第50話ホイミスライムじゃあるまいし
今日の午後、予定通り爪を切ってから昼食を食べにキッチンに入ったら、さまようよろいがいた。
パンツを洗濯したから持って行けと言うから、その場でサッと履いた。
そうしたら……。
「がっっぽりはいったとねえ」
とさまようよろいがせせら笑った。
スウェットなのだから、ゆったりサイズだ。しかしがっぽり入ったとはどういう了見で言っているのか一回ためしに聞いてみた。
「がっぽりはがっぽりたい!」
と言ってまた笑うのだ。
(さまようよろい、おぼえてろ)
腹が立ったから、夕食のとき、ホイミスライムに話したら、笑い話にされてしまった。
わたくしはもう一度聞く。
「ねえ、がっぽりってどういう意味なの?」
ホイミスライムは少しは良心的で、さあねえなんて言いつつも考えてくれたらしく、
「たっぷりとか、しっかりとか」
「たっぷり履くとかしっかりはいるとか、言うの?」
と問いただしたら、うーんと唸ってしまった。
「さまようよろいのは方言だから」
とホイミスライム。そんなはずはない。その娘であるホイミスライムがしらない方言なんて。暗号じみててなんて陰険なんだ。
そしてさまようよろいはオホホなんて乙女チックに笑っている。
二重にわたくしを笑った。
笑い話にすることで、わたくしを笑いものにしたのだ。
やめてと言ってるのに笑う。
復讐の惨劇を待て……!!!
PS.がっぽりの意味をネットで探した。
[副]一度にたくさんの金が入ること。
同義語・別の使い方
多数の ・ たっぷりと ・ 豊富な ・ 余るほど ・ 有り余るほど ・ 多くの ・ がっぽり ・ 数の多い ・ 数が多い ・ 盛りだくさん ・ 大盛りで ・ 一杯 ・ 仰山 ・ 多量に ・ 沢山 ・ 潤沢な ・ 多数ある ・ モリモリ ・ めっちゃ ・ たっぷり ・ ようけ ・ ワッシワッシと ・ ドッサリ ・ ドサっと ・ 数知れず ・ ワンサカ ・ 数え切れないほど ・ ごまんと ・ 掃いて捨てるほど ・ 腐るほど
統計的に見て、英訳するならmany(数的にたくさん)の意味。
だから、二本しかないわたくしの足が数的にたくさん入った(パンツに)という表現は文法的に見ておかしい。
これに対するホイミスライムの反論は「イメージ的に言ったのよ」というもの。
じゃあ、なんのイメージかと問いただすと、
「足」と。
……なんのことだかわからない。
イメージ的にわたくしの足はたくさんあるように見えるのか? 足が何本もある同居人を持った覚えがあるのか!?
ホイミスライムじゃないんだぞ――!?
モンスターコンプレックス 水木レナ @rena-rena
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。モンスターコンプレックスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
心が壊れそうなとき。/水木レナ
★25 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
寂しい時は。/水木レナ
★19 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
猫はずっとそばにいて。/水木レナ
★37 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます