第4話お見舞い⑤

「中学校の頃までの四季は、私がいなくちゃなんにも出来なくって、まさに金魚のフンみたいな子だったんだよね。今も可愛いけど、あの頃も可愛いかったなあ~。大人しくって、自分の意思をうまく伝えられない子供。面白かったから、よくパシりに使ったりしてからかっていたなあ」


過去回想を淡々と述べる。本当かなあ。眉唾モノだ。


「本当なの?」そう訊いてもろくな返事は返ってこないと知りながら僕は訊いた。


「本当だよ。私がこれまでに嘘をついたことがある?」


やっぱりろくなお返事は返ってこなかった。自称『冗談つき』らしいので、僕がこれまで浴びせられてきた言葉は全て嘘ではない、なんて屁理屈を食らうのも厄介だし。


「そうだね。相原さんが嘘をついたことなんて一度もなかったよね。疑った僕が悪かったよ」


なんて、嘘をついた。



「さて、もう着きそうだね」


「あ、うん」


「じゃあ四季がいないうちにさっさと話しておこうかな、四季が今みたいになった理由を!



私ね、こう見えても馬鹿なんだよね。四季と同じ高校を受験したんだけど、落ちちゃった。対して四季の受験番号はあった。そしたらあの子、私と同じ高校にいくとか言って蹴ったんだよ。自己犠牲は、あまり好きじゃないんだけどさ、実際にやられてみる違うんだよ。何とも言えない申し訳なさが、どうしても込み上げてきて、込み上げてきて、私は変わろうと思ったんだ。四季を私がいなくともやっていけるよう、自立させてやろうってね。そのためにどうしようか考えたんだよ。そこで情報が必要でしょ」



「んで、手始めに漫画を渡してみた。



んで、気付いたら今みたいな変な四季になっていた」


飛躍しすぎだろ。



「だからさ、ごめんね」


「なにが?」


「黒歴史部って馬鹿な部を創ろうとして、二人を巻き込んでいるじゃん。私のせいって感じがして……」


「いや、別に大丈夫だよ」


「まあ、本当に創ったりはしないと思うけど、これからもお付き合い宜しくね!特に宮國くん……」



「え、」



「今話したこと、四季にはシークレットでね」


若干にやついている。


話したいこと?を言い終えると、相原さんは急に走り始めた。


時東さん家が見えてくる。時東さんは、どんな表情を浮かべているのだろうか、なんだか昨日より気になる僕なのであった。

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クロレキシブ おにぎりお @2l2o22v

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