怖かった。でも、よくやった。

と言ってしまって良いのか。
普通ならば『見えない』はずの影が見え、彼は少しずつ、不条理とも言える災難に巻き込まれていく。細かいどうでもいいような出来事がじりじりとつみ重なって、ぞっとするような恐怖、というよりはひとつ薄膜がかかったような気味悪さと、何かとぼけたようなもの哀しさとにずっと、付きまとわれた。ラストがなぜかとても好きだった。