アチョー!!聖騎士パワーアップ!?[Side:B]
……ベッドに腰掛けたセブンポットは、ジャムを入れるような背の低い瓶を目の前で振った。中でチャラチャラとガラス片めいた音を立てるのは、暗く輝く六個の半月状物体……闇の種。
目を凝らしてそれらをよく見れば、闇の種の輝きに微妙な差があるのが見て取れるであろう。暗黒の輝きを爛々と放つ種もあれば、ややそれが薄まっている種もある。セブンポットが見ていたのも、まさにその輝きの部分であった。
「うーん、書いてある通りか」
彼女の脇には、分厚い表紙の本が何冊も置いてある。茶色くて厚みがあり、ごわごわとしたページ。ジョロキアの前任たる九十八人の魔王達が、後世の為に書き記した書物である……と、キャロライナが言っていた。
魔導士ではないセブンポットは、分かりそうな部分だけつまみ食いするように、先人の知恵を身に着けていた。先日から読み進めているこの魔導書の著者……四十四代目魔王は、闇の種の活用について研究を続けていたようであった。主に、人間に埋め込む以外の使い方について。たとえば、人間に形を似せた怪物を作り上げるといったように。
「やっぱ鮮度があるわけね……プリッキー大量召喚作戦、アリと思ったけどね……」
その時、トントンとドアをノックする音。
「どーぞ」
「失礼します」
セブンポットが適当に返事をすると、ガチャリとドアを開けてアナハイムが入ってきた。
「お菓子とお酒をお持ちしました」
「うん、どっかその辺に置いといて」
酒と激辛スナック菓子、そして手を拭くためのおしぼりを、アナハイムは盆ごとセブンポットの隣に置いた。本のページをめくりつつ、セブンポットは訊ねる。
「今日は? 学校どうだった?」
「と、おっしゃいますと」
「いや、楽しかったか的な」
「…………」
アナハイムは返事をしなかった。セブンポットもさほど興味は無かったので、深くは突っ込まず質問を変える。
「園芸部入ったんでしょ」
「はい」
「佐藤甘寧と? 公庄有子か。相変わらず呑気に花に水やったりしてるわけ?」
「はい」
「へぇー。そのうち死ぬのに楽しそうだこと。アタシの作戦にあんなアッサリ引っかかってさ、殺しに来てくれって言いに来てるようなモンじゃんホント」
四日前、セブンポットが提案した作戦は、逆に罠ではないかと疑う程に上手く行った。アナハイムが佐藤甘寧に接近し、セブンポットは密かに構内で待機。休み時間などを使い、アナハイムが佐藤甘寧を屋上などの分かりやすい位置に連れてくる。連れているのが甘寧ならば、アナハイムが合図を出す。あとは軽い芝居を打つだけ。セブンポットがアナハイムをあえて襲ってみせる。それを見た甘寧が慌てるだけなら一般人であろうし、素直に変身すればスイートパンケーキ。
期待以上の成果だった。甘寧が取った行動は、変身。それも隠れもせず眼前で堂々と、ときた。疑う余地もなく、彼女こそがスイートパンケーキである。おまけに、一緒に連れていた娘までスイートパラディンだったとは。探す手間が省けた。
「早く殺せって命令出ればいいのに。今ならふたり同時に正面から向かって来てもブッ殺せるわ」
酒の缶を手に取ったセブンポットは、カシュッとプルタブを起こし、ごくりとひと口飲んだ。
「ホントさぁ。ああいうの見るのイライラするわけ。弱いくせに安い正義感振り回して、涙と鼻汁垂らしてアタシの脚に焦げ跡作る以外に何かしたアイツら? こちとら素手で戦ってやってんのにさ、何あのザマ? アンタも見てたでしょ。武器持ってんのにあの程度って。ハッ」
「セブンポット様は、もっと上手く戦っておられましたか」
セブンポットは一瞬思考が止まった。
「え、何?」
「スイートチョコレートだった頃に」
「ああ、そういう意味ね……そりゃそうでしょ。アタシの時はプリッキーとスコヴィラン両方同時に相手してたんだから」
酒で舌が回りだしたセブンポットは、得意げに語り出した。
「しかもちゃんと武器とか使うヤツよ、手加減とかナシで。メンバーが死んで交代とか当然一回だって無かったし? ただ武器振り回すだけなら猿でもできるって話。要は技術なわけああいうのは」
「技術ですか」
「そうそう。闇雲に突っ込んで武器ドーンじゃなくて、技よ技。アイツらやってるのグルグルパンチと一緒だからね? 頭使わなきゃ勝てないの、誰にも一生。ああ、あとそれから連携」
「連携ですか」
「そうそう。今のアイツらはさぁ、ひとりとひとりなわけ。ふたりじゃないのね。それぞれ適当に自分の技出して、それがたまたま上手く行ってただけ。何の為にふたりいるか分かってないもん」
何かのスイッチが入ったらしく、セブンポットの弁舌は留まるところを知らない。
「身の程を知らないのね。いくら魔導強化されてるとはいえ、元々アイツら十四歳の小娘よ? 基礎的な身体能力は圧倒的にスコヴィランが上なの。分かる?」
「……努力してもですか」
