11 コンクール前夜と一冊目あとがき 9/16
〇2005年9月16日(金)
二日目のホール練習日。明日コンクールじゃん。
ということは、やった! 明日、あやねの顔が一週間振りに見られる!
この日のメールはあやねのほうが落ち着いていて大人っぽくてさ。私のほうが子どものように甘えん坊なんだよ。
気づいた? いまこうやって、あやねからもらったメールを見ながら書いているんだけどね、私がダダこねててばかりで恥ずかしい。かっこう悪いや。
でも、たまにはこういうのもいいのかな。私のほうがあやねに甘えてしまうの。でもさあ、あやねは私に甘えないようにしているのがすごい伝わってくる感じなんだよね。甘えないようにしているの? いまは甘えていいのに。なんだよ。もう。
でも、もしあやねと付き合うことになったら、いっつも甘えられても困るもんね。それを許していたら、あやねは甘えん坊の弱い子になっちゃうもんね。
でも、あやねはそうならないよう注意しているんだから平気だと思うよ。だから甘えたいこときは、おもいっきし私に甘えていいんだよ。
明日はコンクールだね。ふう。あやねのためにも、ちゃんと頑張ろって思っちゃった。明日は沖縄旅行前に会える最後の日だから、ちょっと無理してでも、あやねのところに行こう。
周りに不信に思われてもかまわない。だって、いまそれどころじゃないもん。沖縄旅行は、あやねにとって、ほんとうに大きな出来事になってしまうだろうから。どうか、傷つかないで帰ってきて。お願い……。
○あとがき一冊目を書き終えて
二日間足らずでこんなに書いたのか。ちょっとすごいな。初体験だ。
でも、スラスラ書けるんだよ。思ったことをただ書いているだけ。今回書いた三週間は、本当にあやねのことばっか考えていたんだな。
このノートを、他の人が読んだらどう思うのかな。電車男より感動的かな?(笑)今度、シンガーソングライターでもある高梨さんにこのノートを貸して、作詞作曲をしてもらおうかな。
……恥ずかしくて無理か。これを大里君にみせたら、どうなのかな?
……もっと無理だわ。できるわけないや。
あやねには、見て欲しいな。こんなにあやねのこと想っているんだぞって。あぁ、指がイタイ……。肩もイタイ……。
でも、沖縄に行っているあやねのほうが何倍も辛いんだけどね。
沖縄から帰ってきたら、あやねが私のこと好きじゃなくなってたらどうしようとか……バカなこと考えたりもしちゃうんだよ。
早く帰ってこないかな。傷ついてないといいな。お願い。神社にいって、神様にお願いしてこよっかな。
まだわかんないけどさ、大里君と私の関係は不思議と平気だと思うんだよ。いままで、どれだけ私と大里君が信頼し合っていたかってことだから。あやねのためにも、自分のためにも、大里君のためにも、私と大里君の関係は壊れちゃいけないね。あとは、あやねがこれ以上傷つかなければ、いうことないよ。
あのね。私はこの痛みを、分け合えると思うんだ。
「癒えぬ痛みなら、いっそ引き連れて……」だよ!
あやねが今回のことを一生許せないなら、なおさら一緒にいてあげたいよ。とにかく、早く無事に帰ってきてね。
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