#78.5 Self Conversation(自問自答)
そこからは割りかし…結構長い上に停滞した時間であった。
そもそも三時間って何だよ。何を基準として、何処から算出した時間設定なんだよ!
僕としては今すぐ彼女に会って謝罪をしたい気持ちなのに。
散々毒を吐いてから、この期に及んでまだ独善的で自分本位な考えが幅を利かせていることに気が付いて一人苦笑。マジで救えねぇわコイツ。
ファーストフードショップで紙袋に入ったポテトをシャカシャカ――渋味マシマシのバーテンダーみたいな気分で上下に振りながら時間と苦虫を念入りに潰す。
三種のチーズがいい感じに絡んだポテトを銜えて事件を振り返る。酷いものだった。主に僕が。僕の選択が。
自身の純然たる過失であるのは重々承知しているのだが、それを棚に上げた上で『何もあのタイミングでなくとも』と不運を恥ずかしげも無く嘆く自分もいる。
だってあの瞬間に彼女とすれ違わなければこういう事態になっていない訳で、双方に傷は無かった訳で……。
「あー、なんだ。もう、ヤメよう……」
こんなの全部後付の後出しで…言ってしまえば、ただの言い訳だ。
彩乃さんの言に従ってきちんと僕が彼女の存在や可能性を考慮して、配慮した行動を取っていれば傷付けることは無かった。それが全てだ。
しかし、彼女を求めて、仮に結ばれたとして──僕はやっていけるのだろうかと不安になる。この調子では何度も彼女を傷付けることになるだろう。
そうなっても、互いの縁は結ばれたままでいられるだろうか?
はたして僕はそれに耐えられるだろうか?
大丈夫。何度転んでも立ち上がれば良いと誰かは言っていた。
その渦中で人間性を否定されて拒絶されて、その挙げ句人間的に愛想を尽かされたらその時はその時だ。
その時は潔く身を引いて諦めればいい。きちんと諦め切れるかは未知数だけど。
叶ってもいない青写真を描きながら塩分濃度の高い芋を口に入れる。これ昔より絶対量減ったよな…もう打ち止めか…。
寂寞の気持ちと共にセットで付いてきたメインの方――すっかり冷めたチーズドッグに手を伸ばす。
ふと窓の外に目をやれば街はすっかりナイトドレスへと華麗に御色直し。慌ただしい一日が今日もまた敢え無く暮れてしまった…いや、まだ何も終わっていないが。
ふと考えてみればこの一週間全然休んでないな。予定詰め込み過ぎだろこれ。
ラストの一週間はのんびり過ごしたいものだと現実逃避。願わくば彼女が隣にいて、些細な事で笑えていれば最高だ。
堂々巡りの思考の果てにバターになった脳髄は妄想の様な願望に辿り着く。
約束の時間まではまだ少しある。
僕はコーラを口にして自分自身と対話を続けた…。
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