「何努力って。アンタ例えばさ、あの小娘が筋トレすればネロみたいになれると思うわけ?」
アナハイムは答えなかったが、セブンポットは構わず続ける。
「元々の力の差。場数の違い。こういうのを乗り越えようと思ったらさ。一足す一を三にも四にもしなきゃならないわけ。努力する余地があるとするならそういうトコ。要は方向性の問題っていうの?」
「努力の方向性ですか」
「なんか今日質問多いねアンタ」
「失礼しました」
「いいけどさ。だからつまり、努力じゃどうにもなんないこともあるからどうにかなる部分で勝負しろってこと。そういうことも分かんないのに正義の味方面されるのホント不愉快だわ、さっさと死ねばいいのに」
吐き捨てるように言って、セブンポットは缶チューハイをぐいぐいと飲んだ。
「……セブンポット様。明日、スイートパラディン達が修行をするそうです」
軽く息をつくセブンポットに、アナハイムは言った。
「は? 何の修行?」
「スイートパラディンとして強くなり、スコヴィランに対抗する為かと」
「へぇ」
「わたしも誘われましたので、参加予定です。明日の朝、東堂駅前に集合と」
「アンタも? アンタが何すんのスイートパラディンでもないのに」
セブンポットはフンと鼻を鳴らした。
「アイツらのことだし、どうせ思い付きのお遊び感覚で何していいのかもよく分かってないんでしょ。そーいうのが無駄な努力っていうわけ。役に立たないこと延々とやって体力だけ無駄遣いしてさ……ってか、アタシわざわざ修行とかしたこと無かったけどね。技は何となく練習したりしてた気もするけど。別に打ち合わせとかしなくてもコンビネーションも完璧で。最強だった。どこの誰より。絶対に。世界一……」
セブンポットは、自分が思わず立ち上がっていることに気付き、ふと冷静になった。アナハイムの視線が冷ややかに刺さっている……ような気がした。
「セブンポット様。やはり気にしておいでですか、スイートパラディンのことを」
アナハイムは問うた。
「は? 何やはりって」
「スイートパラディンの話になると、セブンポット様は大変饒舌におなりになるよう見受けられます」
「だっ……あのねぇ!? 勘違いしないでくれる? あんな雑魚がスイートパラディン名乗ってることが気に食わないし殺してやりたいだけ」
「……失礼いたしました」
アナハイムは丁寧に礼をする。セブンポットはバツが悪そうに座った。
「まあいいや。行くんでしょ? 明日」
「はい」
「頑張って。友情ごっこの修行ごっこ。どっちも空しいけどね」
「……セブンポット様は、ご覧になられますか?」
「は?」
勘弁してくれという風に、半笑いでセブンポットは答えた。
「アタシが? その修行もどきを? 見るわけないでしょ、興味もないし」
「失礼しました、スイートパラディンについて興味がおありのように見えたもので」
「違うってば。怒るよあんまりそういうこと言うと」
「……差し出がましいことを申しました。申し訳ございません」
「ほら、行った行った。アタシ勉強で忙しいんだからさ」
セブンポットは、アナハイムをシッシッと手で追い払うジェスチャーをした。アナハイムは頭を下げ、足音も無くセブンポットの部屋を後にする。
「ったく……アイツ実はアタシのことからかって面白がってない?」
ぶつぶつと独り言を吐きながら、セブンポットは再び酒を流し込む。言われたことだけやっていればいいのに、わざわざあんなことを言ってくるとは。それほど自分は気になっているように見えただろうか、スイートパラディンが。
「興味あるわけないでしょうが、あんな奴ら」
吐き捨てるように言うと、セブンポットは魔導書に視線を落とす。どうにも集中できない。酒のせいだろうか、きっと酒のせいであろう。バンと乱暴に本を閉じ、セブンポットはベッドに横たわった。
(馬鹿にしないでッ)
不愉快な喚き声が、そして生意気な視線が、セブンポットの脳裏に蘇る。スイートパンケーキ。佐藤甘寧。動くのに支障は無いが、足首には跡が残ってしまった。まず間違いなく、キャロライナ達が言うところの『魔導火傷』であろう。
弱いくせに、自分の肌に傷跡を残すとは。面白くない。本当に面白くない。大体キャラ被りを起こしているのが気に食わない。ピンクは自分の色だ。あの武器はあの売女のものだ。スイートパラディンの名は、ふたりの……いや、自分が背負うべきだったものだ。不当。弱いくせに、不当にせしめている。あの小娘が。考えれば考えるだけ不愉快になるのに、考えずにはいられない。こんな相手はそう何人も存在すまいと思っていたら、まさか増えるとは。
「……あぁー、クソッ。興味無いっつってんのに。あんなガキ……」
(……何やってんのアタシ)
翌日。気が付けばセブンポットは、土手の雑草の陰に隠れ、筋トレに励む三人の娘達をじっと観察していた。それも、サングラスとパーカーという最高に意味の分からない変装で。今日は自分が出撃する番ではないのだから、部屋で大人しく資料でも読んでいればよかったものを。
