-2-ツイてる日
「うーんわたしも特にはいないな(笑)」
「なんだよ(笑)」
この会話で私は明日も頑張れる。麻生君はなんて天使なんだろう。
ー次の日の朝
「あっ。」朝一番から出会ったのは滝本君だった。
「先輩、おはようございます。」
「おはよう〜」
「昨日はLINE追加してくれてありがとうございました。」
律儀な子だなあと思いながら教室に向かう。
「あ!えみり!」
「美穂〜おはよ!」
「ねえねえ、さっき下駄箱で話してた子誰?もしかして彼氏?」ニヤニヤしながら聞いてくる
「なわけないじゃーん。ただの後輩だよ」
「まあそーだよね、普通だし(笑)」
なんだかんだで普通に1日を過ごし、委員会の時間になった。
「ではこれから資材委員会を始めます。よろしくお願いします。」
「お願いしまーす」
今日は生活委員と合同での作業で、圭太と滝本君もいた。
「おーえみりー、暇じゃね?」
「まーねー」
そんな他愛もない会話をしていたら、
「先輩」と声をかけられた。
「最寄り一緒ですよね?昨日見かけました」と言われた。
「あ、うん、○○駅ね」
「おーい高杉ー」
「あ、ごめん、呼ばれたから行くね」
難を免れた。何を話せばいいのか全くわからないしなんであんなに話しかけてくるのだろう。
「ねえ」とっさに振り返る。
なんとそこに立っていたのは麻生君だった。
「え、麻生君!なんでここに?」
麻生君は学級委員なので、資材委員にくるのはおかしい。
「ちょっと暇になっちゃってさ。何してたの?」
「あ、今日は電球の発注してて。麻生君こそ委員会なのに大丈夫なの?」
「うん、今日は各委員会の見回りなんだけど、資材委員のぞいてみたくてさ。」
心の中で神様ありがとうございますとお礼を言う。
麻生君に会えるなんてなんて幸せなんだろう。
「それにしても高杉さんって面白いんだな。」
「え?」ひやっとした。もしかして面白いって昨日のことじゃ…?
「いやだってさ、いきなり好きな芸人聞くか?笑っちゃったよ(笑)」
恥ずかしすぎる。穴があったら入りたいとはまさにこのこと。
「うー恥ずかしい…」
「いや」麻生君が真面目な顔で言った。
「そーゆーのいいと思うけど。」私の顔をじっと見ながら言う。恥ずかしすぎて目をそらす。
「というかそろそろ麻生君呼びやめよーよ。一登でいいって。」まさかの麻生君から名前呼びさせてくれるなんて。
「是非呼ばせて下さい!!!!!!私はえみりです!!!!!」
「ぶはっ(笑)ほんと面白いな、えみりって。」
えみりって。えみりって。この声が頭の中でリピートされる。
なんてツイてる日なんだろう。
「じゃあまたね。」
麻生君、いや、一登が帰って行く。
もう死んでもいいくらい幸せなひと時だった。
ーその日の夜
ピロンッとケータイがなった。一登かなと期待をしながらも、ケータイを見て落胆する。滝本くんだった。
正直言って、滝本くんがなぜ私にLINEをしてくるのかわからない。強い接点があるわけでもないし、特別何かを話したわけでもない。なんとなく会話してなんとなく挨拶をするだけの関係。
「先輩って麻生一登って人が好きなんですか?」
直球すぎる質問。確かに好きだけどそんなこと言って広まったら困るから誤魔化す。
「さあどーでしょう。滝本くんには秘密です。」
「というか先輩そろそろ滝本くん呼びやめて下さいよ〜。俺陸って言うんです。」
こんなに話しかけてくる意味はわからないけど、後輩と仲良くなれることは嬉しかった。
「じゃあ陸か陸君って呼ぶね」
「はい、そうして下さい。」
「さっきの話に戻るけど、陸君は好きな人いないの?」
「んーまあ気になる人なら。」
「えーどんな人?」
「可愛くて優しい人。」
いるんだと思いながら、その後もそのことについてかなり話した。わかったことは、陸君はとても優しい子だと言うこと。そしていい子だ。
するとまたもやピロンッとなった。
「今暇?」一登からだった。
「暇だよ!」ハイテンションで答える。
「じゃあなんか話す?」
「話す!!!」今日は本当にツイてる。
一登と何回も話せたし、向こうから連絡が来る。これだけでご飯3杯は食べれそうだ。
彼女いるのかな、好きな子いるのかな、と気になる気持ちを抑えながらとにかく話した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます