エンドレス・ワールド

@poco495

第1話 向こう側

「・・・暇だ」

雪は降ってはいないが、刻々と寒気が訪れてきている12月中旬

昨日修学旅行から帰ってきた俺はベッドの上でごろごろしていた

そう、今は旅行の振り返り休日なのだ

2日間の休みで久しぶりに部活がないのにもかかわらず、やることがなかった


「散歩でもするか~」


もしも俺に彼女がいたならば、こんな選択肢はなかっただろう

軽く身支度を整え、玄関に向かう


「いってきまーす・・って、誰もいないんだっけか」


俺の親は、俺が修学旅行にいってる間、妹を連れて海外に旅行にいっていた

帰ってくるのは今週末だそうだ


(公園・・・いや、思い切って神社あたりまで遠出してみよう!)


かなり使い古したサンダルを履き、外に出た

案の定、防寒着なしでは凍り付きそうな寒さの風が俺の体を襲う


「ったく、なんでこうも理不尽に寒いんだ・・」


ぶつくさ愚痴をいいながらも、神社の階段前までたどりついた

階段は半分凍り付いていて霜も降っていた


「我ながら、なぜこんなところにくるきになったんだか」


一段一段確かに上りながらてっぺんを目指した


「ハァ・・ハァ・・」


上につく頃にはかなり息が荒くなっていた


「ふぅ~、やっと着いたか・・・・ん?」


神社の賽銭箱の前に、黄色い服をまとった中学性くらいの少女が倒れていた


「ちょっ!君、大丈夫!?」


こんな光景に直面したことはなかったので、かなり慌てて声をかけた


「ん・・・・ここ・・どこ?」


白い髪を後ろで2つに分けた少女は、かわいらしい声でいった。


「え、神社だけど・・君、一人なの?」


この寒さだ、一人でいるには割と危険だろうと思い、俺は尋ねた


「違うよ?パパとママがいるでしょ?」


何をいってるのかわからなかった

今この場に、俺とこの子以外の姿は見えない

隠れていたとしてもさすがに気づくだろう


「どこにだい?」


これしかいうことはなかった。


「ここだよ?」


少女は自分の後ろを指さした

当然何もない

だけど


   その場所を見たとき、少し背筋が凍った。

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