(あぁいや、まあ、敵情視察も大事だしね。アナハイムがちゃんと仕事してるかも不安だし)
一生懸命己に言い聞かせるが、苛立ちは消えない。それは、こんなところに来てしまった自分に対する苛立ちであり……同時に、目の前に広がる光景への苛立ちでもある。
「すいっ……! ぱらっ……! すいっ……! ぱらっ……!」
「スイ……パラ……スイ……パラ……!」
(案の定意味ないことしてるし……ホント頭悪いコイツら)
ランニング。腕立て。腹筋。スクワット。どれもスイートパラディンの戦闘能力にはまず結びつかない。もしも数年猶予があり、ボディビルダーのような肉体を手に入れられるというならば多少話が変わってくるであろうが。今から多少筋量を増やしたところで、百必要な戦闘力が五から六になる程度の影響すらあるまい。
「うぅ、ダメだ、もう歩けない……有子ちゃんだっこ……」
「赤ちゃんか」
こんな修行ごっこにかまけている時点でふたりとも望みは無いが、特に佐藤甘寧。冗談のように体力が無い。ランニングを始めた時からこっち、何かにつけて疲れたの休むのと文句ばかり言っている。やる気ばかり先行しており、いざやってみたらこの体たらく。いっそのこと佐藤弱音にでも改名したらどうか。セブンポットが心の中で毒づいている間に、有子が土手の道を歩いてどこかへ行き始めた。残ったのはアナハイムと甘寧のみである。
甘寧はごろりと横になり、アナハイムと何かを話し始めた。アナハイムの声がボソボソと小さいため、甘寧が何を言っているかしか分からない。だが、大した話はしていなように思われた。
「やっぱり、やっつけないとね。スコヴィラン。大切な人を奪ったり不幸にしたりなんて、絶対許せないよ」
「…………」
「早く強くなって、退治しなきゃ。これ以上傷付く人が出ないように」
やがて立ち上がった甘寧は、身の丈に合わぬ大口を叩いてみせた。その強くなるための方法が根本から間違っているというのに。セブンポットのイラつきは段々と高まっていた。やはり気に入らない。こういう何も考えていない阿呆が、聖騎士の栄光を受けるなど。あのクソ妖精や女王の目が節穴でなければ、今頃あそこには。
「ここにねぇ、でっかいスコヴィランがいるの。腕とかすごい太くて。パンチがすごい強いんだよね。人間もひょいって持ち上げちゃうし。しかも早くって」
甘寧はやがて、イメージトレーニングらしきことを始めたようだった。ここからでは背中しか見えないが、あの言い草からして……相手はネロを想定している。
「これじゃ駄目なの。そのパンチは強くってね、防いでも吹き飛ばされちゃうの」
甘寧が自分で言う通りである。魔導強化の恩恵を受けているにしても、ウエイトが違い過ぎる。正面から受けるのは絶対に間違いで、そんなものを選択肢に入れる時点で自信過剰か想像力不足としか言いようがない。
「……これも厳しいかな。私のパンチじゃ打ち合えないかも。キックならいけるかなぁ。手より強いもんね……でもそれでも威力が足りないかもなぁ」
いつまで正面から打ち合うことを考えているのか。無理だと言っているのに。どうしてもそうしたければ、腕や脚に相当の魔導エネルギーを瞬時に集中させる必要がある。どうせあの娘達ではそんな器用な真似は無理であろう。
「後ろにぴょんってジャンプして。あれ? ってなってる間に攻撃とかかなぁ」
正面から打ち合うよりはマシだが、たかだか一発避けた程度で何とかなると思っているならまだ考えが甘い。ネロはそれこそ力を振り回しているだけの技術も何もない戦闘スタイルだが、逆に言えばそれで成り立つほど強いということである。あの小娘がタイマンで勝てるはずがない。
「どんな風に頑張ったらやっつけられたのかな。大事なものをなくしちゃう前に」
答えは単純だ。この娘はまずパートナーと合流し、二対一で戦わねばならなかった。ただそれだけの結論に、何故辿り着けない。イライラする。今すぐ胸ぐらをつかんでニ、三発殴ってからそう言ってやりたい。
「最初にパンチが来たら、スッて後ろに避けて。その後一瞬も間を置かないで、シュッて相手の前に跳んで。うーん。どこにパンチしたら効くんだろう。顔かな」
違う。顔だけでは狙いが雑すぎる。目だ。筋肉を鍛えようが何をしようが、目は鍛えようがない。喉仏も悪くなかろう。一番有効なのは股間への一撃。勝負に卑怯もクソもありはしない。負ければ死ぬ、ルールはそれだけである。
「顔に、ううん、パンチじゃなくてキック。ズバーンって。そしたら怯んじゃうよね。うん。それがいいかな。そしたら、顔とか喉とかに続けてダダダンって。よろめいたところにね、もう一回強い攻撃入れたら、倒れると思うんだ」
これも違う。魔導強化された人間の体幹をナメている。ウエイト差も考慮に入れれば、その程度では奴を転倒などさせられない。どうしてもやるならば、ふたり同時に同じポイントを狙うくらいはせねば。分からないのか?
「一回避けた後に相手の周りを回るとかどうかな。シュタタって。捕まえようとしてぐるぐる回ってるうちに、目が回っちゃうの。うーん、危ないかな。でも危ないのはどれも一緒だもんね。何発もえいえいって殴ろうとして来るのを避けながら、攻撃しやすい時を待って」
違う、違う、違う! 周りをちょろちょろ羽虫めいて飛び回れば、彼はあの高速スピンを使うだろう。攻撃を連続で避け、相手をカッと熱くさせ、思考を奪う。その隙にもう片方が弱点となる部位に不意打ちをかける。これくらいせねば。分かっていない。本当に分かっていない。愚か、愚か、愚か! この程度で、この程度の奴が、スイートパラディンの名を! ショトー・トードの奴はそこまで頭が腐っているのか!
「それか後ろにシュッて回れないかな。こう、パンチしようとしたところで、逆にばーって走って行って、ズサーって股の下を潜って――」
「んな作戦があるかぁッ! ……あっ」
……冷静になった時には遅かった。セブンポットは思わず立ち上がり、愚かな娘を怒鳴りつけていた。アナハイムが、そして甘寧が、ぽかんとした顔でセブンポットを見ている。
三人はお互いを見合ったまま、しばし硬直していた。
「……あの、アナタは」
最初に口を開いたのは、甘寧であった。まだ事態がよく呑み込めないという顔で、おずおずと。このクソダサい変装のお陰で、どうやらまだ正体はバレていないらしい。上手く切り抜けねば、上手く。
「いや、あの」
「見てたんですか?」
「見てた、えっと、見てない。じゃなくて、え?」
「……ダメでしたか、あの作戦!」
セブンポットがどう切り抜けるか考えている間に、甘寧は突然真剣な表情になり、そして身を乗り出した。
「いや、知らないってそんな」
「戦いのプロの人ですよね!?」
「は!?」
甘寧の目は、いやにキラキラと輝いていた。
「そうですよね!? チョイスとマリーが呼んでくれたんですよね!? 今日いないけど!」
「え、いや」
「だって! そんな近くから私の動きを見てくれて、ダメ出しまでくれるなんて! それ以外考えられません!」
「違う、違うって!」
セブンポットは懸命に否定しながら、ちらりとアナハイムを見る。
「…………」
アナハイムはただじっとこちらを見ているのみ。気付かれたか。まだだろうか。この娘にだけはバレたくない。あれだけ大見得を切り、絶対に行かないと言ったのだ。それでやっぱり来ていたと悟られたら、それ見たことかと内心嘲笑われるに違いない。次会った時に馬鹿にされるやもしれぬ。せめてコイツがいなければ、戦うなり瞬間移動なりで切り抜けられるというのに。
「と、とにかく、アタシは単なる通りすがりの――」
「通りすがった人はそんなとこに隠れませんっ! 私だって分かりますっ!」
妙に鋭い指摘!
「ひょっとしてひょっとして! 前のスイートパラディンの人とか!」
「えっ、えっ!?」
甘寧の妙に核心を突いた追及は更に続く!
「そうだよ、ね、愛夢ちゃん! 昨日チョイスとマリーに話したもん! 前のスイートパラディンに戦い方教えてほしいなって!」
「はい。ただ、難しいと言っていましたが」
「難しい中頑張ってくれたんだぁ! チョイスとマリー、偉いっ!」
アナハイム! 何故助け舟を出すのか! ……いや、バレていないのだから当然か。とにかく、これ以上面倒になる前に逃げるしかない! 状況判断したセブンポットは土手を駆け上り、そのままダッシュ!
「あっ、待って!」
「待つかッ!」
「愛夢ちゃんも手伝って!」
「かしこまりました」
アナハイムが見ている以上、人間を超える速度は出せない。何ということか、今すぐ引き離したい状況なのに、そのために一番有効な手段が使えないとは! 追いかけてくる甘寧、そして何故かアナハイムまで! とことん邪魔してくれる!
「ひぃ、ひぃっ!」
……だが、甘寧は案の定スタミナが無い! 即座にバテ、息を荒くしながら膝をつく! 残るはアナハイムのみ……だがこれが素早い! 甘寧より遥かに体力と脚力がある!
「だあぁ!? このクソガキ!」
「えっ、何やってるの二人とも!?」
悪いことは重なるものである! セブンポットの前方に人影! それは、コンビニの袋を提げた有子!
「その人は!?」
「有子ちゃん捕まえて! その人前のスイートパラディン! 捕まえないと戦い方教えてもらえないの!」
「えっマジで!?」
「勝手に話膨らますなってのぉ!」
走れなくなった甘寧が、渾身の力を振り絞って叫ぶ! 有子はまだ事態を呑み込めていないようだったが、既にセブンポットの前で通せんぼをしている!
「せ、先輩!? よく分かりませんけど失礼します!」
「誰が先輩だ誰が!」
有子はバスケットボールの選手めいて左右に動き、セブンポットの動きを牽制! 徐々に距離を詰めつつ、その腕を掴もうと手を伸ばしてくる!
「あぁもう!」
セブンポットは咄嗟に腕を引っ込める! そして有子の腕が伸びきり、力が限りなくゼロとなったその瞬間! その手首を掴むと、逆に自分へぐいと引き寄せた!
「!?」
予想外の方向に力が働き、有子はぐらりとバランスを崩す! そこで足元に蹴りを入れてやると、彼女はそのまま転倒した!
「痛ぁ!?」
「ハッ! ガキが闇雲に突っ込んだとこでアタシを捕まえられると思ったら――」
言いかけたセブンポットの袖を、何者かが掴む! 振り返ると、アナハイム!
「失礼します」
「ちょ、マジで失礼なんだけど!」
セブンポットは反対の腕をチョップの形にし、アナハイムの腕を叩く! アナハイムの腕は振り払われた! しかしその隙をついたのは有子! セブンポットの脚にしがみついた!
「先輩! お願いします! 私達もっと強くなりたくて!」
「先輩じゃないって言ってんちょっとこのガキ!」
脚をブンブンと振り回している間に、アナハイムがもう一度袖を掴む!
「ちょ、アンタ! いい加減に――」
「ひいぃ~! 捕まえたぁ~!」
「ぎゃ!?」
そこにぼてぼてとやって来た甘寧が、全体重をかけてセブンポットの背中に覆い被さる! 流石のセブンポットもこれには転倒! アナハイムが腕、有子が脚をホールド! 甘寧はセブンポットの腰に乗った!
「さあ、先輩っ! 私達に稽古をつけてください!」
「お願いします先輩!」
「誰が先輩だっての! 稽古なんかアンタらで勝手にやってりゃいいでしょうが無駄な稽古を永遠に!」
「やっぱり無駄がありますか!?」
「どこですか先輩!?」
「全部だっての! いいから放せッ!」
「ぜ、全部! 有子ちゃん、筋トレ駄目だって!」
「うん、なんかそんな気はしてた!」
「ならどうしたらいいんですか! 有効なトレーニングを教えてくださいっ!」
「無い! そんなモンは無いッ!」
カッとなったセブンポットは、瞬間的に魔導エネルギーを放出! 左右にゴロゴロと素早く回転し、自分を拘束するもの全てを振り払うと、ゼエゼエと息を荒くして立ち上がった! 頭に血の上ったセブンポットは、地面を転がる少女達を指差し、怒鳴りつける!
