強欲魔王に制裁を

 金ぴか魔王とその息子を殺しましょう。できる限り残虐にね。

 運はもう普通に戻した。ここからは暴力のお時間です。


「死ねい!!」


 よくわからん魔力波が飛んでくる。

 まったくもってパワー不足だ。


「いやあクソ弱いねお前」


 普通に歩いていって殴り飛ばす。


「ぷぎゃう!?」


 机や椅子を巻き込んで豪快に吹っ飛んでいく。

 うむ、気分がいいね。いくら壊してもおっさんの城だから問題ないし。


「おっさんのチャレンジはもう少し後だ。まだ殺しはしない」


「く……マジックアイテムが偽物だったのか……?」


「違う違う。お前が弱いんだよ」


 頭を掴んで顔に電流を流していく。

 顔とか焼いていこうね。


「あばばばば!!」


「パパを離せ!!」


「はいよ」


 焦げたおっさんを投げつけてやる。


「ぺげえっ!?」


 親子揃って転がっていくさまは哀れで滑稽で素敵よ。


「なんですのあの力は」


「ちょーっとナスターシャちゃんはお外に出るのじゃ」


「え? いえあのサカガミ様が……」


「いいから行こうね。ここからは見ちゃダメだよ」


「じゃあボクが連れて行きますねー」


「メインイベントはR指定じゃ」


 パイモン兄妹とシルフィ、イロハが外に出る。

 アシスタントはリリアでございます。


「さーて、まずはこの坊っちゃんだな」


 坊っちゃんだけルーレット卓まで蹴り飛ばす。


「どうせなら遊び要素入れようぜ」


「あああぁぁぁ!? やめっ! ぎいぃぃぃ!!」


 目玉を片方えぐり取り、適当にルーレットを回す。

 ボールの代わりにしてみよう。


「さーて赤かな黒かな」


「ではわしは黒に賭けるのじゃ」


「んじゃ俺が赤だな」


 ころころと回る坊っちゃんの目玉。

 やがて結果が先読みできてしまう。


「あ、やべえ」


「にゅっふっふ。これはわしの勝ちじゃのう」


「ちっ、坊っちゃん。手を貸せ」


 床で悶絶している坊っちゃんを蹴り上げ、首に指突っ込んで横に引く。


「あっ、あぎ……あがが……」


 大量の血が吹き出し、ルーレットそのものを真っ赤に染めていく。

 これで全マス赤だ。


「よし、俺の勝ちだな」


「それは卑怯じゃろ」


「イカサマはばれなきゃいいんだよ」


「目の前でやったじゃろうが」


「んじゃもう一回だ」


 もう片方をくり抜いて投げる。


「えう……あ……」


「全マス赤のままじゃろ」


「そこは数字でいこうぜ」


「16」


「7」


 結果見る前に坊っちゃんが死にそう。

 もう呻き声をあげるだけだ。


「つまらんな」


 耳を削ぎ、鼻を取り、歯が全部砕けるまで殴ったが、どうも反応が薄い。


「うむ、16でわしの勝ちじゃな」


「途中で魔法使ってたのばれているからな」


「そこは目をつぶって欲しいのじゃ」


「おっとおっさん。どこに行こうというのかな?」


 魔力のビームで右肩を撃ち抜いてやる。

 逃げようったってそうはいかないぞ。


「うがっ!?」


「息子を助けるでもなく逃げようとするとは、薄情な親だこと」


「頼む、残りの金もやる。だから……」


「息子がかわいいか? 助けたいか? 助けてやらんでもないぞ」


「ど、どうしろというのだ!!」


 お、助けようという気概があるのか。

 ちょっと感心。なので坊っちゃんに回復魔法を掛けてあげる。


「とりあえず」


『ソード』


 切れ味のいい剣に持ち替えて、坊っちゃんの手の指を全部切断した。


「ああああぁぁぁ!? パパ! パパアァ!!」


 回復して元気になったからか、叫んでのたうち回る坊っちゃん。

 いいね。気分が乗ってきた。

 ついでに手首まで切っちゃおう。


「やはり悲鳴はあった方がいいな」


「貴様! 話が違うぞ!!」


「無傷でとは言っていないからな。さ、食えよ」


 おっさんの足元に指十本を投げてやる。


「今なんと?」


「犬みたいに手を使わずに、息子の指を全部食いな。俺の気が変わるかもしれないぜ」


「き……貴様ああぁぁ!! どこまで愚弄する気だ!!」


「俺が満足するまでかな」


「痛い! 痛いよおおおぉぉ!!」


「黙ってろガキ」


 顔に裏拳ぶつけて気絶させる。しばらくすりゃ起きるだろ。


「息子に手を出すな!」


「その息子は手がなくなちゃったけどなあ! はっはっは!!」


「活き活きしておるのう」


「さあ食え。お前らが助かる道はそれっきゃ無いぜ」


「ぐ……このような屈辱……」


 それでも血まみれの指を一本口に入れようとしてためらっている。

 こっちはもう飽きちゃったよ。


「もういいや。つまらん」


『バースト』


 坊っちゃんを爆弾に変え、おっさんに向けて投げてやる。


「おぉ……」


 両手を出して息子を受け止める構えを見せるが、まあそこまで甘くはない。

 手が触れる直前に爆発を起こし、坊っちゃんは粉々に吹っ飛びましたとさ。


「ざーんねん。変わりませんでしたー」


 爆風で焼けることも気にならないのか、呆然とした表情を見せてくれる。


「はっはっはっは!! いやあざまあないねえ!!」


 うむ、気分がいい。心がスカッと爽やかな気持ちで満たされるぜ。


「お……おぉぉ……おおおおあああああああぁぁぁぁぁ!!」


 今日一番の悲鳴だ。

 俺の仲間に手を出そうとした報い、存分に味わってくれているようで嬉しいよ。


「ステージの幕を開けろ」


「ほいほい」


 おそらく劇とかバニーが踊ったりとかする用の舞台だろう。

 幕が下がったままなので利用します。


「さあて、舞台中央にいるのはどなたかな?」


 幕が開き、舞台中央で縛られ、さるぐつわ噛まされて上から吊られている女。

 その足元からおっさんまで赤い絨毯が伸びていく。


「アリシア!!」


 そう、このおっさんの奥さんだ。そんな名前だったのね。

 光速移動で拉致っておいた。


「せーいかーい。助けたいかい? 助けたいよなあ?」


「こっ、この!! 妻までも侮辱しようというのか!!」


「はい動かない。まだ説明の途中だよ」


 手刀で顔に十字傷をつけてやる。

 ここで殺すともったいないので、適当にいたぶるだけ。


「おおおおぉぉぉ!? 傷が! 私の顔に傷が!」


「さっきから傷つきっぱなしだろうが」


 焼けただれて血が吹き出している。

 中身までは金じゃないのね。

 ますますメッキっぽくって安っぽい。


「おっさん、ここは金の国だろ? なら買ってくれよ。この小汚い淫売までの歩数を」


 理解できていないようだな。

 俺は優しいのでちゃんと説明してやる。


「まあ簡単なゲームさ。楽しんで欲しい。一歩で十億だ。どんな大股で歩いてもいい。ただし必ず片方の足を地面につけろ。歩くとジャンプは別物だ」


「よくまあ無駄な知恵が回るのう」


「ついでに女の身柄が五億だな。お前の中古品だから半額にしてやるよ。ひゃっひゃっひゃっ!!」


 やばい超楽しい。ストレスが全部飛んでいくのをひしひしと感じますよ。


「ちなみにあそこでカラスくんも見ていますので」


 魔力で作った檻に入っているカラス。

 おとなしいねえ。もうちょい暴れると思ったが。


「飼い主の威厳を見せるのじゃ」


「ほーれがんばれ! がんばれ!」


「うううううぅぅぅ!! 絶対に、絶対に許さん!」


 できる限り大股で一歩一歩を噛みしめている。

 ここまでで十歩。ボロい商売だわ。


「急ごうな。六億であの小汚い女を買いたいって人が出てきちゃうかもよ」


「ぬううううぅぅぅ!!」


 必死に大股で歩いている。金にがめついね。

 この期に及んで被害を最小限に抑えたいのだろう。


「もう飽きてきたのじゃ」


「俺もだ。ちょっと距離長くしすぎたな」


「今後に活かすのじゃぞ」


「へいへい」


 そしておっさん到着。

 女のロープをほどきにかかる。


「よ、よし! 今助ける!!」


「おめでとう。おひねりをやるよ」


 おっさんの足元にコインを投げる。

 ちゃりーんという音が響き、女の顔が緑に変わっていく。


「なっ!? どうした!?」


「コインが落ちる音を間近で聞くと、全身が緑色になり、でかい腫瘍ができる。そいつが内側から爆発して、毒を撒き散らしながら死ぬのさ。あんたの女にだけ発症した奇病らしい」


 ポイズンキーで専用の毒を作った。

 本来毒は扱いが難しいので作らないし、使わない。

 上・中級神や概念的存在には毒とか効かないから無駄だし。

 今回だけの特別製さ。


「あ……あな……た……助けわひぃ!!」


 緑色の奥さんがどんどん肉片と毒を撒き散らす。

 ちなみに空気に触れるか宿主が死ぬと毒は全部跡形もなく消える。

 でないと広まっちゃうからね。無害な人は殺さないようにしましょう。


「アリシア! アリシア!!」


「あっ……うえっ……あうあ……ひえふ!?」


 そして最後に大爆発。

 舞台に肉片が飛び散り、おっさんも舞台からぶっ飛ばされた。

 さて仕上げだ。這いつくばり、命乞いをするおっさんに歩み寄る。


「頼む……助け……」


「ぺっ、カスが」


 ちゃんとおっさんの顔につばを吐く。これをやっとかないと爽快感二割減である。


「家族仲良く地獄へ落ちな」


「い、いやだ!! 金ならある! まだあるんだ!!」


 右手に魔力を集中。

 おっさんに打ち出し、天井を貫くほどの光の柱がその身を消す。


「そんな……私は魔王……うわあああああぁぁぁぁ!!」


 これにて閉幕でございます。

 面白かったが反省点も出たな。


「ちょっと間延びしたのう」


「爆発に偏ったことも反省しないとな」


 次はもっと娯楽性とか追求しよう。

 いやもう二度としなくていいのが一番嬉しいんだけどな。


「さーて、それじゃあ本体にも罰を与えてみるかね」


 わかりやすく魔力波を作り、カラスに向けて撃ち出す。

 魔力の檻を壊し、膨大な瘴気が相殺した。


「何故わかった?」


 カラスから威厳のある渋い声がした。

 やはりそういうことか。おっさん弱すぎておかしかったからな。


「カラスにしちゃ魔力が高い」


「召喚獣という可能性もあるだろう」


「魔王を名乗っているおっさんより高いのはおかしいよなあ? 隠したつもりか? バレバレなんだよ」


 鎧を着た瞬間わかった。このカラスが本当の魔王だ。

 おっさんを魔王と思わせ、裏で動いていたのだろう。

 なかなか賢いねえ。


「ちなみにわしらを奪おうとしたのは、どっちの意見なんじゃ?」


「使えぬあの男よ。我は財産にしか興味はない。金が、宝が、我の生きる糧よ」


「俗っぽい魔王だな」


「我に気づかぬふりをしていれば、少しは長く生きられたものを」


「俺は疑り深いたちでね。可能性のあるやつは全員殺しておかないと、安心して二度寝もできやしないのさ」


「ほざけ。偽物を倒したからといっていい気になるなよ」


 カラスに瘴気が集まり、大きく姿を変えていく。

 クライマックスいってみようか。

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