震狼
当然、その動きを感知して、
「大したもんだねぇ。流石は……おっと、言わない方がいいのかな?」
外部で起きている凄絶な環境も何処吹く風か、場違いな程長閑な声を上げたのはジラ・ハドゥである。複座式の
「…………」
機体表面に取り付く
全身を、骨の髄まで
雲が明け、広がる大地が見えてきた。点在する緑と、灰色じみた陸上……。
次第に重力の見えざる手に従って、底へと降りていく。まま当然の帰結、それこそ原初より運命づけられていたように、
胸部装甲が展開され、操縦席が外気に触れる。既に大気組成等は
「ちょっと埃っぽいかな」
胸部から飛び降り、惑星イラストリアス4の大地に足を降ろす。脚部のコンテナに向かうと、彼を待っていたかの如くにハッチが開き、中から蒼いMBが姿を顕した。縦二眼の無機質な複眼仕様カメラアイ、右腕の禍々しい瘴気を放つ
「さあ、オドナータ。暴れたいだろう? あの少しの辛抱だよ」
オドナータ。そう呼ばれた艶めく蒼い車体が、曇天の隙間から木漏れ出る光を反射させる。ジラにはそれが物言わぬ刃金の巨人の返事に思えた。
愛車と
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