第1章2話 第一地区のベスティエとレイデン
時間は少し戻り、強い風が吹き抜ける街の東側。アメティスタのツインテールが風に撫でられてふわふわと揺れる。
二人が歩く東側には人が多い。遠目から見ても日の照っている昼間では二人が着ている黒い制服と紅い腕章は目立つ。
行き交う人達全員が二人に敵意、あるいは嫌悪の眼差しを向けていた。遠巻きに罵詈雑言を投げ掛ける者さえいるが、二人はいつもの事と反応を示すことはない。
「ルヴィ、怒ってる?」
「は? 怒ってねぇよ」
口を一文字に閉じたまま、一言も話さないルヴィを見上げてアメティスタは眉を下げた。ルヴィがジッとアメティスタを見たが、短いため息をついて視線を反らす。
「怒ってない?」
回り込んでまで見上げにくるアメティスタを無言のまま軽く空手チョップすると、再びため息を漏らした。
「……お前に対しては怒ってないから。ほら、真面目にベスティエ探すぞ」
「はぁい」
「つまらない」といった顔で仕方なく片手を上げると、アメティスタは不満を露にする。
「お前の兄貴も確率低いって言ってたしな……見つかるまでに段階上がらないといいんだが」
「そうだねぇ、怪我人とか出たらいろいろ面倒だし」
回りにいるイノセンスを見渡して、二人は同時にため息を漏らした。 二人が気を取り直して歩き出そうとした瞬間、前方から大きな物音と叫び声が上がる。
「ベスティエだ、逃げろ!」
そんな声を上げながら大勢のイノセンスが走りながら逃げ惑っていた。イノセンスにぶつかりそうになりつつも、アメティスタはかろうじてそれを避ける。そのまま近くの街灯に向けて跳躍し、停車してあった高級車の上に登った。反対にルヴィは近くの建物の屋根の上へ移動する。
「ルヴィ!」
「わーかってるよ」
二人はそれぞれの位置から音がした方に向けて走り出した。
喚きながら逃げているイノセンスとは比べ物にならない速さで走り抜け、ものの数分でその場所に辿り着く。そこにいたのはゆうに二メートルは超える程の蟷螂が三匹。
「ベスティエ……! しかももう初期段階を超えてる!」
ルヴィが大きな蟷螂――ベスティエを睨みつけると周囲を見渡した。何ヵ所か建物が壊れているものの、かろうじて怪我人はいない。しかし、腰が抜けてしまったのか逃げ遅れたイノセンスが数人座り込んでいる。
「くそ……!」
「ルヴィ、シト兄に連絡!」
アメティスタに言われたまま音叉を指で弾くと、音叉をアメティスタに向けて投げた。アメティスタがそれを受け取るのを確認せずにベスティエに向けて走り出す。
「ちょ、ルヴィ!」
「俺が囮になる。その間にイノセンスどもを逃がせ!」
手のひら大の鉄球を幾つも取り出すとルヴィは鉄球をベスティエの頭上へ投げた。鉄球は空中で一瞬動きを止め、全てがぐにゅりと蠢いて小型ナイフに姿を変える。
その全てが重力にしたがって落ちるとベスティエの体に突き刺さった。ルヴィに気付いたベスティエ達はナイフが刺さったまま、ゆらゆらと動きながらルヴィに近づいてくる。
「わ、わかった!」
ルヴィに言われ、アメティスタは逃げ遅れたイノセンスへと近づいた。
「ぎ、ギルティ……」
「わたし達が来た以上、ベスティエはわたし達が殺します。あなた方は逃げてください」
アメティスタの黒い制服を見たイノセンスが上ずった声を上げるが、アメティスタはそれに構うことなく言葉を紡ぐ。
「あ、あぁ……」
ベスティエの意識がルヴィに向いたためか、イノセンス達は震える身体をどうにか動かして立ち上がると足をもたつかせながらも逃げ出した。
「ほら、あなたも」
木陰に空色の髪をツインテールにしている幼女が身を隠していることに気づき、アメティスタはそういって微笑む。アメティスタとは異なり、ストレートの髪を揺らして頷くと幼女はその場から走り去った。
「おい、いつもの頼む!」
ベスティエの攻撃を交わし、バク転。つきすぎた勢いを殺すために手をついて着地をすると、ルヴィはアメティスタの横に戻る。
「りょーかい!」
アメティスタが空に向けて手のひらを翳すと、手のひらの上に球体の電気が蠢いた。バチバチと紫電が唸り、ルヴィが突き刺したナイフに向かって迸る。 電気が当たった瞬間、ベスティエ達は咆哮を上げて天を仰いだ。力無く地面に倒れ込むとそのまま身体を保つことが出来なくなり、空気に溶けていくように霧散する。
「やった」
「……レイデン達がいなくてもラクショーじゃんか。誰だよ、最低五人で行動って決めたヤツは」
アメティスタが喜びのジャンプを繰り返す傍ら、ルヴィは頭を抱えてため息を漏らした。
「でも被害、出ちゃったね……怪我人はいないケド」
「仕方ねぇだろ。とりあえずイノセンスに被害がなけりゃ問題はない」
二人はそんな会話を交わしながら、ベスティエが壊したであろう建物へと近づいていく。
建物を覗き込む二人。その建物はどうやら改装中だったらしく、「改装中」という文字が破れていない窓に貼られていた。
中を見れば壁や天井は剥がされており、様々なコードが床を這う。
「……こうしてても意味ないし、レイデン達のところに戻るかぁー」
「そうだねぇ」
暫く建物をまじまじと観察していたルヴィとアメティスタだったが、それに意味がないと考えた。ルヴィが背伸びをしながら建物に背を向けた瞬間、建物の奥から物音が響く。
「――え?」
物音に気付いたアメティスタが振り返えると、先ほどと同じ十数匹ものベスティエが腕を振り上げていた。
「ルヴィ! 後ろ!」
アメティスタが叫んだ刹那、ルヴィはアメティスタを庇うようにしてベスティエの攻撃を避ける。
「おい、無事か……?」
「……う、ん」
突然のことに強く目を閉じてしまっていたアメティスタが恐る恐る目を開けた。
苦痛に歪むルヴィの顔が目に入り、視線を下げていくと地面に紅い鮮血がポタポタと滴り落ちる。
「ルヴィ……!」
「これくらいかすり傷だ、やるぞ」
そう言うもののルヴィは明らかに痛みを我慢しており、アメティスタはルヴィを庇うようにベスティエとルヴィの間に立つ。ルヴィの怪我を横目に見るが、はた目にもかすり傷には見えない。
「おい……」
「ルヴィは黙ってて、わたしだって戦えるもん」
深呼吸を繰り返すとアメティスタはベスティエの位置を把握する。先頭のベスティエがゆっくりと、されど速く襲いかかってきた。
アメティスタは真っ直ぐにベスティエを睨み付けると地面を指差す。指先に電気が集中し、球体状に電気が集まった。
物凄い速さでそれはサッカーボールほどの大きさになると、アメティスタがベスティエに指先を向ける。
アメティスタに従うように電気がベスティエへと飛んでいくと、ベスティエが避ける間もなく直撃しベスティエはうめき声を上げた。
「まだ、だからね……!」
アメティスタの周囲に幾つもの電気の球体がくるくると周り、その全てがベスティエに襲いかかる。
感電したベスティエは消し炭と化すが、ルヴィもアメティスタも表情を変えることはない。アメティスタの攻撃は一部のベスティエにしか当たっておらず、消し炭となったベスティエもボコボコと音を立てて再生を始める。
「ダメ……
ベスティエは体内の何処かにある“
個体によって賢核の位置が変わるため、アメティスタの攻撃が当たったベスティエ達の賢核は体内の奥深くにあるらしい。
「それだけじゃない。段階が少しずつ上がってるんだ。このままじゃ、最終段階に入る」
徐々に二人に焦りが見え始める。ベスティエは攻撃を受けながらも、それに気づいていないのか二人を積極的には襲ってはこない。
