Breakfast①

 みんなの朝ってどんな朝かな?

 お母さんがカーテンを開けてくれて、眩しい陽射しの中目覚めちゃうのかな?

 お台所で朝ごはんを作ってくれている賑やかな音や美味しい匂いで思わず起き出しちゃうのかな?


 同じマンションの隣に住んでる幼なじみの佳奈は、兄弟喧嘩やそれを叱りつける鬼ババア(お母さんの事を佳奈はそう呼ぶんだ)の甲高い声で起こされて毎日うんざりだってお母さん譲りの甲高い声で騒いでたっけ。

 人の数だけそれぞれな朝があるんだろう・・・。

 そうだよ。だからきっとこんな朝もあるんだろうって思いたい、思えたら・・・思えるかぁぁ!


 あおの朝は、

 「うっ!眩しい!!ってか熱いぃぃぃ・・・」

 思いっきり飛び起きて今の自分が置かれている状況を把握しようと周りを見渡してみる。


 そこには、昨日寝落ちするまでは無かった、透明な液体が入ったペットボトルが朝陽が降りそそぐ出窓へセットしてある。

 そのペットボトルにて集められた陽射しは今まであおが眠りに就いていたベッドの枕へと照射されていた。

 「何やってくれちゃってんの!火あぶりになっちゃうとこだったでしょ!!」

 ベッドの隅っこに腰掛けて優しく微笑む美青年はその美貌通りの優しく心地良い声で、「おはよ♡」と、言った。

 「何が、おはよ♡よ!」

 「あら〜朝はおはよ♡ってご挨拶するものなのよ。」

 知ってるし、小さい子でもわかってるよ!なんて思いながら敢えてスルーしようとしていたことをつい聞いてしまった。

 「そのいでたちは?」

 「あら♡気付いちゃった?」

 気づかない方がおかしいからね!

 「魔女♡」

 だと思った。

 「凝ってるね。」

 「でしょでしょ♡りんごのマスコットが可愛いの♪」

 「ん、可愛いね。」

 「眠り姫のあおちを起こしてあげようと思って♡」

 いやいやそれ間違ってるから!

 「それ、魔女じゃなくて王子様だからね。」「え?そうだっけ♡」

 そうなんです。

 「王子様の優しいキスで目覚めるんだよ!」

 「凄〜い♡あおち物知りさん♪♪♪」

 白雪姫、知らない人いるのかな?

 あ、目の前に1人はいるんだっけ!

 「やだぁ〜もうこんな時間♡」

 たしかに。

 「翔兄が変な起こし方するから。」

 「え〜悪いのはアラームで起きれないあおちでしょ♡」

 ま、ね。

 「着替えるから出てって。」

 「良くない?昔は一緒にお風呂入ってたのよ。」

 小さい時だから!

 「良くなくないから、出てって。」

 押し出して着替え始めたら

 ガチャ!

 「パンケーキアップルソース添えよ。」

 バタン!

 油断も隙もないんだから。

 朝から疲れる・・・。


 ふぅ。


 翔兄が部屋の前から居なくなったのを確かめると、自分でも聞こえない程の小さなため息をつくとクローゼットへ歩きかけ・・・

 「やばば、朝戦忘れるとこだった。」


 (おはようございます。あお無事撤退♪)

 ギルドチャット。

 (おはよう、風天碧さん)

 (あおちゃんおはよう)

 (あお♡Σd(≧∀≦))


 今めちゃはまってるゲームのチャット!


 (あお♡今日も学校頑張ょ!)

 この人はnanpさん、いつも元気でいつでもココにいる感じの人。

 風天碧ってニックネームなんだけどついつい あお って言っちゃって・・・リアルだって気付いているのはnanpさんだけ。

 (行ってきます)


 よし!お着替えお着替え。

 楽しげにアニソンを口ずさみながら制服へ着替えると、

 「翔兄遅刻しちゃう!急いで。」

 「はいはい、どうぞ召し上がれ♡」

 テーブルにはレースのランチョンマット、暖かい紅茶とアップルソースがたっぷりと掛かったふっくらパンケーキ。

 ん〜甘くていい匂い♪

 「美味し♪♪♪」

 「でしょでしょ♡お野菜のスムージーもどうぞ。」

 美味しいからゆっくり味わって食べたいけど、朝からの翔兄のバタバタのおかげで一気に胃袋へと流し込む。


 「行ってきます。」

 「あおち待って♡今日燃えないゴミの日だから一緒下まで行くわ。」

 「えぇ〜佳奈にぶっ飛ばされちゃうよ、おくれたら。」

 「すぐだから、のんのんにゴハンあげてて。」

 もう、翔兄はマイペースだから。

 「はーい。」

 

 キッチンの吊り戸棚から缶詰めを取ってお皿へ移す。

 リビング脇のゲージへ声を掛けながら近づくと円らな瞳をキラキラさせながらのんのんはあおを見ていた。

 「おはようのんのん。」

 「のんのんったら、あおちにしか懐かないんだから!」

のんのんはハムスター?

 多分ハムスター。

 いつの間にか居て居ついちゃったらしくてあおが覚えてる限り居る。

 かなり老いてる筈なんだけど、茶色い毛並みは艶モフッとしていて動きも軽いから実はまだそんなでもないのかな?

 「行くわよ♡」

 「はぁい、のんのんいい子にしててね。」


 一階のエントランスで佳奈と合流。

 「佳奈ちゃんおはよう、いつも碧と仲良くしてくれて有難う。」

 「おはようございます、翔さん。」

 佳奈は少し赤くなって会釈する。

 「じゃ行ってくる。」

 翔兄に呟くと、

 「行っておいで、気をつけるんだよ。」

 と、爽やかに手を振った。


 「かっこいいよねえ!翔さん。」

 「どこが?」

 「全て!」

 はあ?

 「羨ましいなあ、碧。」

 何が?

 「イケメンだよ翔さん。」

 始まった!

 「イケメンだし、優しいし、足長いし、声も素敵!」

 オカマだけどね。

 「今日は朝からついてる。レアキャラの翔さんから見送ってもらえた。」

 ん、オカマだけどね。

 佳奈から、翔兄がどれだけ素敵かをリピートされながらいつもの道をいつも通り・・・。

 いつもと違うのは、


[

#include<stdio.h>

int main(void)

{

int a,b,c;

scanf("%d"&a);

scanf("%d"&b);

c=a+b;

printf("%d+%d=%d¥n"a,b,c);

return 0;

}

]


コレは夢・・・?

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AO pino @nano0307

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