6

ゴォォォォォオオオオオ………!!


ドラゴンは声をあげて鳴く。泣く。その瞬間に三ヶ所にあったクライムが投げ出され、真、奨、聡が一気にクライムを砕く。しかも、同時にではなく少しタイミングをずらして「順番に」。


俺が予想していた事と真逆。もっとあたふたして、「どうしようどうしよう」などと慌てると思っていたのに。


この部隊に入った頃の皆に比べたら、いい方に進んでいると言ってもいい。目の色がそれぞれ違った。怖くて怯えている目、何の希望も持てなくなった目、状況が把握しきれない目、何かに復讐心を持った目…………。


「タイミング、バッチリじゃない?!」


聡がクライムを浄化しながら、今日一番の輝かしい笑顔で上を向く。


「最高!」


真も奨もクライムを浄化し終え、五人とも降りてくる。地面に着地すると、試験終了のアラームが、ジリリリリリリリリ………と静かに鳴った。





「私、別に何もしてないよね……?」


廊下を歩きながら右京はそう言っていた。実際、作戦を持ち出したのは私で、正直申し訳ないなとは思ったけど。


「ごめんね、右京。でもあれはお前にしか出来ない仕事だったからさ」


事実だ。嘘ではない。気を引くという行為はなかなか難しいし、声の大きさも必要。だんだん声が大きくなる、という長所でも短所でもない右京の特徴がここで使えるというのは良い事なのだ。


「んーん。ななめん、ありがとう」


右京は私のことを「ななめん」と呼ぶ。斜木から取って、ななめん。

ちゃんとわかってお礼を言ってるのかな、こいつは。何でもお礼を言うとこは良い所なのか、それとも過去に何かあったか。私みたいに、、、。


「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜にしても、終わったな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」


そう言いながら晃が研究室の扉を開ける。


「お疲れ会で焼肉行こ!」


「パフェ食べた〜〜〜〜〜〜い!」


「それは甘いから無理!!」


次々と食べたいものを吐いていく。私は、そだな、、、おにぎりでいっか。


「じゃあ新汰におごって、、、」


晃が言いかけた瞬間、目の前にはカンカンに怒った坂神 新汰(さかがみ あらた)が立っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

乱雑奇形撲滅部隊 烏瓜 @3h___y

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