「ルヴィ。立てる? 近づかれたら襲われる」
ルヴィの腕を肩にかけ、持ち上げるとアメティスタはベスティエから距離をおく。
アメティスタがキッとベスティエを睨み付けると、地面に散らばったナイフへ電撃を送り磁力を帯びさせた。
電撃で磁力を発生させながら巧みにナイフを操り、ベスティエにナイフの雨を降らせる。何匹かは倒すことに成功するが、まさに焼け石に水であまり意味がない。
「おい、こんなにいたか……?」
ベスティエの数が増えていることに気付いたルヴィが声を漏らす。アメティスタは下唇を噛み締めて、思考を巡らせた。
逃げるわけにはいかないが、このままでは圧倒的に部が悪い。
「カライスさんアターック!」
二人の背後からカライスの声が響いた瞬間、複数回破裂音が響いた。ベスティエ達に何かがあたり、頭部や胸部が破裂する。賢核に当たった数匹は消失するが、それ以外は難なく再生してしまう。
「悪い。遅くなったな」
ドヤ顔で勝ち誇ったようにすますカライスの横で大きくため息を漏らすと、レイデンは申し訳なさそうに頭を下げた。
少し出遅れたシトリが走ってくると、アメティスタの無事を確認して胸を撫で下ろす。
「カライス、レイデン……!」
「シト兄も!」
増援の到着に二人は安堵の表情を浮かべた。
「それじゃあ、本番行くわよー?」
肩を回し、三つ編みを逆手で撫でるとカライスはベスティエ達へ笑顔を向けた。カライスの髪はもうほとんど赤へと変わっている。
「待て」
やる気満々のカライスの肩を掴むと、レイデンは一際強いため息を漏らした。
「カライスはルヴィの止血、シトリは僕らの車をここに持ってきてくれ」
レイデンはベスティエを警戒しつつもきびきびと二人に指示を出す。
「えー?」
「……了解しました」
カライスとシトリがほぼ同時にそれぞれの反応をした。レイデンの言葉を聞き、カライスの髪は見る間に赤から緑に戻る。
シトリはそれを見て首を傾げたが、すぐに街の中央に向けて走り出した。
「じゃあ、ベスティエは誰が倒すの?」
「決まってる。僕だ」
レイデンがそう言い切った瞬間、ベスティエ達が同時に咆哮を上げる。すると数十体もいるベスティエ達は折り重なり始めた。
その様子を見たルヴィが近くにある標識を掴む。
「最終段階に入るつもりか……!」
「レイデン、これ使え!」
軽々と標識を根本付近で折ると、折った部分を槍のように変えた。即席の槍を作り出すと、ルヴィはレイデンに向けてそれを投げる。
「ありがとう、ルヴィ。助かる」
レイデンはルヴィから投げられた即席の槍を空中で難なく受けとると、軽やかに腕を回して扱いやすさを確認する。
「ルヴィ、大丈夫?」
無理に動いたからかグッタリと項垂れるルヴィへ心配に満ちた声をかけるアメティスタ。
「カライス、早くしろ!」
ベスティエに向けて槍を構えるとレイデンはそう声を荒上げて走り出す。
突然の怒鳴り声に身体をビクつかせ、カライスが慌ててルヴィの側へ駆け寄った。
「ごめん、ルヴィ。患部見せて」
カライスが捲し立てるように言い、ルヴィの背に刻まれた傷を見る。傷は深いわけではないが、かすり傷と言えるほど浅いわけではない。
「カライス……ルヴィ、大丈夫だよね?」
半泣きになりながら、アメティスタが震え声を漏らした。
カライスは笑顔でアメティスタの頭を撫でると、ルヴィの傷に手を翳す。
「大丈夫よ。私の前で誰かが死ぬなんて、もう二度と無いわ」
その目には揺らぐことのない強い意志が宿っていた。ルヴィの傷をジッと見つめ、カライスは指先に集中する。その目にはいつもの飄々とした色は混じらない。
カライスが短く息を吐くとルヴィの傷から鮮血が溢れ出した。アメティスタが驚きで目を見開き、弾かれるようにカライスを見る。