「あのねぇッ! アンタらに稽古なんかつける義理無いのアタシには! 戦闘は武器頼り! 連携もまともに取れない! 魔導エネルギーもロクに扱えない! その上力には力で対抗できると思ってる! アンタらみたいな宝の持ち腐れがスイートパラディンなんて笑わせるわ! 永遠に筋トレしてそのまま死んどけッ!」
ハァ、ハァと息をつき、セブンポットは徐々に冷静さを取り戻していった。甘寧を見れば、小さく震えている。こんなことを言うつもりなど毛頭無かったが、まあ、調子に乗っていたことを少しは理解したか。セブンポットがフンと鼻で笑ってやろうとした、その時。
「――そうだったんだ!」
甘寧が突然叫んだ。予想だにせぬその反応に、セブンポットは思わず後ずさる。
「有子ちゃん! 魔導エネルギーの使い方だって!」
甘寧は目をキラキラさせ、隣の有子に言う。有子もまた納得したように頷いた。
「そ、そっか。確かにどこまで行っても私達ただのJCだし、あれだけ動けるのも魔導力のお陰だしね。むしろそっちを鍛えた方がいいんだ」
「あと連携!」
「そだね、何だかんだ私達まだ息ピッタリって感じじゃないし。武器をテキトーに振り回す前に考えるべきことがあるってことか。力じゃ敵わないなら、技と連携、そして折角持ってる魔導の使い方を磨く、ってことか」
……盛り上がり始めた若いふたりを前に、セブンポットはどう反応していいか分からず立ち尽くしていた。
「先輩! ありがとうございます!」
「私達何していいかも全然分かってなかったので! 指針ができました!」
バタバタと立ち上がったふたりは、あろうことか……セブンポットに向け、バッと頭を下げた。
「え、えぇ……いや、そんな、つもりじゃ」
「私達、まだ未熟ですけど! 頑張って努力して、強くなります!」
頭を上げた甘寧は、ずいと前のめりになり、セブンポットに向けて宣言した。
「先輩が守ったファクトリー、私達で何とかします! 頑張ります!」
セブンポットに向けられたのは、甘寧のあまりにも、あまりにも眩しい笑顔。まるで、あの女のような。
「……く」
セブンポットの中で、形容しがたい感情が波のように押し寄せる。それが破裂しそうになった、次の瞬間! 少し離れた場所で、ドゴォンと爆発音!
「「!」」
不自然な赤色に染まってゆく空! その中心となっているのは、川向こう、上北駅のそば! 煙が晴れると共に、そこに現れたのは影の巨人! プリッキー!
『プリッ……キイイイィイィイィィィイィイィーッ!』
セブンポットは思い出した。今朝のミーティングで、カイエンがプリッキーを作り出す手はずになっていたと。
「プリッキー!」
「またスコヴィラン! やっつけに行かなきゃ!」
「そうだね!」
ふたりはそのポケットから、ムーンライト・ブリックスメーターを取り出した。
「ちょっ」
セブンポットとアナハイムは、それぞれ別々の方向に後ずさる。ふたりはがしりと手を繋ぎ、指を絡め、叫んだ。
「「メイクアップ! スイートパラディン!」」
瞬間、ふたりを中心に光のドームが発生。ふたりを包み込んでゆく。危ない所だった。この光に巻き込まれれば、スコヴィランの戦士である自分はまず無事では済まない。外からドーム内の様子は見えないが、恐らく今服が脱げて変身しているところだろう。
やがて光が消えた時、ふたりの聖騎士はずんと地面に着地し、決めポーズを取っていた。
「膨らむ甘さは新たな幸せ! スイートパンケーキ!」
「飛び出す甘さは織りなす平和! スイートシュークリーム!」
「「メイク・ユア・ハッピー! スイートパラディン!」」
……この前も見たばかりだが。この距離で見る変身は、本当に眩しい。眩しくて、妬ましくて、そして憎たらしい。
凛とした顔のふたりは、背後に立つアナハイムを振り向いた。
「ごめん愛夢ちゃん、ちょっと行ってくるね! 後でまた!」
「一旦駅で集合にしよ! すぐ戻るから!」
「かしこまりました。お気をつけて」
アナハイムはふたりに向けて軽く礼をした。そして正面を向いた聖騎士達は……セブンポットに力強く言った。
「それじゃあ、行ってきます!」
「ありがとうございました、またよろしくお願いします!」
ふたりは地面を蹴り……対岸の土手まで跳躍! 更にジャンプ! ジャンプ! ジャンプ! その姿はみるみるうちに遠ざかり、住宅街へと向かってゆく……!
ふたりの向かった先をじっと見るセブンポットとアナハイムだけが、その場に残された。
「…………」
「……セブンポット様」
「えっ!?」
突然その名を呼ばれ、セブンポットがズサリと音を立てて後ずさった。
「な、いや!? え!?」
「フードが。サングラスも」
「あ……」
取っ組み合いだの何だのに夢中で気付かなかったが、フードは脱げており、サングラスも若干ズレていた。よく気付かなかったものだ、あのガキ共も……有名人を道端で見ても咄嗟には分からないようなものだろうか。セブンポットは苦々しい顔で考えた。やはりあの戦闘服でなければ判別できないという部分はあろう。
「……よろしいのですか、スイートパラディンにご教示を」
「えっ、待って!? 教示じゃなくない今のは!? 違うし! 勝手に読み取ったでしょアレは!? えっちょっと何その目!」
じとりとした視線が痛い。セブンポットは更に数歩後退し、辺りを見回す。
「あー、アタシ……ちょ、様子見てくるわ」
「左様でございますか」
「あの、余計なことしないでよ? アタシが入れ知恵したみたいなさ。キャロライナにそういうことチクったりとか」
「…………」
「マジで。お願いね。じゃ、ちょ、行くから!」
アナハイムの視線に耐えきれなくなったセブンポットは、ゴウと衣装を炎上させながら対岸へ飛び移り、プリッキーの発生源へと向かった。暗黒の炎が消えた時、彼女の服は既にゴシック&ロリータめいたいつもの黒いドレスに変化していた。その超脚力で跳躍を繰り返し、上北駅そばの図書館へ駆けつけた。
『プリッキーィ!』
図書館前の広場。本棚から直接手足が生えたようなプリッキーが、ふたりのスイートパラディンと対峙している。その肩に乗っているのは、カイエン。
「スコヴィラン! 図書館は大切な本がいっぱいあります! 壊さないで!」
「聖騎士スイートパラディン! 女王の名の下に、貴様らを成敗致す!」
「だけん何ねその口上は……」
プリッキーの前には、ふたりの娘。ピンクの服に泡立て器、スイートパンケーキ。レッドの服に絞り袋、スイートシュークリーム。
「まあ良かたい! そげん毎回クリーム撒き散らせば勝てるっち思っとったら大間違いばい!」
『ホンヲ! タイセツニシナイ! バカバッカリダァーッ!』
本棚プリッキーの胴体から、何冊もの巨大な影の本が飛び出してゆく! それはコウモリめいてページを広げ、バサバサと飛行! スイートパラディンへ向けて飛んでゆく!
『バカハ! ホンニ! フレルナァーッ!』
その一冊一冊が、よく見れば少しずつ破損している! ページが破れているもの! 折れ曲がっているもの! 奇妙なシミが広がっているもの! 明らかにページが抜け落ちているもの! 落書きがしてあるもの!
「あの人、本が汚されて怒ってるんだ!」
「あるよねそういう本……でもまず止めてあげなきゃあぁ!?」
シュークリームの眼前の空気が、突如として歪む! 同時に吹き飛ばされるシュークリーム! 今の透明な波めいたものは一体!? 見ればその発生源は……本のコウモリ!
「ちょ、超音波、的な!?」
(でしょうね)
バク転で着地したシュークリームが、透明な波の正体をそう推察する。少し離れてそれを見ていたセブンポットも、その推察に賛同した。見れば他の本コウモリも、その超音波で建物の窓ガラスを破壊し始めている。これならば、確かに広範囲に被害を出せよう。
「大丈夫!?」
「うん、モチロン」
シュークリームに、すぐさまパンケーキが駆け寄った。
「先輩の教え、実践しよ!」
「オーケー! コンビネーションね!」
シュークリームは空中にクリームを絞り出し、パンケーキと共にそれに乗る!
「GOッ!」
クリームの上を滑る、滑る! すぐさま集まりだす本コウモリ達! 何匹ものコウモリが、一斉に超音波を放った!
「ほい、行くよッ!」
「うんッ!」
パンケーキはシュークリームに後ろから抱き付くと、勢いをつけ……同時にジャンプ! シュークリームは咄嗟にクリームを放出! 自分達を取り囲む球状の盾を形成! 振動を防ぎ弾け飛ぶクリーム! ふたりは無傷!
「よっしゃあ! 行けッ、パンケーキ!」
「行きまーすっ!」
パンケーキはホイッパーを背中に負うと、落下してゆくシュークリームの背中を用い、跳躍! 飛び乗った先は……本コウモリの背中! 一方のシュークリームは、再び空中にクリームの道を形成! コウモリの間を縫うように滑ってゆく! 片やコウモリの背中、片やすばしこく狭い所を飛び回る! 超音波攻撃が使いづらい!
「せからしかァッ!」
カイエンもまた本棚からジャンプ、ロングコートをはためかせながら、本コウモリの表紙を次々と飛び乗る! 鬱陶しいパンケーキを始末する為に! 本コウモリの背中、対峙するパンケーキとカイエン!
「先輩の教え! 守りますッ!」
「意味が分からんばってん、やれるモンならやってみせんねッ!」
カイエンは風のようにパンケーキへ迫り、鋭い蹴りを放つ! パンケーキはほんの少しだけ後ろへ跳び、これをギリギリで回避すると……脚が伸び切り、力が限りなくゼロになった、コンマ一秒にも満たないその瞬間!
「アチョーッ!」
その足首を両手でしっかりと掴んだ!
「なっ!?」
(えっ!?)
「ハイーっ!」
ふわりと持ち上がるカイエンの体! プリッキーは無理でも、成人男性ひとり程度なら持ち上げるのは容易!
「これがぁッ! 先輩秘伝の『技』ですッ!」
パンケーキは砲丸投げめいてぐるりと回ると! カイエンを空中へ放り投げる!
「なぁッ!?」
宙を舞うカイエンに後ろから迫るのが……クリームで滑っていたシュークリーム!
