ゴルゴちゃん13才、餃子の王将に行く。16


 レジに290円が追加され、ゴルゴちゃんはようやく会計を済ませて店を出る。


 その手にはもちろん、空の瓶とセットになった、マジックパウダーの袋が握られていた。


 新世界の通りを地下鉄の方へと引き返しながら、ゴルゴちゃんは袋の表記に目を通す。




『王将魔法の粉』




 そう書かれた下には、『味付塩コショウ』との一文があった。


 そして、裏を見ればその成分が記されていた。




『食塩、ブドウ糖、白コショウ、山椒/調味料(アミノ酸)』





「……山椒だったか!」



 そうか、とゴルゴちゃんは納得する。


 これが隠し味だったのだ。


 しかし普通の山椒ではなかったような。


 もしかしたら中華らしく、中国山椒の「花椒」あたりかもしれない──などと思うゴルゴちゃんだった。


 謎は解けた。


 フ、と思わず小さな笑みがこぼれる。




 ちょっと自嘲気味だったのは、よくよく考えてみれば、ゴルゴちゃんはアジトで自炊することがないからだ。


 もちろん揚げ物をつくらない。


 唐揚げなんて、こうして外で食べるのみだ。


 なのになぜマジックパウダーを買ってしまったのか──。


 ──恐るべし、魔法の粉の魔力だった。


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ゴルゴちゃん13才 ひびき遊 @hibikiyu

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