コンテンツ論:カタルシスとは

 以前の記事で王道を行くメリットはカタルシスを得やすい事だと書きました。

 そもそもこのカタルシスとは何を指した言葉なのでしょうか。巷で使われている意味をきちんと説明した物を、筆者は見たことがないので、曖昧に理解している方も多いのではないかと思っています。

 やはり筆者の独自解釈になって相すみませんが、カタルシスとは何かを論じてみます。


 まず意味が分からない言葉があった時は辞書を引きましょう。

 広辞苑には4つ意味が載っており、それを抜粋しますと(本来辞書の語釈を省略することはとても危険な事なのですが)、

 ・悲劇や恐怖で心のしこりを浄化すること。

 ・精神的外傷によるしこりを外部へ表出させ、消散させる精神療法。

 この辺りがコンテンツに関わる意味のような気がしますが、やはりこれでは説明不十分です。


 私の経験則ですが、カタルシスという言葉は、ことコンテンツに限れば「読者がその作品を読んで良かったという想い」という意味で使われています。

 そして読者にカタルシスを引き起こさせる作品の性質、これは広義的な意味で「面白さ」と呼ばれるものです。広義的、と前置いたのは単に"funny"な時だけでなく、"interesting" や"entertaining" や"fascinating" に面白い場合もカタルシスが引き起こされるからです。

 また結末にある場合に限り、カタルシスを引き起こすソレはオチとも言い換えても良いと思います。


 創作者が気をつけなければならないのは、どんなものにカタルシスが引き起こされるかは、その人の文化、知識、生物的性別(セックス)、社会的性別(ジェンダー)、信条、年齢、経験といったあらゆる属性に大きく左右されるということです。


 理解しやすいものとして漫画誌が良い例になると思います。

 漫画誌はターゲットとなる読者が誰なのかによって、連載している漫画のジャンルが極めて明確に分かれています。

 少年マンガにはファンタジーものが多く、少女マンガには可愛いものが多い。青年マンガにはエロと暴力が溢れ、ティーンズものには数多の恋愛が描かれている。

 漫画誌は当然読者に面白いと思ってもらえる物を連載しているわけですから、マンガのジャンルが雑誌ごとに、これほどしっかりと区分けされていることは、読者層によってカタルシスを引き起こす物が違うことを示していると言えます。


 別の例でテレビ番組や広告も、コンテンツである以上ターゲットのカタルシスを引き起こすものを理解して作る必要があります。逆説的に述べれば、ターゲットを絞り込んでいることが分かる広告やテレビ番組は、名作(面白い)ことが多いです。

 そのテレビドラマは誰をターゲットにしていて、何でカタルシスを引き起こそうとしているのか。


 こういった事を考えますと、自分がそのターゲットに当てはまらなかったとしても、クリエイター視点という、また別の次元でコンテンツを楽しむ事が出来るようになります。

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