第2話音平巧は壁に阻まれる

さて、生徒会長になり学園を変えると決意したものの生徒会長になるにはどうすればいいのか考えてみるのだが、まず仕事をそつなくこなせばいいのか。それなら俺でも出来ないことではない。アイデアを出したりするのも出来る。そしたらもう簡単じゃないか。よし、希望が見えてきた。



上機嫌で俺はリビングに向かう。今日は親が出掛けているためゆっくり出来る時間があった。とりあえず俺はテレビをつけた。丁度政治番組がやっていた。そして俺が飲み物を持ってくる為、ソファーから立つのと同時にテレビに映ってるコメンテーターが、「まずは信頼の獲得からじゃないでしょうか。」



俺は止まった。止まったと同時に目の前に大きな壁が現れた気がした。信頼…。どうして今まで気づかなかった…。民衆を動かすカリスマ性よりも、優先的なものがあったじゃないか。そして気づいた同時に、考えるよりも先に言葉が出てしまった。



「信頼の獲得ってどうすればいいんだ。」

元々、俺は人間関係がほとんどない。むしろ嫌いな方だった。昔、ゲームで見た目の前が真っ暗になるというのはこういう感じか…。完全に詰んでしまった。と思っていた矢先、思わぬ来客が来た。



「へーい!!元気してたか巧!!」

「満兄さん!?」

音平満。俺の兄でもあり、俺の理解者でもある。しかし結構な楽天家だ。カメラマンで色々なとこに旅をしては、美しい光景を写している。



「帰ったなら連絡の1つや2つくれよ…。」

「すまん。忘れてた。」

笑いながら満兄さんは言った。

「まぁ上がってよ。ご飯は?」

「食べる!食べるぞぉ!!」



俺は簡単に炒飯を作り、一息ついたとき、満兄さんは食べながら既に俺の様子がおかしいことに気づいていた。



「巧…お前さ。なんかあったろ?」

「…………………。」

「まぁ…別に深くは追求しねぇけどよ…。お前が悩んだりするのは珍しいからな…。聞きたいってのもあるんだ。」



「なぁ…。兄さん。」

「うん?」

「信頼の獲得ってどうすればいいんだ?」

5秒後…。


兄さんは爆笑した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間関係が嫌な件について ヘルメイス @ryokjm1011

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