序章 二 旅立ちの日


「ルミリオの毒によって魔界の多くは汚染されたことは、魔界のみなも周知のとおりである。有害魔獣が起こした食糧難が深刻だ。早急に、新たな新天地、住処の確保が必要となった」


現魔界皇帝、ルシフェル公は声明を発表した。

ルシフェル公。

代々、魔界を治めている魔界の王―――魔族を統べる皇族。

俺たちのような、いっぱしの軍鬼ぐんきからすれば遠い人物、一生縁遠い、お偉いさんだ。


彼の御言葉は王の御言葉。

逆らい難い勅答ちょくとうである。

だが、『魔界の』という御言葉、それが、引っかかったことは確かだ。

まるでそれでは―――その言い方では、魔界以外の『他』があるようではないか。


「千年ぶりに界門かいもんを開いて、人間界に進出することを決定する」


一〇九代魔界皇帝であらせられるルシフェル公の発言は大きな話題と、驚愕、動揺を生んだ。

それも当然である。

当然だ。


いにしえの時代、人間どもにも精霊信仰があった、あの時代が再び訪れることになるのだから。


視点となる一同は、一行は。

その偉大なる発言の一番の『とばっちり』を受けた、俺たちの部隊―――魔軍鬼まぐんき、第二十三小隊である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます