護衛
「おっしゃーーー! こんな大仕事が待っているとは……! 正直、
セルジオの屋敷から立ち去ったルードは、周りから向けられる奇異に対する眼も気に留めず、大声で我が世の春を謳う。何より、
「出発は一週間後……何が必要かリストアップしなきゃだね」
まず、データをもとに装備を整える必要がある。それに、なんといっても護衛の手配だ。
今回の仕事は、完全に地表部分の様子が不明だ。危険な生物に襲撃される可能性も否定できない。実際に、ルード自身も大気を泳ぐ巨大な
危険な現地生物が存在する可能性がある場合、
少々散財する悪癖はあるが、生命の勘定にかけても出費を惜しまない点は、
生命知らずと形容される
心地よい風を浴びながら、ルードはマーセナルカウトサービスと呼ばれる、フリーの傭兵が登録する
今回の仕事では、贅沢を言うのならばEMP’s搭乗の経験があり、他の搭乗用機動兵器も扱える人材である。だが、実際、EMP’sの搭乗経験がある者はかなり限られる。そもそも、最近では
そのようなことを思いながら、電算の沃野で検索をかけていく。MB、機兵などの騎乗兵器の扱いに長けている者はいるものの、やはりEMP’sの経験者はかなり少なかった。条件を何度も変えて、候補を見繕っていくも眼鏡に適う者は顕れない。
「いっそのこと、
ここで、ルードは幾多の検索で絶対条件のように紐づけていた〝義体〟や〝脳内チップ〟等の、所謂広義のそれを含めた
脳内チップや
「あれ?」
検索条件で一件追加されている事実に
「……
バラージ王国の存在する惑星バラージには荒獣と呼ばれる大型猛獣が棲息している。この大型猛獣、身体能力は言うに及ばず、権能と呼ばれる魔術めいた現象を引き起こす能力を持ち、秘めたる戦闘力は単純には測れない。そんな規格外生物が犇めく惑星において、王立防衛隊に所属するということは、すなわち
つまりは、
「問題は一週間後に仕事ができるような状態なのか、だけど……とりあえず、コンタクトを取ってみるか」
少なくとも、脳内チップ未処置者というハンデはあるものの、求めていた条件に恐ろしいほどに合致する人材だ。善は急げとばかりに、ルードは連絡先に
龍神神門……。結社が目論む計画の中枢を担っている少年が、ルードの眼鏡に適ったのは偶然か蓋然か――。運命はただ巡りゆく時勢を眺めるのみ。
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