カライスはその視線に気づかないまま、ルヴィの鼓動に合わせて深呼吸を繰り返した。
深呼吸に連動するかのように溢れ出た血が瞬く間に凝固していく。
「……よし、これで当分は大丈夫かしら」
凝固した血が傷を塞ぎきるのを確認すると、カライスは笑顔を浮かべて額の汗を拭った。
カライスがアメティスタへと意識を向けると、アメティスタはキラキラと輝く目でカライスを見ている。
「カライス、すごぉい!」
「ふふ、これくらい当然よぉ。私だってギルティだもの」
「カライスの運転がすごいから、それ関連の力だと思ってた」
きゃいきゃいと弾んだ声で話すアメティスタに、満更でもなさそうにカライスはフフンと得意気に微笑んだ。
「うっさいんだよ、お前は」
血圧が安定したからなのか、ルヴィがゆっくりと身体を起こす。うんざりとした表情でアメティスタの額を指先で弾いた。
「ひどーい、いたぁい」
弾かれた額に両手を当てて大げさに痛がってみせるアメティスタに、ルヴィは大きくため息を漏らした。
「ルヴィはちゃんとした治療を受けるまで戦闘には加わらないこと~。私がしたのは応急措置にも満たない、ただの止血だから」
「わかってるよ」
カライスに満面の笑みで頭を撫でられるのを鬱陶しいと言わんばかりに眉間にシワを寄せて払うと、ルヴィは歯を食いしばる。
「それにしてもサポート役のルヴィにしては頑張ったわね~」
「……サポート役っていうな。オレだって戦える」
「ふふ、そうだけどねー」
からかう気満々のカライスを横目に不貞腐れるルヴィはカライスを睨み付けた。カライスは笑い声を抑えようと口元を手で覆うがクスクスと声が漏れている。
「ね、レイデンを手伝わなくていいの?」
アメティスタの問いにカライスもルヴィもキョトンとした表情で首を傾げた。
「必要ないと思うわ」
「本気で戦ってるレイデンの近くをうろちょろしてたら邪魔してるようなもんだしな」
カライスもルヴィも大きくため息を漏らすと、ベスティエと戦いを繰り広げるレイデンへ視線を送る。
襲いくるベスティエの攻撃を俊敏に避け続けるレイデン。手にしている槍を構え、優に三メートルを超えるベスティエの懐に向けて走る。融合が完了していない右腕を狙って槍を振り抜いた。
ベスティエとベスティエの境目を滑るように槍が入っていき、ベスティエの足を切り離すことに成功する。しかし直ぐに再生し、新しい足が瞬時に生えた。
「く……下手に攻撃すると逆効果か」
小さく呟き、次の攻撃を避ける為にバク転で距離をとる。ベスティエを見据えたまま深呼吸を繰り返し、レイデンは僅かに微笑んだ。
ベスティエが何かを渇望するかのように咆哮を上げる。
「――俺を喰いたいか……?」
目を見開き、レイデンは口角を吊り上げた。いつも感情の起伏が少ないレイデンらしからぬその表情に、アメティスタは首を傾げる。それと同時に、禍々しい何かをレイデンから感じ取り身震いをした。
「ネデル……」
無意識の内にアメティスタはその言葉を呟く。
「あー……やっぱりそこに行き着くか、お前も」
アメティスタの言葉に気付いたルヴィが大きくため息を漏らすと、レイデンとベスティエから視線を反らした。
「カライスほどじゃないけど、戦ってるレイデンは生き生きしてるからな。それにネデルみたいに髪も目も黒いし」
ネデル――それは始まりのギルティと言われている人物。ギルティ達が袖を通す漆黒の制服は、ギルティの始まりとされるネデルが黒目黒髪で黒衣を身に纏っていたことに由来する。
レイデンの身体的特徴は言い伝わるネデルに似ていた。
遠い昔の人物であるため正確に存在したのかは定かではないが、その存在を疑うものは少ない。
「レイデンの力は私やルヴィよりも強力だから、やっぱり連想しちゃうわよねぇ」
