第1話 常連客様いらっしゃい。

 カランカランカラン。

午前10時。マスターである夢見 桃が珈琲カップを磨いていると、本日最初のお客様がいらっしゃった。

「いらっしゃいませー。」

「桃ちゃん、何時ものお願いします。」

袴の裾を揺らし、太陽のような笑みを浮かべ入店してきたのは、この店の常連の天照大御神だ。小柄ながらも神としてのオーラが強く、そして、心の優しい神であることから、皆に好かれている。


「はぁーい、分かりました。カフェオレですね。」

桃はこくりと頷くと夢見喫茶ブランドで作ったカフェオレを淹れ始める。天照大御神は週に4回ほど訪れ、この喫茶店でカフェオレを飲む。


「そういえば桃ちゃん。お店の内装、ちょっと変えたの?」

「そうなんですよ。流石、天照さんですね。わかっちゃいますか!!」

天照が窓辺の席へと座るとほうと微笑む。彼女の周りだけ時がゆっくりと流れているかのように感じるほど美しい。


「お待たせしました。カフェオレです。」

10分ほどたつと、柔らかな白い湯気をたたせたカフェオレを桃が運んできた。

「ありがとう。いただきます。」

白いカップを思わず見とれるように美しい仕草で天照が持ち上げる。窓から暖かい日が流れこんでいる。そんな光景が見られるのがこの喫茶店の良さなのだ。


「んんんっ...、美味しいー。」

表情を緩め、ゆっくりとカフェオレを啜っていく。

....、あれあれ?また、神様がいらっしゃったみたいですよ。

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神様いらっしゃい。 黒豹 @Jet_blackangel

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