第54話 ミカド=アキラ
左にカグヤ。
右につば姉。
花嫁衣裳の2人。
純白のウェディングドレスに。
ヴェールの向こうの照れた顔。
綺麗だ。
「「
「
台座に乗った結婚指輪が運ばれてくる。
指輪は4つ。まずは新郎の僕がその内の2つを手に取り、カグヤとつば姉の左手の薬指に同時にはめる。次にカグヤとつば姉が1つずつ取って、それを僕の左手の薬指に一緒にはめた。
左手でカグヤの。
右手でつば姉の。
2人のヴェールを同時に上げる。頬を赤く染めた2人の顔が僕に近づき、左右の頬に同時に口づけ。僕はカグヤの左手とつば姉の右手を両手で取り、並べた2人の手の境目に口づけした。
誓いのキス。
元々の習慣でも唇同士でなくてもよいと聞いた時はほっとした。どちらか一方を優先することは僕の気持ち的にもしたくないし──
政治的にも問題がある。
「我が親愛なるルナリア王国の皆さん」
「我が親愛なる地球連合王国の皆さん」
「
「
「「この度、1人の同じ男性と結ばれました。それは
ワァァァァァァッ──
パチパチパチパチ──
「「今、この瞬間。有史以来初めて全人類が1つの国家に属することとなりました。この統一国家の名は〝クロスロード帝国〟──
再び、万雷の拍手と喝采。
クロスロード。アーカディアンでの、僕達のギルドの名。元々そのギルド名も地球と月が対等に交り合うという意味を込めて、創設者の
「「そして」」
「ルナリア王国における
「地球連合王国における
「「帝国全土に統治権を持つ唯一の主。その君主号は──〝
巨大な垂れ幕で〝
「「その初代
運ばれてきた豪奢な帝冠を。
カグヤとつば姉が2人で。
バサァッ!!
マントを
僕の姿は新郎らしいタキシードではなく。
高貴なる紫の生地に金糸で獅子を描いた
浅黒い肌に。
白い髪の。
世界の征服者。
「我が名は──アスラン!!」
掌を天に向け。
両手を掲げる。
「
ワァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
「我を
「
「
「「バンザァァァーッイ!!」」
参列者たちから、割れんばかりの大合唱。
手をかざし声を止め、万民へ語りかける。
「聞け!! 我は諸君の支配者だ! 君主とは名ばかりの民衆の奴隷ではない! 〝君主は民の為に在る〟などという
キャーッ!
「同様に、君は君のために生きろ! 人は皆、己のために生きるものだ! そして君が我の幸福を妨げない限り、我は全力を
ウォォォォッ!!
「諸君の中には我や我に連なる者を深く恨む者もいよう。それは人として当然の感情だ。君が
ワァァァァッ!!
「最後に!! 我が支配を良しとせぬ者達へ告げる! 我から独立せんとする者、我を打倒せんとする者よ、その行いは帝国法の上では極刑にて裁かれる国家反逆罪となる──しかし、悪ではない!! 元より我とて普遍の正義などではない。我の正統性の根拠は〝勝者が敗者を従える〟というこの世の摂理のみ! その摂理の下では全ての者がこの世で覇を競う権利がある! 君がその権利を行使する時、君は我と対等なる敵である! 敵への礼儀として、我は全力を以て君と戦う! それが望みならばかかってこい! 我は誰の挑戦でも受ける! オール ハイル クロスロード!!」
「「オール ハイル クロスロード!!」」
地球においてまだルナリア王国・地球連合王国のどちらにも服属していなかった地域は、あのあとササッと征服した。世界の全てが2国のどちらかに属し、その両国が1つになったことで
この世界の全てを背負って、僕は生きる。
みんなのために戦う、その誓いを果たす。
果たし続ける!!
「「オール ハイル アスラン!!」」
「「オール ハイル アスラン!!」」
「「オール ハイル アスラン!!」」
「ミカド=アキラに制裁を! 全人類に栄光あれッ!!」
乾いた銃声が鳴り響き。
僕は……床に、倒れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます