接見
二日後。偶然にも近い星系に滞在していたという
真夏の日差しが
額に滲む汗を拭きつつ、灼熱の太陽に炙られた風に顔を顰める。暑い季節は嫌いだ。いつかの、迸るマグマの海の惑星でワイヤーが切れて、あわや消し炭になりかけた仕事を思い出す。EMP’sの隔壁を伝播してくる、肌を沸騰させようと紅く燃え滾る熱。視界が黒い靄に包まれていき、次第に己の身体の在り処を忘れていく恐怖。
「もっと涼しいところで待ち合わせるんだったかな……」
独り
「…………」
逆光で影を濃くした相手は、
――若い。
ルードとて
「えっと、龍神神門さん、ですか」
「……ええ」
想像よりも低めの声。
灼けた視界が色を取り戻してくるごとに、影法師が鮮明さと色を象どっていく。黒い髪、黒い瞳、相貌の造り……純粋な秋津人の少年だ。ルードよりは歳上と見えるが、それでも二十歳には満たぬのはわかる。脳内チップを走らせ、彼の服装をそれぞれ精査していく。
立て襟のセミダブルライダースジャケット型の暗灰色の軍服は、あらゆる機動兵器の操縦に対応したマルチライダー仕様。履いている黒いカーゴパンツもライディングに適したもので、所謂箔をつけるといった外連とは無縁な人柄と察せられた。帯びた刀は最も美しい刀剣の一つと称される秋津刀。使い込まれて艶も無くした拵えだが、却って峻烈な死線を掻い潜った歴戦を思わせる趣があった。
どうやら、経歴に嘘はないらしく、幾種もの機動兵器への搭乗を見越した出で立ちはなるほど、年齢こそ若いがライダーとしての心構えをよく弁えているらしい。
「俺はルード。よろしく」
「よろしく」
手を差し伸べて握手する。どうやら寡黙な質のようで、握手に応じはしたものの、愛想笑いの一つも浮かべない不器用さが感じ取られた。しかし、自分と契約しようとコンタクトしてきた
「じゃあ、仕事の話をしようか。あ、
「……別に気にしていない」
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