竜の月 十三日
俺たちは働き者だ。
朱の月は未だ登らず、蒼の月がようやく薄れだしたかという頃にはもう起き出し
鉱山に出かける。どうせ洞穴の中だから月が何色だろうと関係ないのだが、もう少し休息が許されても良いのではなかろうか。しかしそんな愚痴を溢すわけにはいかない。いつ誰に密告されるとも限らないからだ。ここを取り仕切るのはかの悪名高い「ヘルモンの黒翼」の一人だ。聞かれたらどんな目に合うか知れたもんじゃない。「口に蠅を、肺腑に
今日は新入りが入ってきた。ギャリーとかいう、ブラックゴブリンだ。なんでも
リリス草にのめりこみ過ぎて、ヤバい所に借金を重ねてどうにもならなくなり逃げてきたという。まあここでは珍しくもない話だ。「俺はここで一発当てる、そして札束を奴らの顔面に叩きつけてやるんだ。奴らの尻尾でケツを拭いてやるぜ」とか息巻いていたが、すぐに居なくなるだろう。俺はベテランだ。そういうのはすぐに分かる。クズにはクズの重みってもんがある。クズになる理由すら軽い奴は、この山の嵐に
吹かれて消えるだけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます