現実と非現実の狭間を描くような世界観が魅力的です。どこにでも居そうな……しかしどこにも居ないような不思議で不気味な登場人物たち。本当に居たら困る!と思うような人もいますがそれが面白い。短編集なのでどこから読んでもぞくぞくできますよ!
ド直球の嫌なお話もあれば、静かに不気味なお話もあります。実話ではないところが唯一の救いというくらいに嫌なお話の詰め合わせです。タイトルも面白いです。『おかずリサイクル』は、読んでから「あぁそっちか……」と理解しました。
いつもの日常の中に組み込まれた、なぜかぽっかりと空いた非日常に、いつの間にか忍び寄られている…。のがれられない普段通りの続きに、かけがえのない日常の大切さを、よくよく噛み締めたくなる、そんな恐怖が練りこまれている。
絶妙に嫌な気分になる、そんな短編集です。ありふれた日常から非日常へと急転直下に転がり落ちていく様はいっそ爽快ですらあります。