#148 BE FREE(心を解き放て)
羽根よりも軽く、鉛よりも重たい
なけなしの勇気を集めて決死の思いでその内に、それでもなお小さく頼り無い灯火を
過多によるパンクは前提、処理落ち上等のクソみたいな頭でパッと思い付くのは……って、ああ、そうだ…んん、くそ――駄目だ。何一つとして思い付かないな。吐いた
今更ながら、本当に遅まきながらの感想だけど、僕の
直面する事態を好転させる術の一つは何もない。
悪化させる手段すら持たないし、望んでも何一つ得られない。
慣れないシリアス展開の連続で、僕の思考回路はショート寸前といった装いだ…そもそも、僕の持つ頭脳の初期値的に…期待値的にもそのスペックは劇的な変化が悲しいかな、良くも悪くも望めないけれど。
という訳で、一切の学習機能や知性を捨てて、脳筋スタイルのノープランで特攻だ。
行きあたりばったりが僕の性分。その辺でアホ面を晒している他者よりも、割と低い知能が取り柄の僕である。
けれど、例え無策でも為せば成るし、無能でも成さねばならぬ。そう信じて足掻くだけ。
これはそういう種類の闘いだから。
「それでも――阿呆なりに、彩夏の気持ちは理解してる…つもりだから――もう本当に、うん…多分、僕的にはそのつもりだから!」
だから、そのつもりで話すね?
覚悟と自信の程が後ろ向きな意味で伺える様な逃げ口上を前置きして、僕は勝手気まま語り始める事にする。
そういう意味では僕は一切ブレないと言えるだろう。無軌道かつ無鉄砲な一方通行マンとは僕の事だ…!
「君の感じた錯誤……厳密に言えば錯誤では無くて、誤解未満の様な気もするけど、そうだね――君の不運は、別個の要素が同時期に起こってしまったが故の不幸だと僕は思う」
アウトローな一方通行マンを名乗った身の上としては些か重い足取りの口振りで恐悦至極の限りを尽くすけれど、僕の語りは概ねあっちこっちのにっちもさっちも行っては帰るの繰り返しである。
しかし、いい加減本筋に入らなければならないと言う使命感めいた感情も胸中のそこかしこの何処かに確固として存在する。
だから、声を絞り出す。喉からでは無く、心からの声を。
「
だけど、それは全て事実であって、真実の全てじゃない。
なるべく簡潔に、糾弾の色を消しながら述べる。
「それでは…伝え聞いた新山幸恵の
多少なりとも突き離す様なニュアンスを含んでしまい、若干の不安が燻ったが杞憂だったらしい。
彼女は涙を拭い、眉を強く結んで頷いた。確固とした意思を瞳の海に浮かべて「うん、分かってる」と口にして決意した。
それに応えられる返答が出来無い、不器用過ぎて死ぬべきな僕は繰り返しになる言葉をぼそりと放つ。
「ならば、聞いて欲しい。そして、判断して欲しい。君の父親の犯した…その個人的な罪の全てを。僕の聞いた彼の過去を」
君の経験した暗黒時代の発端を。
「そうして、やっと…僕達は前に進めるから」
ここまで言葉を尽くして、君の為のレールを引いた。
何度も屈曲して、幾度も振り返りながら立ち戻って――ようやく、ここまで来た。
僕達の過ごしたそれらはきっと必要不可欠なもので、他者にとっては無意味でも僕たちには欠かせない唯一だ。
こういう七面倒でややこしい経緯を経て、ようやく彼女は
希望的な観測は恋人の特権として、僕はこういう種類の未来を不確かな結果として、確固とした決意と共にベットする。
思えば、僕の人生は大体こんな感じの理不尽なゲームの連続で。
よくもまあ今迄なんとかなってきたものだと、個人的な感傷を彼女の過ごした人生のその裏に…そっと重ねてみたりした。
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