幕間

読者への挑戦状 猫目石瓦礫の遺書2

 と、ここまでが、解決編に至るまでの道筋、いわゆる出題編となる。

 ここで一度筆を止めたのは、ちょっとした遊び心と僕の趣味から、読者への挑戦というものをやってみたかったからだ。さっさと犯人を明かしてもいいのだが、これが僕の書く最後の文章になるのかと思うと、ただ事実を書き出すだけでは物足りないのだ。

 ちょっと遊んでみたくもなる。


 出題は以下の通り。

 タロット館滞在二日目に宇津木博士を殺害した人物は誰か。またその方法は?

 タロット館滞在三日目に新藤帝都を殺害した人物は誰か。またその方法は?

 そして、夜島帳は誰なのか。その具体的根拠は?


 念のため、あらためて宣誓させてもらうが、この物語の語り手である僕は一切の虚言をしない。事実誤認から結果的に嘘を吐くような発言になってしまうことは、そればかりは回避しきれないが、僕自身が自発的に読者へ嘘を吐くことは無い。

また、回答に必要なすべての情報は、これまでに開示されていることも宣誓しよう。ミステリにとって最上級なのは全文総伏線。さすがに探偵の補欠であって小説家ではない僕にそこまではできないが、僕は無駄なことはあまり好まない性格だと、自分では思っている。

 不必要ならダラダラと、無駄な回想を挟んだりしない。


 それでは、僕の趣向をご理解いただけた方は、じっくりと考えてから。

 結末を急ぎたい方は、趣旨だけでも頭の片隅に留め置いていただくとして。

 次の紙面に、犯人の名前を僕の推理を記してあるので、それをご覧いただこう。

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