三、主と側仕えはこうして出会った(1)
幼い頃のことはほとんど覚えていない。ただ、今日のように失敗をして落ち込んだ日は、おぼろげに、いくつかの言葉と光景を思い出す。
「何見てるだいあんた! まったく気味が悪いったらありゃしない」
そう
「気味悪い」という言葉は、当時、私が最も多く聞かされていた言葉だ。さらに、よく転んだり物にぶつかったりすることから「
私が生まれた
中でも、祖母や叔母夫婦は私に
留守を預かる女衆二人の態度に使用人たちが
代わりに、
残る親兄妹はというと、特に何もない。おそらく私を取り巻く状況に気づいていなかったのではないかと思う。罵ることはないが、助けてくれることもなかった。
私にとって父は、朝にお見送りをし、午後にお出迎えをするだけの人でしかなく、母は家にずっといたが、病弱でいつも臥せっていた。兄と妹に関しては、おそらく祖母の手によって引き離されていたのだろう、飛石の家にいる間に会うことは結局一度もなかった。
だが、そんな祖母たちの行動も仕方なかったのかもしれない。
目を離せば、ぶつかって物を壊し、勝手に怪我をし、家の中を汚す。余計なことしかしない私の存在は
それに、この頃はまだ、私の視覚が他の人たちと違うということはわかっていなかった。だから余計に、家の人々から向けられる視線が冷ややかだったのだろうと思う。
そんなこともあり、物心ついた時にはすでに私の心は閉ざされていた。それはある意味
後に出会った主は、辛いことが多過ぎて感情が
このような暮らしは、私が八歳になるまで続いた。
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