-3-夢?現実?

ー次の日の朝

かなりの急展開だった。

「え?」

「いやだから、今日放課後話がある。」

まさかの一登からだった。

「良いけど、、、なんで?」

「まあ詳しくはその時話すからさ。放課後えみりのクラスで待ってる。」

「うーん、わかった。。」


とてもドキドキした。それと同時に不安でもあった。

もし、傷つくことを言われたら。もう話さないでほしいと言われたら。いろいろなことを考えた。


「おはよ!」

「あ、美穂。おはよう。」

「さっき麻生君と話してなかったあ?」

ニヤニヤしながら聞いてくる美穂。イケメンで人気者の一登は、下駄箱にいるだけでも話題になるのだ。そんな彼と話せていることは奇跡なんじゃないかと、話す度に思う。


((えみりと一登の出会い))


「あのー、ノート落としましたよ。」初めての会話はこれだった。

「あ、本当だ。ありがと。」

その場を去ろうとした時、

「あのさー。」

後ろを振り返る。

「名前なんていうの?」

その瞬間胸が高鳴った。

「え?わ、私?」

「君以外誰がいんの?」彼はケラケラと笑いながら言った。

なんて素敵な笑顔なんだろうと、初めて会った時から思ったのだ。

「高杉えみりです。」

「俺は麻生一登。ノート拾ってくれてありがと。」

そう言って彼は去っていった。




これが私と一登の出会いだ。

誠実で、明るい笑顔で場を和ます、それが麻生一登だ。



「えみり!えみりってば!」

「へ?」

「もー、ずっと意識どっかいっちゃってるんだもん。」

「あ、ごめんごめん。」

「なんかあったのー?ニヤニヤして意識飛んでるし。」

そんな美穂もニヤニヤしながら聞いてくる。

「んー、まぁね。」

「なにそれ!なにがあったのよ。」

「実は、一登に放課後呼び出されんだよね。」

「え?!一登ってあの麻生君だよね?」

「うん、そう。」

「それってもしかしてさ、告白じゃない?」

「え?ないない〜」

とは言いつつも、内心期待している自分がいる。

もし告白だったら?そりゃもちろんオッケーする。



授業も全く集中できなかった。もちろん原因は一登だ。

胸が高鳴って、顔も火照っていた。


ー放課後


教室にはすでに一登がいた。

「おー一登!何でうちのクラスいんの?」クラスの男子が聞いた。

「あー、ちょっと用事があって、人待ってんの!」

「なるほど。じゃあな!」

「おう!」


ソワソワしながら、廊下をウロウロしていた。

モテる一登が私に何の用だろう、と。


「あのー、高杉さーん、気づいてますよ。」

「へ?!」

そこには教室から顔を覗かせる一登がいた。

「いやいつになったら入ってくれるのかなーって。」

「うん、いや、なんかね、ほら、緊張?しちゃってさ?」

「ふーーーん。とりあえず教室入って。」

「は、はい。。」


空は紫とピンクの綺麗なグラデーションだ。ふわふわと浮かぶ雲は、白く軽く空に漂っている。


「本題だけど、今さ。」

心がチクチクする。

「彼氏とかさ、いたりする?」

する?の瞬間一登が私の目をじっと見た。

「い…ないよ。」

教室にはバスケ部の声しか響いていない。

空気が張り詰めているようで息苦しい。




「もしよければ、俺と付き合って下さい。」




手を差し伸べる一登。そしてまた私のことを見つめる。

一登は、大きくて真っ黒な綺麗な瞳をしている。体が焼き尽くされてしまうんじゃないかというくらい体が熱い。


「俺さ、えみりと話してると心が軽くなって、めっちゃ楽しいんだ。いつも明るくて笑顔を絶やさないえみりが好きなんだよ。」


夢のようだ。昔は話せるだけで幸せだったのに、まさか好きだと言われるなんて考えてもいなかった。まあ少し期待してしまったけれど。


「返事は急がない。えみりが俺のこと考えてくれたらでいいし、無理に付き合ってなんて言わないから。」


そう言い残し、一登は教室を出て行った。














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