人間関係が嫌な件について

ヘルメイス

第1話音平巧は決意する

俺が思うに、人こそが未知の生き物だ。人が皆同じ考えをもってるわけではないし、趣味趣向が釣り合う人達だけでコミュニケーションをとったり、仲良く群れていると思えば急に一人を群れから追い出したりしてそいつを標的にいじめが起きる。まぁ現代はメールをスルーしただけでいじめが起きる世の中だぜ…。物騒なもんだ。そんな俺もこんな物騒な世の中を生きてきて現在、荘子丘学園での高校生活2年目を迎える…。今日は何故か担任に呼ばれて生徒指導室に行くことになった。



「失礼します…。」

「おお。来たか音平。早速だがそこに座ってくれないか。」

言われるままに席に座る。



「西園先生。話って何ですか?」

「単刀直入に聞く。お前にとって人とはなんだ?」

「何でそんなことを聞くんですか?」



「お前がこの学園に入学をしてから1年の間。アンケートを何度か全校生徒全員に書かせた。確かに職員達の関心を得る回答は幾つかでた。だがお前回答だけは職員達に公表できるものではなかった。」

「…………………。」

「一体お前は、何を考えているんだ。」



確かにそうだ。俺の回答は職員どもにはとてもじゃないが公表なんてできるわけない。こんなの職員どもにバラしたら即職員会議だ。まぁ先生はいい人なんだろう。それと共に俺の思想を知りたくてしょうがないらしい。まぁ…少し話すか。



「先生。俺が思うに人ってのは…。俺達が思った以上に未知の生き物だと思うんだ。」

「未知の生き物?」



「人は頭を使い、考えられる。脳が指令を出して初めて体が動く。そんなことはもう解明済みなんだ。だけどさ、先生。」

「うん?」

「人間関係ほど先が読めないのはないんだよ…。」

先生の顔が少し驚きを見せたが直ぐに戻った。

「人は機械みたいに優れた統一性をもってるわけじゃない。各々が違った考えを持ち、個性が存在する。だから何が起こるかが予測ができない。」



「……………………………。」

「俺が人はなんだと考えられるのは、これくらいです。」

「うーん…。」

先生が少しだけ唸ったあと、俺に向かって、「音平の考えは分かった。そこでお前に頼みがある。いや、お前の考えを聞いて頼もうと確信した。」



「……………。」

「お前にこれからこの秋新生徒会選挙に生徒会長として立候補し、当選をしてもらう。」

「は?」

「お前みたいな考えの持ち主は他にいない。是非生徒会長になり、学園を統治してもらいたいんだ。」



「断れば…?」

「このアンケートを職員達に流す。」

「なっ……。」

悪魔かこの男は…。

「学校を変えろ。音平。もしお前が望むなら、俺は全力でサポートする。」



西園先生の目は真剣だった。俺はその真剣さの理由が知りたかった。

「どうしてそこまでするんですか…?」

「今この学校は不登校生徒の割合が多い。お前にいじめを減らしてほしいと言いたいわけじゃないが、それに対する教職員の対応も些か良いものではない。誰も救いの手を差し伸べてはくれない…。そんな学校でいいのかと俺は思った。だからお前の言葉で、この腐った学校を変えて欲しいんだ。頼む…。」



先生が頭を下げた。普通、教師が生徒に頭を下げるなんてことはしない。それほどまでに先生の覚悟を感じた。

「分かりました。引き受けます。」

「ありがとう……ありがとう…。」

先生は頭を何度も下げて感謝をした。



「ところで先生。」

「うん?なんだ。」

「やるからには…俺おもいっきりやるんで。」

「ああ!!頼む!!」

こうして俺は、俺のやりたいように、この学園を変えてやろうと誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る