第2話 三百万の切符

 夜更け。ミルク達は馬車に乗り静かにテロの起きた街に向かっていた。幸い近いこともあり朝にはつくそうだ。ニートはぐっすり眠って居るがミルクと蝶子は少し緊張したものもちだった。

 蝶子は横になりながらミルクに語りかける。

「姉さん、本当に行くっすか? 別に今回は見逃しても」

 ミルクはそんな事を知らない顔で銃の手入れをしながら、

「何言ってんだい。せっかくの大仕事じゃないか。これで救出に成功したら大金が入るよ」

 あくまで仕事と割り切るミルクに蝶子は一抹の不安が心にあった。


朝になりそこの街は大きな川と鉄と蒸気機関があるスチームパンクな世界。ミルク達は情報収集の為に酒場に向かった。石畳の半地下の階段を下りると煉瓦作りの壁に木製テーブルが並び同じ考えを持ってるだろう賞金稼ぎ達が何十人もたむろって居た。

「しっかししけた顔した奴らしかいないねぇ」

「ちょっと姉さん、開口一番それっすか」

 ミルク達はカウンターに座ると初老の男性のバーテンダーに、

「なぁ、テロリストの情報ないか?」

 初老のバーテンダーはため息をつくと仕方なさそうに、

「今日はその質問は何人目だろうね。僕は知らないがね、賞金稼ぎなら三日後の十一時三分発の十五番列車に乗りな帝国鉄が何かやるそうだ。切符代は高いぞ一人三百万だ」

「三百万?! 蝶子持ってるか?」

「何で自分に頼るっすか。そこまでの大金持ってないっすよ」

 バーテンダーはガラスコップを拭きながら、

「別に来なくてもいいんだよ。ここに居る奴はみんなそれで止まってるんだ。切符も買えない能無しに今回の仕事は無理だろうな」

 ミルクは蝶子の答えに頭をガシガシ掻きながら困る。そしてニートは、

「すいません。何でそんなに高いんですか?」

 初老のバーテンダーは答える。

「それだけの腕利き捜してるって事さ。今回ばかりは失敗は出来ないからな。たく、この前のドンキーさんもそうだが最近は物騒な事が多すぎる」

 ニートはバーテンに無言で平謝りし蝶子はミルクに聞く。

「姉さんどうするっすか? こんな場合だし姉御に頼んで」

 ミルクは再び頭を掻きながら返す。

「それは駄目だ。絶対に姉御は止めにかかる。だがこれは逃したくない。困った」

 ミルクが暫く考えると目を開いて思いつく。

「そうだ」




 二日後。公園の時計の前で一人待つミルク。そこに時計の針が二時を指すと同時に、

「やあやあ、マルコさん。お待たせしました。いやー、この前の約束がまさか現実かするとはこれは夢かはたまたさめない夢か。にしても前回の時はビックリしましたよ。まさかセブンスのボスに殴り込みをかけるとか。もし私もそれを知ってたら懲戒免職覚悟で列車ごと勝ち込みにいきましたのに。え? 列車が突っ込んだらニートさんも死んでしまってたって。確かにその通りだー」

 このマシンガントークの大きな花束を持ってきたサングラスの男は真田行人(さなだ いくと)帝国鉄の三番列車車掌でありミルクに恋をするロボットだ。

「ひさしぶりだな。真田。元気してたか?」

 ミルクは気軽に話かける。

「そりゃもう、常に時間に正確と言う事は健康状態が維持出来ているって事で時間の維持とはまさに健康の維持そしてそれをこなすには強い意志が必要。ダイエット中にこれを食べようあれを食べようとついつい食べてしまうのはそれは時間や健康の意志薄さから時間に正確に朝昼晩食べてその空き時間に運動すれば安定した健康が付いてくる。でもでも私はロボット。実はメンテナンスさえこまめにしていたら健康は保たれるのです」

「あーもう、やめだ。このテンションに付いてくのは三分が限界だ。すまん、真田。担当直入に言う明日の十五番列車に乗りたい」

 大きくため息をしたミルクは一謝りし事を伝えた。

 すると真田は顎に手を当てて考える。それはミルクの過去を知っての事でこの案件に入れるべきかの判断だった。そして、

「いいでしょう。正直、マリー氏やカフェオル氏には怒られそうですが私個人としてはミルクさんの心情を買いたいので明日の十時十五分に切符をお渡ししましょう」

 するとミルクは手を叩きながら喜び、

「本当か、ありがとう。じゃあ、明日の十時にな。じゃあなー」

 ミルクはそれを聞くと手を振りその場を後にした。

「あれ? マルコさん、デートの約束は?」

                  終

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マカロニサラダウエスタン2 竜宮城 司 @tukasa444

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