修練場〜武器選択〜

冒険者養成学校で一番広い場所と言えば、修練場だ。

様々な武器と防具。多種多様なモンスターを模した的。迷宮探索のベテランによる指導。

この全てをハイレベルに満たせる場所はおそらく此処だけだ。

故に、200人が入ったところで対して狭くも感じられない程の広さを持つ。


「ひゃー。広いなあ。此処どれくらい広いんだろうな?」


修練場の広さに驚いている彼はアレン・ラーガー。バリバリ戦士ステイタスが特徴だ。


「確か……この学校全体と同じくらいか、ちょっと狭いくらいじゃなかったか。少なくともそれくらいはあるだろ。」


「やっぱそれくらいはあるかぁ。学校自体大きいもんな。」


「此処の修練場は、一般にも一部は解放してるみたいだし、それくらいないとダメなんだろうな。」


この学校自体がとても大きいのだ。様々な設備がある為仕方ないことなのだが。



「全員注目!今からこれから始まる実習の際に使う装備を選択してもらう。装備選択後には、そのまま戦闘訓練に入ってもらうからな!しっかり選べよ。」



装備……。ステイタス的にはどんなスタイルになっても充分やって行けるだろうな。剣とか近接武器でも良いし、魔法を覚えても良い。

まあ此処は剣を使ってみよう。

先生達の前に置かれた木箱の中にある剣を物色する。早いとこ見つけないと良品を他の誰かに持って行かれそうだ。

それなりに冒険者達の装備も見てきたんだ。目利きは出来る。

だが、無数にある剣の中から自分にあったものを見つけ出す。これがなかなか難しい。特に、剣を持った経験があまり無いのでどんな剣が自分に合うかなど分からないのだ。とりあえず、自分と同じくらいの背丈だった冒険者の剣を思い出しつつ、それに近い剣を探す。

その間にも周りの人が剣を持って行く。早いとこ見つけないと碌な剣が使えないぞ。

「ワタルはどんなの使うか決めたか?」

「アレンか。まだだよ。剣は競争が激しくてね。」

「ふーん。なるほど……。」

「それよりさ、アレンは剣じゃないんだろ。結局何にしたんだ?」

アレンは背中の陰に隠し持っている何かがある。

完全に見えないから、あまり大きいものじゃあないんだろう。

俺の予想では戦斧か戦鎚だ。ワンハンドでも充分な重量を誇る武器だ。戦士型ステイタスのアレンにはうってつけだろう。

「そんなに俺のが気になるか?よし!ならば見せてやろう!これだっ!」

勢い付けられて、俺の目の前に出されたのは戦斧。片手斧なのだがやけに短いので手斧と言う方が正しいかもしれない。

「……手斧かい?」

手斧はあまり重くない斧で、中量級片手剣と変わらないぐらい軽い。今の俺でもそれなりに選択肢に入る程だ。

「ああ。ただ、これはそんなチャチなもんじゃないぜ。ここ!よく見ろ!」

アレンの指先が示すのは小さい魔法陣。

「それでなんの魔法だ?軽量化か?」

これで軽量化なんかであれば、使い物にはならないと思うぞ。

「んな訳ねぇだろ。固定化だよ。固定化!」

「固定化ぁ!?そんなレア魔法付与エンチャント!よく見つけたなぁ。」

「フィーリングって奴だよ。もしくは第六感とも言うかな。」

戦士の言うことだ。当てにならん。

「とりあえず俺は先に行くぜ。斧はそこまで人いねーみたいだ。直ぐ始めるらしい。」

「分かった。剣は人数多いみたいだからまだまだ時間かかるだろ。ゆっくり俺は探すさ。」

「あんまのんびりしてっとおいてかれるぜ?」

そう言ったアレンは斧の教官の元へ走って行く。

再び一人になった俺だが、ここで選択の方針を変えようと思う。今までは自分に合う剣を探していたが、多少合わなくとも魔法付与エンチャントの施されているか、単純に素材の良いものを選ぶ。

新しい方針の元に探していたが、流石に両方を満たすものはなく、候補にあるのは三本の剣。

軽量化の魔法付与エンチャントのついた中量級片手剣。

魔法金属ミスリルの軽量級両手剣。

湾曲刀シミターと呼ばれる軽量級片手剣。

最後のは単純に持ちやすかったのだ。なので候補に入れた。

むむむ。火力を取るなら魔法金属ミスリルの両手剣一択なのだが、連撃を意識するなら中量級片手剣も捨てがたい。

他にも迷う要素があり、多少時間がかかったが、両手剣を選択する。

連撃も魅力的なのだが、やはり一発の火力の高さは両手剣の方が優れている。

時間はかかったがこれで、卒業まで学校で使う剣を選んだんだ。

しっかりと自分を鍛えていかなければならない。

体と心。その両方を。

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平凡転生者の異世界奮闘記 シルフィードAS @asanagi

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