最高の愛をあなたと

@twilight_love

-1-彼との出会い

ー高校2年の春、私が出会った後輩は、運命の相手…?



「えみり!」

「美穂!久しぶりー!!」

今日は新年度。友人の葛西美穂とは久々の再会。

「春休み全然合わなかったね〜。」

「毎日塾だったからさあ」

美穂は都内有数の私立の大学を狙っているらしい。そのため、早くから受験勉強を始めているようだ。


私が通っている学校も、かなり学費の高いエスカレーター式の一貫校。大学まである。私の家からは遠い。



「えー、今日から新年度だ。今年度も努力を惜しまず、日々成長しながら学校生活を送るように。」ガヤガヤした教室に、ドンこと担任の大森先生の声が響く。なぜドンと呼ばれているのかというと、単純に見た目がドスンとしていてドン小西に似ているから。

うちの学校にはクラス替えがなく、3年間同じメンバー同じ担任。


「ねえねえ、委員会のメンバーどうなるかな?」後ろの席の美穂が尋ねてくる。

実はうちの学校では、委員会のリーダーを2年生が担当する。3年生は受験に専念するため、委員会の制度がなく、1.2年合同でやるのだ。私は資材委員に所属していて、なんと、今年の資材委員のリーダーを私がやることになった。

「うーん、私はリーダーだからメンバーが良くてもあんまり話せないしなあ。後輩の方が気になるかも。」

「お?もしや今年は後輩狙いかな?笑」

「いやいやないって!笑 麻生君気になるし〜。」そう、私には気になる人がいる。A組の麻生一登。かっこよくてスポーツもできる人気者。到底私には夢のような人だと思っていたけれど、彼が落としたノートを拾ったことで、少しだけ話すようになり、彼の誠実なところにとても惹かれた。


「じゃー、ホームルームは終わり。委員会に移れー。」

資材委員の名簿とペンを持って資材委員の教室に向かう。

ガラガラとさびれたドアを開けるともうほとんどの生徒が揃っていた。

「はい、じゃあ委員会始めるから席ついてー。」ガヤガヤしながらも、なんとか静かになった。

「今年度、資材委員会のリーダーを務める、高杉えみりです。よろしくお願いします。」

資材委員はなにをやっているかというと、学校の資材を探検したり発注する。隣は生活委員で、発注した資材を設置する委員である。


資材委員も順調に進み、暇を持て余していた時、2人の男子生徒が現れた。2人とも生活委員で、1人は私の親友である三木圭太だった。もう1人は見かけない顔。恐らく一年生なんだろう。


「やっほーやっほー。」

「圭太も生活委員のリーダー?」

「そうそう。こいつ後輩の滝本陸ってゆーの。お前と最寄り一緒だよ。」

「よろしくお願いします。」

「あー!よろしくね。」

第一印象、普通。いたって普通。イケメンかブサイクかと言ったらイケメンよりだけど、特にかっこいいわけじゃない。

「じゃあまたねー。」

圭太と滝本くんが帰って行った。



ーその日の夜

「あれ?この子って」SNSをチェックしていたらフォロワーが増えていたのでみてみたら、委員会の時の滝本くんだった。

DMが来ていたのだ。


「先輩、これ俺のLINEです。よかったら追加してください。」らしい。


いきなりどーしたんだと思いながらも、とりあえず追加した。


ピロンッと音がした。滝本くんからだ。

「先輩追加ありがとうございます。」

まあ普通のLINEだ。

「いーえ!よろしくね」

普通に返す。大体の人ならここでスタンプを送って終わり。けど彼は違った。


「先輩兄弟いますか?」

「習い事とか何やってるんですか?」

「趣味はなんですか?」

とにかく質問攻め。


「一人っ子だよ〜」

「英語の塾行ってるよ」

「うーんダンスかな?」

とにかく答えるしかない。


そんな中、またピロンッと音がした。

また滝本くんか…と思いながらケータイを見ると、そこには”麻生くん”と表示がしてあった。

ドキドキしながら中身を見て見ると、


「明日の時間割何?」と来ていた。


しかし、彼とわたしはクラスが違う。なぜだろうと思っていると、


「ごめん、うちのクラスの高杉と間違えた」とのこと。


「なんだあ。」と思いながらも、

「大丈夫だよ!」と打つ。


ノートを拾ってから話すようになったというものの、彼とはクラスが違うし、話す機会もない。ここは頑張らないと、と思い、


「好きな芸人だれ?」と送った。だが、我ながら失敗してしまった。まず第1、いきなり聞く話題が芸人なのがおかしいし、必死感がありすぎる。


自分の不甲斐なさに落ち込んでいたら、麻生君から返信が来た。

「んー特にはいないかな。」とのこと。

デスよねと思いながら、こんな質問をしてしまった自分を殴った。


「ピロンッ」

「ん?」

ケータイを見ると

「高杉さんは?」という文字が。

にやけが抑えきれない。なんて嬉しいんだろう。





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