「オレ達の罪は前世のものだ。レイデンがネデルの生まれ変わりでもおかしくはないよな」
カライスも賛同し、困ったように笑みを漏らした。その様子を見たルヴィは再びレイデンへ視線を戻す。
「レイデン、戻りましたけど……」
タイミングを見計らったかのようにシトリが車を運んできた。レイデンが一瞬だけシトリを確認すると、笑みを浮かべてベスティエを背に走り出す。
ある程度ベスティエから距離をとると、レイデンは再びベスティエに向けて走る。助走をつけて効き足で踏み込むと、跳躍した。その高さをベスティエの身長を優に越える。
「相変わらず高いな……あそこまで高く跳べるギルティも中々いないだろ」
ルヴィがレイデンの跳躍に思わず声を漏らした。
跳躍の際にレイデンがベスティエの視界に入ったため、ベスティエはレイデンを捕らえようと鎌をあげて頭上を見上げる。
「ルヴィ、伸ばせ」
「了解!」
好機を見つけたレイデンが声をあげると、ルヴィはレイデンの持つ槍に意識を集中させた。
ぐんぐん伸びていく槍を振り上げ、自分の身体が落下して行くのと同時にベスティエの口を狙って投げる。
面白いほど簡単に槍は口の中へ入り、ベスティエの体中を通って地面に突き刺さった。
ベスティエが懸命にもがくが、身体が固定され動くことが出来ない。
「やっぱり賢核にはかすりもしないか……カライス、衝撃に備えろ」
シトリの方へ歩きながら、レイデンはそうカライスに指示を出す。
カライスが頷いてアメティスタとルヴィを庇うように前に立つ。
「レイデン、何をするんですか?」
「昆虫型のベスティエは外殻が堅くて下手に攻撃すると逆にこっちにダメージがかかるから……こうするんだ」
シトリが首を傾げていると、レイデンは車を掴んだ。
「ちょっとレイデン、それって備品なんだけど!」
「構わないさ。イノセンスの高級車を使って大目玉よりかはマシだろう」
レイデンのしようとしていることに気付いたカライスが慌てて声を上げるが、レイデンは淡々と切り返す。
深呼吸を繰り返し、レイデンが力をこめるといとも簡単に車を持ち上げた。
「ちょ、え……?」
シトリが狼狽えているのも気にせぬまま、そのまま上空に向けて車を投げる。重力に負け、放物線を描きながらベスティエに向けて落下した。落ちれば落ちてゆくほどにその速度は上がっていく。
「これで終りだ」
そうレイデンが呟いた瞬間、車がベスティエを押し潰した。爆音と共に爆風が吹き荒れ、レイデンやカライス達を襲う。
「二人とも大丈夫?」
爆風が襲い来る直前、水の壁を展開していたカライスが背後の二人に向けて声をかける。
「全く……ムチャクチャだな」
「あわー、ホコリだらけ」
身体中についた埃を払いながら、ルヴィとアメティスタは小さくため息を漏らした。
「……シトリとレイデンは?」
視界を狭めていた粉塵が晴れ、ルヴィが周囲を見渡す。
「……レイデン。近くにボクがいなかったらどうするつもりだったんですか」
前方にレイデンの前に立ち頭を抱えるシトリを見つけ、ルヴィは安堵の混じった短いため息を漏らす。
「まぁまぁ、シトリ。近くにいたんだからいいじゃない? レイデン、ルヴィの怪我はまだちゃんとした治療を受けてないわ。なるべく早く医者に見せないと……」
怪我をした背中を庇うように歩くルヴィを見て、カライスは僅かに眉を下げた。
「……仕方ない。病院に向かってみるか」
「ギルティ用の機器が揃ってるといいんですけど……」
シトリが心配そうに呟くと、その場にいた全員が同時にため息を漏らす。
ギルティ〈僕らは黒き咎を背負う〉 藤野 郁 @to-no_you
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