第6話





 「おまえは話をするのが下手だな。アイツ...なんて言ったっけ、そう、松本か。松本の気持ちを全然考えてないじゃないか」

 「あっ、よく知ってるね、僕のオリジナルの名前」

 「俺ら、お互い生まれて間もないんだから、そういう、人の"気持ち"ってやつ?を考えていこうぜ。

それはそうと、なんで平田和美のクローンを殺したんだ。あれはあれで利用価値があったんじゃねーのかよ」

 「まあまあ、そんな怒らなくても。彼女のクローンを殺したのは、彼女の意思さ。この国を、この世界を、クローンで埋め尽くす計画のためには必要だったんだ」

 「...俺、頭悪いのかな...あんま計画についてよくわかんねーんだけど...」

 「君は、僕と和美の計画の大事な駒となってもらうよ。だから大丈夫」

 「...あれ?さっきおまえ、平田和美にとっては失敗作みたいだけど、って言ってなかったか?その失敗作がなんで駒じゃないんだよ」


 「僕は、頭さ。失敗作といったのは、僕は彼女の思った通りに作られたわけじゃないって意味だよ。君らと僕は一緒じゃない。僕だけ和美に対する服従が抜けているからね。だからこそ彼女は、僕と協力して計画を遂行しようとしているんじゃないかな。僕も彼女の計画に一目惚れしたからね」


 「そうか、じゃあ、俺はおまえに従うよ。たださっきみたいに、わざわざオリジナルに関わりに行って、罪を擦り付けたかと思うと色々ヒントを出して、殺す、とかいう意味不明な行動には付き合ってられねーぞ」

 「仕方ないよ。質問が多くて、嫌になったんだ。確かに、僕の手で殺す必要はなかったと思うけど」

 「...さっきから俺は質問攻めしてるけど、嫌になんねーのか?」


 「言ったろう?君は大事な駒だ。これからオリジナルを殲滅するための戦士になってもらわないと困るからね。

 さあ、そろそろここで話すのも終わりにしようか。日も完全に落ちちゃったしね。」

 「ああ、そうだな。息抜きも終わったし、平田和美のところへ戻るか」

 「...彼女のところへ戻ったら、ようやく人類すり替え計画の始まりだね。新しい世界への一歩が始まるんだよ」

 「...あっ、そうだ。俺のオリジナルを殺してくれたことは感謝するよ。もうちょっとで警察呼ばれるところだったからな」


 「僕のオリジナルのところへ行く前に君のオリジナルを見に行こうって言ったのは僕だからね。別にいいよ。

...君のオリジナルの名前はなんだったっけ?」


 「忘れたのか?

俺のオリジナルの名前は







"ヒラタマサノリ"」









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人類すり替え計画 宮本蟲 @pikomasu

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