらく回復班へ送られているだろう。

 しばらく休もう。ぶっちゃけ一週間は休みたい。


『さあ次はラストバトルだぜい! 今までの戦いを見て、戦ってみたいと思った勇者科の生徒がいたら、お手元のボタンを押せ! 満足するまで闘うのが試練だ!!』


『誰も押さなければ適当なやつをこっちで送ります』


「おいなんか最悪な事言ってねえかあいつ」


「聞こえんな。俺には何も聞こえていない」


 想像より最悪の事態が襲ってきた。

 こっからまだ闘うのかよ。しんどいわボケ。


「さあ愛の試練ですわアジュ様!」


「最悪なやつ来たー」


 よりによってヒメノ来やがった。やめろよ精神攻撃だぞこんなの。


「おいあの女神さんって確か……」


「最悪なことに最上級神だ」


 そこに誰かが転移してきた。


「よっ、ちょーっと興味が湧いてね。お相手願えるかい若いの」


 なぜ帝国の……ザトーさんだっけ、あの人がいるのだ。


「呼ばれてんぞヴァン」


「交流ねえはずだが」


「いやそっちの黒髪兄ちゃんだよ。同系統の魔法が珍しくてな。レクチャーしてやる」


「よりによって俺だー……」


 俺は今日厄日なのかね。


「いくわよヴァン!」


「運動相手になってあげるわ~」


 ソニアとクラリス登場。しかも敵っぽい。


『まだまだ募集中だぜ!!』


『もっと増えて欲しいですね』


 頼むから増えるな。本当に頼むから。鎧使うぞこの野郎。

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