どうして 4
「――ぃ」
ギコ、という音がして。
そして、痛みが走った。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い嫌あああああああああああああああ」
ギッ、ギッ、と硬いものに刃を立てる軋むような音と。
きゅ、きゅ、と狭いところに無理やり刃を通す音。
それが自分の翼の骨を削り、肉を断つ音だと信じたくなかった。
「しかし旦那、片方だけでいいんですかい?」
「いいんだよ、それで。片方だけでも残っていることに意味があるんだ」
二人の男が何を話しているのか、レイナにはもうわからなくなっていた。
ただひたすらに、襲い来る痛みを受け止め、叫び、歯を噛みしめることしかできなかった。
喉が張り裂けそうになるほど、叫んだ。
顎を砕きそうなほど、歯を噛みしめた。
それでも自分の肉が断ち切られていく生々しい痛みを耐えられるわけがなく、レイナは意識を手放した。
だが次の瞬間には、痛覚を刺激する猛烈な痛みが、レイナを叩き起こす。
気絶することすら許されず、レイナにできることは考えることだけだった。
なんで。
どうして。
イミナとの幸せな日々は、どこに行ってしまったのだろう。
二人で胸を張って暮らす幸せな未来は、どこへ消えてしまったのだろう。
幸せなことで埋め尽くされるはずだった今日は、一体どこで間違ってしまったのだろう。
終末のフライデー 川沢 浩 @alcedo_atthis
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