「いけんッ!」
「ホアッチャーッ!」
「だあぁーッ!?」
滑る勢い任せたタックル! カイエンの背中に衝撃! 吹き飛ばされた先は……再びパンケーキの前! しかもパンケーキが構えているそれは……幸福のエネルギーがみなぎる、スイートホイッパー!
「これが先輩秘伝! 『連携』ッ!」
「あぁッ!?」
(まずいねこりゃ)
アレにまともに打たれれば、重傷患者が二人に増えかねない。
「スイート、ホームラァーンッ!」
ここが潮時か。セブンポットは助走をつけ、ジャンプ! 黒い風となって、パンケーキとカイエンの間へ割り込んだ!
「「えっ!?」」
「なッ、セブンポット!」
「帰るよ」
カイエンを抱え、そのまま時空の狭間へ飛び込んでゆく! 次の瞬間、ふたりはアジト一階のロビーにドスンと落下! 床を転がった!
「あだっ!」
「うわっ!」
「ぐえっ!」
うつ伏せになったカイエンの上に、折り重なるようにセブンポットが不時着!
「な、何ばしよっとか!」
「何してんのはこっちの台詞。何今の体たらく。アタシが助けに入らなかったらフツーに大事故でしょ」
埃をパンパンと払いながら、セブンポットは立ち上がった。
「せ、せからしか。魔導力ばちょっと
「にしてもでしょ。あんなホイホイ突っ込んでくヤツある? クソッタレのホイッパー持ってんのよあのガキ」
「……アイツは身体能力がそげん
バツの悪そうな顔で床に胡坐をかき、カイエンは鼻の下を掻いた。
「スイートパラディンがあげな精密な動きばするたぁ知らんかったたい。出した俺の脚ば……ほんの一瞬ぞ。あげな風に捕まえるとは思わんかろうもん」
「…………」
「先輩の技とか言いよったばってん。この何日かの間に、そげん成長したとかいな」
「……アンタが鈍ってただけでしょ。せいぜいキャロライナに何て言い訳するか考えたら?」
セブンポットは言い放ち、カイエンに背を向けてつかつかと歩き始めた。
「あ、ちょっ」
……あんなことがあるだろうか。廊下を歩くセブンポットは、先程起きたことについて爪を噛みながら考えた。
連携……まあ、先程のアレは連携と言うあまりにも初歩的であった。パンケーキが隙を作って、シュークリームがダメージを与え、受け身が取れないようにしてから大きな一撃。とにかく自分の出せる技を適当に出していた以前よりはいくらかマシだが、あの程度なら誰でも思いつくだろう。
問題は、パンケーキが見せたあの緻密な動き。確かにセブンポットは、先程一度アレに似た技を見せた。有子が自分を捕まえようとした時、その腕を捕まえるという形で。それを覚えていて、再現したというのか。一度の練習さえも挟まず、ぶっつけ本番で。しかも、セブンポットが腕を捕まえた時より遥かに難易度の高いあの状況で。
「ふざけろ」
エレベーターに乗りながら、セブンポットは毒づいた。単なる偶然かもしれないが、あのどんくさい娘が、たった一度見た技をコピーするなど。
(こちらがようやく追い詰めたと思ったら、突然新たな力に目覚めて一発で解決。何度やってもその繰り返し)
いつだったかのキャロライナのぼやきが、セブンポットの頭の中に去来する。
(努力するのが空しくなっちゃうわよね。人が折角頑張ったのに、そう簡単に乗り越えられちゃ)
……あの娘。スイートパンケーキ。佐藤甘寧。何だというのだ、あんな頭の悪いガキが。セブンポットの心が、激しくかき乱された。自分はまさか、とんでもないことをしでかしたのか。あの小娘の才能をせき止めていた堤に、アリの穴を空けてしまったとでもいうのか。
(そんな馬鹿な)
エレベーターを下りながら、セブンポットはぶんぶんと頭を振る。
(先輩)
嗚呼、フラッシュバックする腹立たしい声。
(先輩が守ったファクトリー、私達で何とかします! 頑張ります!)
「黙れッ!」
廊下の壁をズンと殴り、セブンポットは叫んだ。誰がお前の先輩だ。誰が自分の後輩だ。何がファクトリーを守るだ。何が頑張るだ。無駄だ、無駄だというのに。何なのだ、この胸のざわめきは。何の取り得も無さそうなあの娘に、スイートパラディンの才能だけはきちんとあるというのか……まるで、まるで……!
「……殺そう」
自室のドアノブに手を掛けながら、セブンポットは唸るように言った。
「あのガキ。殺さなきゃ」
赤い瞳を不気味に光らせながら、セブンポットはドアを開け……口を開けた深い闇にも似た部屋の中へ消えて行った。
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